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セックス備忘録 -夏の或る日-

22時前、突然LINEの着信が来た。
そのときは掃除をしていて気づかなかったけど、社会人のセフレから3件のLINEと1件の不在着信があった。[どしたん]と送ったらまたすぐに通話がかかってきた。
電話越しに聞こえる駅のホームの喧噪がひどく頭に残った。

結局、すぐに電車が来たようで、1分程度の通話では何が言いたかったのかわからなかった。ただ、大抵こういう時は"飲みに行ったけど飲み足りないから相手して"という要件だから、そのままメッセージを待っていたら案の定、[まだ飲みたい]というメッセージが来たから了承した。

彼は適当な缶チューハイを3本、酔いやすい私のためにノンアルコールの缶カクテル1本、それとマカロンを買ってうちに来た。私はゲームをする予定でいたから、とりあえず狭いワンルームに招き入れて椅子に座ろうとしたら、抱き着いてくるし振りほどいてもくっついてくるし、少し冗談のつもりで「なぁに?寂しいの?」と聞いたら、彼はいつもより少し小さな声で戸惑いがちに肯定した。

最近の彼は仕事がかなり忙しかった、らしい。残業も休日出勤も多くて代休も取れていない、と言っていた。きっと、精神的に疲れているから寂しいなんて言うんだ。

私がゲームをやっている間も足にすり寄ってきて、自分の話をしていたりゲームを観戦していたり唐突に足のネイルを褒めてきたり。水を取ろうと席を立てば足に抱き着かれたり。仕方がないからソシャゲをしながらベッドに寝転べば一緒に寝転がってきた。私には致す気がなかったからとりあえず放置してゲームを続けていたら、突然耳を舐められた。そこまでされてしまったらゲームなんてしていられなくて、時間が経って画面が消えたスマホを握りしめて、声を出さないように耐えていた。でも、身体を撫でられて押さえつけられてキスされてしまったら、耐えることなんてできなくなった。

もう何回も彼としているから、どこが弱いかなんてバレている。
首も胸も、正直全部ダメなのだけど。的確に、ゆっくりと上から徐々に下へと触っていくから、耐えきれなくなる。
「するの久しぶり?」「ここ、触られるのも?」
どんな意図で聞いてきていたかわからないけど、1か月ぶりが久しぶりというなら久しぶりだな、なんて、結構冷静に、変に客観的に考えていた。すぐそんなこと考えられないくらい気持ちよくさせられて、何度も焦らされて、達してしまって。私が息も絶え絶えになっている中で、彼はゴムを鞄から出して、着けようとしていた。何気なく指先で撫でて、滴る先走りをぼんやり眺めていた。

そのあとはもう、あまり覚えていない。
だけれど、彼の動きの緩急に、一挙手一投足で生み出される暴力的なまでの快楽に、泣きながら、息を切らしながら、嬌声をあげるしかなかった。なにも、かんがえられなかった。


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