漫才【不信感】(無料で読めます)
【不信感】
A「どーもー、頑張っていきましょう」
B「いやー、思うんですけどね、子供の頃はふざけて、カンチョーとかされたり、したりしたけど、大人になったら、カンチョーなんかされへんもんと思って生きてるよね」
A「何の話?まあ、そりゃ、大人になったらカンチョーされへんと思って生きてるよ。ていうか、そんなこと考えてもないよ」
B「でも、オレ、大人になってから大人にカンチョーされてさ。大人になってから大人にカンチョーされたことある人間はわかると思うんやけど」
A「おらんよ!そんな奴!大人になったらカンチョーなんかされへんねん!」
B「大人になってからカンチョーされたら、どうなるか知ってる?」
A「いや、わからんって!笑笑どうなるんよ?」
B「めちゃくちゃ腹立つねん!」
A「しょーもない結論やな!笑」
B「めちゃくちゃ腹立つねん!顔を真っ赤っかにして怒るねん」
A「大人になったらされへんと思ってるからな」
B「もう、そこで一回失った信頼関係は、もう戻らへん。そいつはめっちゃ謝ってくれてさ」
A「お前が顔真っ赤っかにして怒ったしな」
B「カステラ持って謝りにきてくれてさ」
A「どういう人なの?その人?お前との関係性は?」
B「で、お金も10万ぐらい包んでくれてさ」
A「だから、どういう人なんやって!!そいつ!」
B「その人と、その人の嫁と二人の子供が毎年行ってる旅行にオレも連れてってくれてさ」
A「行くなよ!のこのこと!浮くし楽しまれへんやろ!お前も!」
B「そこまでしてくれてるのに!!そいつが後ろに立つと、カンチョーされるんちゃうかなと思って怖いねん」
A「もういけるやろ!家族旅行まで連れてってくれるぐらい気を遣ってるんやから」
B「オレも、もう許したいけど。大人になってから大人にカンチョーされたら、もう不信感取られへんねん。若い世代に伝えたい。大人になったら、絶対大人にカンチョーしたらあかん」
A「ずっとしょーもないことしか言うてへんねん!お前!!」
B「その人さー、カンチョーしたことをほんまに反省しててさー、ベジタリアンになったりしててさー」
A「それはようわからん」
B「カンチョーしたことを忘れないために、大好きだった酒を辞めてるねん」
A「でも?」
B「後ろにそいつが立ったら怖いねん」
A「しょーもないねん!」
B「その人、少年野球を無料で教えたりしててさ」
A「優しい人やん。でも?」
B「そいつが後ろに立ったら怖いねん」
A「しょーもないねん!」
B「オレに毎月、カンチョーしたお詫びのお金を送金してるから、本当は子供を私立の高校に行かせる予定やったけど、子供、今年の4月、中卒で働くねん」
A「かわいそうやろ!ことわれよ!金!なんで旅行は毎年いけるねん!」
B「そこまで俺にしてくれてるねん」
A「でも?」
B「そいつが後ろに立つと怖いねん!!」
A「しょーもないねん!ずっと!」
B「そいつは笑い皺(じわ)が素敵でさ」
A「でも?」
B「後ろに立つと怖いねん!!」
A「しょーもないねん!ずっと!」
B「そいつは、カンチョーしたお詫びに、オレの人生を聞いて、半生を綴る本を出版しようと動いてくれててさ」
A「そいつなんやねん!だから!きもちわる!」
B「オレも、そこまで反省してるんやって気持ちが嬉しいし、もう許したいねん」
A「でも?」
B「後ろに立たれると怖いねん」
A「しょーもないねん!だから!」
B「ちょっと興奮しすぎたから深呼吸するわな。(息を吸う)」
A「でも?」
B「後ろに立たれると怖いねん!」
A「楽しいねん!これ!!病みつきになるわ!どうしてくれるねん!」
B「そいつの家には、オレが泊まる時用の歯ブラシとかいつも置いてくれてるねん」
A「気持ち悪いなあ。仲ええやないか!それなのに?」
B「そいつ後ろ立つと怖いねん」
A「どうしてくれるねん!楽しいやろが!!!オレを元に戻してくれ!」
B「お前が、後ろにたっても怖くないねん。大人はカンチョーせえへんから」
A「せえへんよ。するほうも気持ち悪いから」
B「そいつ、京都市の観光親善大使に選ばれててさ」
A「だから、何やってるやつやねん!そいつ!!さっきから聞いてんねん!謎が多いねん!!」
B「そいつ、カンチョーのこと反省しててさ、その観光親善大使をオレに譲ってくれてさ」
A「なんで譲渡できんねん!そんなもん!なんでお前みたいな京都にゆかりないやつがもらえるねん!!そいつが選ばれとるんとちゃうんかえ!」
B「そこまでされてるのに、、」
A「そいつが後ろにたったら?」
B「怖いねん」
A「飽きた!やめさせてもらうわ!」
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