見出し画像

本当に心配なひとのためのポリクリ講座【2023改定版】

――はじめに――

こんにちは。

医学部での経験を伝えようと毎日一心不乱で筆を走らせています。

――新鮮なうちに。

※2023年加筆
研修医として学生さんを見て思うこともあったので、少し加筆しました。

  ポリクリって何なの??

何を準備すればいいのでしょう?

どういう動きをするんでしょう?

班のみんなと上手くやっていけるんでしょうか?

心配に思っているそこのあなた!!

――4年生のころのわたしなんですけどねσ(^◇^;)

キラキラ医学生のひとたちにとって、そんなに不安はないのでしょう。

※キラキラ医学生についてはこっち!

  わたしは怖かった。何も知らない世界に飛び込むのが。

それはそうです。でも、知っていた方が身動きはとりやすいですよね?

なので、4年生のころのわたしが知りたかった情報をお届けします。

  みなさんがわたしと同じように心配して怖がる必要はないのです。

――本当に心配な人だけ、この記事を読んでくれたらいいと思います。

――ポリクリとは:総論――

簡単に言うと、研修医ごっこです。BSLって呼ぶ大学もあります。

まあ誤解も含むでしょうけど、結局「研修医ごっこ」でいいと思います。

研修医と違って、手技はなーんにもできません。
※させてくれる場合もあります。採血とかマスク換気とか。

ここでは、まずdutyをみていきます。
※duty:義務。診療科として必須のイベントや実習として必須の講義など。

そのあと、いろいろな注意事項を説明します。

安心してください。

  心配な人向けなので、相当細かく書きます。

  まずはガイダンス

最初の日はガイダンスです。

その科で何を学ぶか、どんな実習をするか、どんな患者を担当するか

などが学生担当の先生(医局長とか病棟医長クラス)から伝えられます。

たいていの場合、一人の学生を一人の指導医(3年目とか)が担当します。
※ここでいう指導医は、学生の指導をしてくれる先生という意味。

なので、初日に指導医に挨拶して、担当患者さんにも挨拶に行きます。

科によっては、その日のうちに講義がある場合もあります。

また、日によって昼食が出ることもあります。
こんな時代じゃなければ、飲み会に誘われることも。

タイミングによっては、学会などに誘われることだってあります。

どの大学でも共通すると思いますが、科によって動き方が全く違います。

では、ガイダンスが終わって2日目以降のルーティンを見ていきましょう。
※ルーティン:routine。毎日当たり前のように行う作業のこと。

――情報が特異的にならないように脚色を加えています。
※科によって順番はバラバラです。ないものもあります。

  ■科としてのduty(学生に限らず)

    朝7時:カンファレンス ※学生発表の場合もあり!

外科だったら、その日手術する患者さんについて情報共有します。
※術前カンファレンスと言います。

内科だったら、病棟回診の前に治療方針とかをディスカッションします。

このとき、実習から時間が経っていれば学生が発表する場合もあります。

前もって指導医に相談したり自分でカルテを確認しておきます。
質問されることもありますが、必要以上に怯える必要はありません。

困ったら、指導医や上級医が答えてくれることがほとんどです。

場合によって、学生に途中退室が命ぜられることもあります。

科のお金の話とか、学生の前では言えないこともあったりするわけです。

そういうときは、素直に従って速やかに静かに退室しましょう。

    朝9時:総回診 ※学生プレゼンの場合もあり!

教授を筆頭に科のスタッフ全員が病棟を回診します。
白い巨塔で見たことある人もいるかも? ――あんなに仰々しくないけど。

学生にプレゼンが任されることもしょっちゅうあります。

患者さんの変化を教授に伝えましょう。

担当患者のプレゼンが終わっても、学生は積極的に前に出ましょう。
教授が結構大事な知識を教えてくれることもあります。

※後ろでは、中堅や若手の先生たちに教えてもらえることもあります。
時と場合で使い分けましょう★

質問に答えられなかった場合は、きちんと復習をしておきましょう。

カンファレンスと同じように、患者さんによっては学生の立ち入りが許されない場合もあります。そういうときも、素直に従って退散しましょう。

    午後:グループ回診

科のスタッフ全員ではなく、小さなまとまりで回診に行きます。

回診の時間って日によって違ったりします。

そういうときは、ピッチに連絡が来るでしょう。
ピッチは、班でひとつのこともあればひとりひとつのこともあります。
※「連絡忘れてました。回診終わっちゃった」っていうパターンも…。

  ■学生のduty

    レクチャー

科のdutyの間で、時間があるときに行われます。

もともと時間が決まっている場合もありますし、
先生の都合に応じて突然レクチャーが入ることもあります。

座学の講義と同じ感じで、出席を取ることが多いと思います。

内容は様々で、座学のときもあれば手技のときもあります。

    カルテ記載

カルテを記載する大学も多いと思います。

その場合、科のdutyの間でスキマ時間を見つけて患者さんを訪ねます。

そして、自分で診察してカルテを記載します。

ピッチが与えられている場合は、自分で指導医に電話をしてアポイントメントをとり、記載したカルテに指導してもらうこともあります。

    指導医からの呼び出し

dutyとして見学しないといけない手技や検査もあります。

そういうときは、科のdutyの合間に指導医に呼び出してもらいます。

呼び出しには、どんなときでもすぐに対応できるようにしておきましょう。

    レポートやプレゼン・総括

レポートは、科によって課題が決められていることもあります。
あるいは、担当した患者さんについての考察を行うこともあります。

レポートがない科のこともあります。
代わりに、プレゼンを行う科もあります。

もちろん、どっちも行う科もあります。

総括というのは、実習のふりかえりです。
実習の感想を中心として教授とお話します。
そのときに教授がミニレクチャーしてくれることもあります。

  ■ここまでのまとめ

ちょっと長くなったのでまとめます。

    1.診療科には、科ごとのdutyがあります。

それは学生に限らず、診療科の先生全てが従うイベントです。

    2.科ごとのdutyの合間に学生のdutyをこなします。

指導医のサポートが必要なので、アポイントメントを取りましょう。
指導医の呼び出しはマストです。必ず現場に直行しましょう。

    3.退散が必要な場面があります。

大人の事情ですから、素直に従いましょう。

  ■意欲的な人

基本的にdutyさえやっておけば単位はもらえます。

ですけど、もっと積極的に実習したい場合もあると思います。

大きく次のように分けられます。

いずれの場合も、ガイダンスのときに学生担当の先生に伝えましょう。

班のみんなの前で伝えるのが嫌だったら、事前にメールしておくとか、ガイダンスが終わってから時間を見つけて相談するとかしましょう。

  ■やる気がない人

あんまり書きたくないんですけど、そういう人もいるでしょう。

この場合、学生担当の先生に伝えるのはNGです。

失礼すぎます。

空気を読んで、「手を抜きたい」と伝えられそうな指導医であれば

相談してみてもいいのかもしれません。でも礼儀は忘れずに。

――ポリクリとは:各論――

ある程度ポリクリの様子が伝わったと信じます。

ここからは、実習前にわたしが色々心配していたことを書いていきます。

  ■ポリクリ班

解剖のときに「解剖班」があったみたいに、ポリクリでも班分けがあります。

だいたいどの大学でも、組みたい人と自由には組めません。

学力が偏ってしまうからです。

なので、CBTの成績とか学内試験の成績で振り分けることが多いでしょう。

つまり、ポリクリ班は接点のなかった人たちと組むことが多いです。

班が仲良く1年間を過ごすために、気をつけて欲しいことがあります。

    温度差

コレに尽きます。班のなかで、

こういう人たちが共同生活するわけです。

あなたが見たい!と思ったオペ。班員は見たくないかもしれません。

あなたが帰りたいなぁーと思ったとき、班員は残りたいかもしれません。

ここらへんを敏感に察知し、合わせていきましょう。

どうしても譲れない場合、別の機会では他の班員に譲りましょう。

    冷え切ったポリクリ班

基本的に、仲が悪くなるポリクリ班の原因の8割は温度差です。

こういうのが積み重なると、班が冷え切っていきます。

    もちろん、何事も一生懸命やるべきです。でもそれは机上の空論。

チームワークを守るため、必要な時には力を緩めることも忘れずに。

  ■注意すべきこと

    1.スケジュール管理

スケジュールは変動するものです。

頼りになるのは自分だけ。前に回っていた班の情報を過信しないことです。

最初に指導医の先生に挨拶するとき、外勤日は必ず聞きましょう。

指導医の先生が外勤の日は、基本的に自分で出来ることはありませんから。
※さっき書いた「意欲的なルート」の場合は違います。

また、できるだけ定時に毎日指導医にアポイントメントを取りましょう。
午後に、次の日の相談をする形のほうがいいかもしれません。

決まった時間の方が指導医は動きやすいです。

もちろん、学生から指定するのではありません。

「お時間よろしいときは、だいたいいつ頃ですか?」
と聞いても良いでしょうし、

「ご都合の宜しいときに連絡いただけますか?」
とお願いしても良いかもしれません。
※この場合、終日連絡がもらえないこともあるので覚悟しておきましょう。

そのときに、次の日の予定などを聞いておけばスムーズに実習できます。

(2023年加筆)
忘れないでほしいのが、
病院実習は教育であって教育ではない!
ということです。

どういうことかというと、
病院は第一に患者さんのために動きます。
その次は診療を円滑にするために動きます。
医師や研修医、ナースへの情報共有やカンファレンスなどですね。
他にも、学会の準備だったり入退院サマリを書いたりとか雑務があります。
学生の相手はそれと同等かそれ以下の優先度になると考えて下さい。
なので、例えば学生の出席確認のサインは本当にどうでも良いことです。
先生たちも愚かではないので、その日に出席していればサインなんて次の日とかでも構わないはずです。

何が言いたいかというと、先生たちをPHSで呼び出すときに考えて欲しいです。
その呼び出しは、本当に必要ですか??????
わたしは思いますが、

学生が持つPHSは「かかってくるものであって、かけるものではありません。」
※研修医も半分はそんな感じです。

外来中やカンファ中、ひどい場合は講義中!にかかってくる要領を得なかったり別に後からでも構わない連絡は、指導医の先生の心象を悪くします。
逆に言うと、とにかく控えめにするように気をつけておけば、指導医の先生だって最低限必要なことがあるときは連絡すると思いますから、そうやって時間を作ってくれたときに用件はまとめて伝えられるように普段から整理しておいて下さい。

(以上2023加筆部分)

    2.患者さん・指導医への挨拶

実習開始時は、指導医と一緒に挨拶に行くのでまず大丈夫です。

大事なのは、実習の終了時。

総括が終わって、そのまま息が抜けたまま帰宅してはいけません。

お世話になった患者さんに必ずお礼を言いに行きましょう。

可能な限り(外勤とかオペをのぞく)指導医の先生にも挨拶しましょう。

スケジュール管理できていて、実習最終日に指導医の先生がいないことが分かっている場合は前日とかに挨拶しましょう。

    3.記録を付けるのがオススメ

実習は本当に貴重です。様々な事を学びます。

だからこそ、その日大切だと思ったこと1つでいいのでまとめましょう。

日記のような形式でも良いですし、勉強ノートでも構いません。

そのへんは、この記事で書いているので良かったらどうぞ~

    4.持ち歩いていたもの

このへんのトピックは、キラキラ医学生の人たちが詳しいと思います。

「ポリクリ 持ち物」とか「ポリクリ 準備」とかで検索しましょう。

ですけど、一応わたしが持ち歩いていたものを書いておきます。

    5.スキマ時間を有効活用しよう!!!!

科によっては、相当暇な時間があります。

こういう状況ですね。割とあります。

そういうとき、medu4のようなビデオ講座を受けましょう。

スキマ時間を使えば、ポリクリの診療科に合わせて予備校のビデオ講座を進められるはずです。間違いありません。

スキマ時間の使い方は自由ですから。
「温度差」なんて気にしなくて良いです。

――自分のため、将来の患者さんのためを思って行動しましょう。

――おわりに――

2年前のわたしがこの記事を見つけたら、どれほど安心したことでしょう。

世の中、知らない方が上手く行くこともあります。
でも、知っていたらもっと上手く行くかもしれませんよね?

わたしみたいに、何でもシミュレーションできていないと不安になる医学生

きっといると思うんです。でも、キラキラ医学生たちは教えてくれません。

だから、わたしが教えました。これがポリクリの実態です。

まだまだ不安なことがある人は、ぜひコメントで質問してください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

それでは、またどこかで…。

2022/02/19:初版



この記事が参加している募集

振り返りnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?