漫才【ホームランの思い出】

漫才【ホームランの思い出】


B「僕ね、子供のの頃、一回だけ、公園で野球しててホームラン打ったことあるんですよ」

A「えー、すごいやん。運動神経悪いのに」

B「でもな、その時の俺のホームランの球が、運悪く、近所でも有名な怖いおじさんの家の窓に当たって、窓ガラスを割ってしまったんよ」

A「うわぁ、それは怖いな」

B「でも、俺、その時怖くて怖くて、謝らずに逃げてしまったことをすごく今でも反省してるねん」

A「まぁ、でも子供の頃のことやし(笑)」

B「でも、俺の嘘つきで卑怯な人生も、実はあの出来事から始まってる気がするねん」

A「そんな大げさ…」

B「(大声で)クソーッ!クソーッ!なんで!なんで、俺はあの時逃げたんや!!神様!時計の針を戻せるなら、あのおじさんに謝りたい!謝りたいんです!」

A「(客席に向かって)純粋なええ子なんですよぉ」

B「でも、おもちゃの時計の針を戻したとしても、時間は元には戻らねえんだ。そうだろ?」

A「ガチの時計でも無理やで?おもちゃの時計じゃなくて。時間は戻らへんからな。

じゃあ、そこまで言うなら、俺がそのおじさんやったるわ。俺がそのおじさんとして、俺に謝れ」


B「え、ええんか?そんなことやらせて」


A「ええよ、ええよ。心の治療になるかもしれんしな」


B「ありがとう。(バットを振る)カキーン、パリン!」

A「コーラーっ!うちの窓ガラスを割ったのは誰だーっ!!」

B「あー、さめた。とめよ、とめよか?」

A「え、どうしたの?」

B「お前さぁ、お前が言ったんやんな?そのおじさんやったるわぁって。全然役作りできてへんやん」

A「だって、そのオッサンのことを知らんもん」

B「中途半端やったら、やめてまえーっ!お前がやるって言うたんやぞ!俺は心の傷になってるのを諦めてたんやぞ!でもお前がいい治療があるからってその気にさせたんやぞ!!こんなに苦しいなら、お前なんか出会わなければよかったーっ!」

A「そんな、恋みたいに言われても。ほな、教えてくれや。そのおじさんの役作りするから」


B「そのおじさんの怒り方はな、こんな感じやねん。『アラアラ〜。綺麗なホームランだねえ〜。将来は野球選手かな?ん?ねえ?将来は野球選手かな?プロになるんなら、ねえ、人の家のガラス割って、迷惑かけても、いいもんねぇ。


ねえ。

いいもんねぇ。

なんか言うたらどないやーっ!!」

A「うわあ、嫌いな怒り方。そんなやつなんや」

B「せやで。ほんまに怖い人の怒り方や」

A「わかった。俺なりにやるわ」

B「たのむで。(バットを振る)カキンパリーン」

A「おやおや〜、将来はプロ野球選手でちゅね〜。

プロ野球選手なら、逆にこのガラス、割れたまんまにしとこっかぁ?
ねえ?だって、後から自慢できるもんねぇ?『この割れたガラス、今から20年前に、とあるプロ野球選手が割ったやつやねん』なぁんて、自慢ができるからねぇ。
だから、おじさん、今から20年間、窓ガラス壊れたまんまだねぇ。20回の冬を乗り越えないとねぇ。

寒いねぇ。寒いねぇ。寒いねぇ。

………弁償しろーっ!!!!!」

B「そんな奴おらんから」

A「お前がやれって言うたんやろ!!」

B「お前さぁ、真面目にやってるか?ちょっと、ちゃうねん。もう一回おじさんの見本やるから、お前、見とけ」

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