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いつの間にやら苦み好き

ピーマンとツナの炒めもの
1:ピーマンをざっくり細切りにする
2:フライパンにツナ(カツオのオイル漬け)をあけて熱し、ピーマンを加える ※油はひかず、ツナのオイルで炒めます
3:酒をふって軽く炒め、塩コショウ。香りづけに醤油ちょい、仕上げにゴマ油少々の、白ゴマぱらり。

手軽なおかず&おつまみとして、我が家でよーく作るこの料理。ピーマンは均一に切らず、バラつきがあったほうが食感が楽しい。ツナをジャコでやってもこれまた、おいしい。
安いのもあるけれど、最近とみにピーマンを買ってしまう自分がいます。気がつけばカゴに入れている。ピーマンの苦みを欲している。
小さい頃は嫌いでイヤで仕方なかったのになあ。

最近の定番、ピーマンと大豆のナンプラー炒め。
ざく切りにしたピーマンを大豆と一緒に炒めて、軽く小麦粉をふり、ナンプラー、少々の酒、シーズニングソースで仕上げます。飲み会でわりに好評なんですよ。お酒が進んでその甘みに慣れた舌を、苦みはリフレッシュしてくれますね。

夏ならばゴーヤ。
チャンプルーはもとより、今夏もいろいろ楽しみました。プチトマトと一緒に軽く煮てナンプラー、コショウだけで味つけしたスープ。余ってたカニカマをちょっと入れて(うま味プラス)、温泉玉子に糸寒天も入れて具だくさんに。
ゴーヤのレシピ、たまに「苦手なかたは、スライスしてしっかりと水につけておくと食べやすくなります」なんてアドバイスを見かけます。そう、苦みは水溶性なんですな。ちなみにゴーヤの苦み成分、モモルデシンというそう。

「最近、苦いものが好きでねえ」
そんなことをライター仲間に話したら、「あ、それ肝臓。肝臓がやられていると体が苦みを求めるんだって」と、いきなり言われたのには驚きました。彼女、最近薬膳だか東洋医学のムックを制作したらしく、監修の先生曰く野菜の苦みは肝臓を整えるのにいいのだそうな。
うーん、最近の我が「苦さ欲」はたんなる飲み過ぎからだったのだろうか?

串焼きの店に行けば「ししとう焼き」を頼む回数が増えました。あのほろ苦さで日本酒の米の甘みを感じるのが、たのしい。たまーに辛いのに当たるのもまた良し。

小鮎のはらわたの苦み。
これは苦み界(どんな界だ)の中でもかなり上位におわす「オツな苦み」ですな。サンマも私ははらわたから食べます。焼きたての状態ではらわたをまず味わいたい。身はそのあと、ゆっくりと。

キュウリの皮がもつ、ほのかな苦みにも惹かれることこの上なく。特にしっかり漬けたキュウリの酸味と苦みの相まった感じ、たまらないですね。飲み会で出すと結局は「おしんこ」が一番早くなくなったりする。

春ならばもちろん山菜。
うちの母方は新潟の下越、それも山のほうの出で、冬も終わりに近づくと山菜採りがはじまります。フキノトウ、コゴミ、ワラビ、タラの芽、ゼンマイ……いろいろな山菜がいつも卓に並んでいました。今なら歓喜の食卓ですが、小さい頃はこれが苦手で、苦手で。子供舌にはまだあの良さは分からなかった。もったいなことをしたもんです。

雪がとけて陽光が強くなってくると、庭先にゴザをいっぱいに敷いてゼンマイ並べて干すんですよ。次第にゼンマイがあったまってきて、ふしぎな独得の香りが立ち上る。田舎にはいろいろな季節の香りがあったなあ。

いま国産ゼンマイの値段を見ると、その高いことに内心驚きます。「ばあちゃん家にいくらでもあったのに…」と。そして自分で料理するようになって、戻すのにけっこうな時間がかかること、煮つける手間も知りました。こんなにも手をかけてくれたのに、ろくすっぽ手をつけなかった自分を恥じ入る、恥じ入る。
すみませんでした。
苦い思い出になったところで、気がつけばすっかり苦み好きになっていた私の連想も終わり。みなさまどうぞ、良い三連休を。


#食 #コラム #料理


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