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ファスナー出す?隠す?

こんにちは、HAKUです。
先日、YouTubeの動画に海外の方からファスナーの取り付け方についてご質問がありました。noteで共有しても面白そうなトピックなので、この質問に対する自分の考えをこちらにも書いてみたいと思います。

みんなに回答を共有したくなるなんて、いい質問だぁ~。

ファスナーテープ、出す?隠す?

ご質問内容は私が先日UPしたファスナーペンケースについて。

なぜファスナーをライニングの中に隠さなかったの?その方が仕上がりがきれいじゃないかい?

実際の制作シーンを観るとよくわかりますが、ご覧のように、ファスナーを外装と内張りの間に挟まずに、あえて内張りの上に貼り付けて制作しています。

印は後で消えるチャコペンを使っています

どちらかといえば、私自身もファスナーテープはライニングの中に隠す方が好み。今回もそうやって作ることも検討しました。

ファスナーテープがむき出しの今回のような仕様は、私にとっては「床面がむき出し」なのと同じような感じ。本来あまり見えてほしくないところが見えちゃっている感があります。

市販の革製品もほとんどがファスナーテープはライニングの中に隠れていますね。ファスナーテープがむき出しなのは、ある意味レザークラフト作品特有の仕様かもしれません。

ファスナーテープむき出しの理由

ではなぜ今回ファスナーテープをむき出しにしたのかといえば、こういうファスナーの貼り付けにも慣れておきたかったからです。もう少し丁寧な言い方をすると、

  1. 芯材を使わずにファスナーを貼り付ける練習がしたかった。

  2. ファスナーむき出し仕様の制作(手縫い)に慣れておきたかった。

っという何とも自分勝手な理由。なんでわざわざ練習し、慣れておきたかったかったのかというと、実はこちらの仕様にもメリットがあるからです。ちょっと整理してみましょう。

メリット1:ファスナー貼付け後の穴あけ不要

ファスナーをライニングの下に隠す場合は、革でファスナーテープをサンドイッチした後に縫い穴を貫通させてやる必要があります。

その場合、縫い穴を貫通させるには、菱ギリで縫い穴を刺す必要がありますね。当然、ファスナーテープにもキリを刺すことになります。つまりファスナーテープに切り込みを入れてダメージを与えてしまうことになるわけです。

それを避けるために菱ギリではなく丸ギリを使って縫い穴を貫通させても良いのですが、それだと穴が小さくて手縫いがとてもしにくく、しかもステッチがあまりキレイに決まりません。

一方、今回のようにテープがむき出しの仕様では、革の方に縫い穴があいていればファスナーにキリを刺す必要はありません。縫い穴を貫通させる工程を省ける上に、テープにダメージを与えることなく制作ができる、という訳です。

メリット2:修理のしやすさ

あまり想像したくない事ですが、「万一ファスナーが壊れてしまったら?」と考えると、どちらのほうが修理・交換しやすいかは一目瞭然ですね。

実際、革製品の場合は革がヘタるよりもこうした金具の破損やファスナーテープのような布地が破けてしまうというケースの方が多いと思います。革自体が破ける、穴が開くといったことはそうそう起こらないと思います。

いずれ修理・交換が必要な時がくる―そういう観点でみるとファスナーテップが露出していたほうが修理がしやすい形状といえます。単に作業が楽というだけでなく、裏打ちを剥がしたりと他のパーツへの影響を最小限に抑えられるという点も大きいですね。

「好み」と「引き出し」

という訳で、今回はファスナーテープがむき出しの形で仕上がるような作り方をしてみました。

いつものように芯材をガイド使えなかったり、縫製時には縫い穴がどこか確認しずらかったり、普段と勝手が違う部分も結構あって勉強になったなぁと思います。

ファスナーテープって手縫いしづらいよね

先述したように、私の好みで言えばファスナーテープは「隠す」派。さらに芯材を使ってテープの段差も極力なくしてやると仕上がりがキレイだなぁと思っています。

ただ、好みと違うことにもこうして時折挑戦しておくと、制作の幅が広がりますし、技術の「引き出し」が増えます。レザークラフトの上達を目指すのであればそうやって好みとは違うことも「やってみる」「経験してみる」って結構大事じゃないかなと思います。

例えば、もう廃盤になってしまって再入手できない貴重な革で何かを作るとなった場合。また、販売をはじめてアフターフォローとして修理も請け負う場合。そんな時は今回のような修理しやすさに重きを置いた仕様が必要になるかも。

なーんて難しく書いてしまいましたが、単に「色々やってみると面白い!」っていうのが一番わかりやすいかも。

よろしければ是非、制作動画もお楽しみください。


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