先程信じられないことが起きた。
1日バイトしボロボロになった体でホームに突っ立っていると、走ってきた人に思いっきし足を踏まれたのだ。
棒と化していた私は稲妻が落ちたように目をカッ見開き、キッ奴と睨みつけた。もう背中しか見えなかったが、私は負けじとガンを飛ばした。
おいテメェ！！お前が踏んだのは月末にフラれる予定のある女の右足だ！分かってるんだろうなァ！！
身長が私より25センチくらい高いからってナメんじゃあねえ、ピアス開けてるからって調子のんじゃあねえ
知ってるか？私が今イヤホンで聞いてるのはcreepy nutsだ！！
おまけに風邪まで引いてる！コロナかもしれんぞ！
ポケットには鼻かみ済のティッシュがパンパンに詰まってるからな！今にも羽化しそうだ！！そして花粉症でもある！！
ええんか！！！！！

ふぅ
ちょっと足を前後にずらして立っていたものの、なんでその程度の足の出し加減で普通に立ってる人の足を踏めるんや、普通にむずいやろ
故意ではなければ全て許されるのか、恋であっても許されないことがあるというのに。意図が無いならなおさら貴様の悪行は許すまじ。謝れい。
ー
しかしここは私の強さに免じて許してやる。
強者とは本来ヴィランを倒すためその強さを以て戦うべきである。しかし、私はただの強者ではない、聖者である。肉体的強さをまるで感じさせないので群衆には何の変哲も変化も為さない無害無益な者と認識されがちであるが私の強さは内から満ちているものである。よって簡単に強化できるものでなければ外界から直接攻撃できるものでもない。
然るに私は強い。強者を超えた聖者と言える。この世で最も尊い存在である。みなさん崇め奉りこのわたくしをちゃんと大切にしてください。
そして聖者の強さとは時に人を許すために使うべきである。これは身長が25センチ高い者にもビアスを開けてる者にも決して真似できまい。
なぜこの強さを許すために使うのか？

知らん！！許す以外にこの事件を収束させる先がないからだバキャロー！！

まあ別にええけど
私は尊き唯一無二の聖人かつ偉人なので明日も頑張って生きます。さすがすぎる。すごい。

ほいじゃ！アデュー！