添削20本目【腹話術の台本 歌がうまくなりたい】

今回は、かなり変わった案件です。

なんと、腹話術の方から、依頼がきました。


腹話術はよくわからん世界なので、添削を断りたくて仕方なかったんですが、断りきれず、ちょっとイヤそうな感じも出したんですが、あまり伝わらなかったのか。。


結局やる羽目にwww



いや、腹話術なんて、自分は生で観たこともほとんどない。少なくとも記憶には一回もない。



この文章を送れば、8割断れるだろうと思って打ったのが下記の文章です。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


お疲れ様です。

◯◯さん、散々お待たせしていて、やっと取りかかろうかなと思っているのですが(映像も観ました)。


ただ、どうしても、腹話術の脚本を漫才と同じように添削するのは、どうにも違うような気がして。


めちゃくちゃ難しいですwww


知らない分野のことに口を出すのも失礼にあたりますし。


腹話術の世界の空気感というものも、よく分かっておりません。笑いをガンガンとるのがヨシ、なのか、あくまでも腹話術としての技術も見せるものなのか。。


なので、添削不能とさせてくださいませんか?



もし、参考程度に、どうしてもということでしたら、【僕が腹話術をやるとしたら】という視点でなら、書けなくもないかなとは思います。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



断るのが大成功と思っていたら。。。


ハクション中西が、腹話術やるとしたら、という視点で結構なので、よろしくお願いします!



という感じの答えが返ってきて、結局逃れられないハメにwww



やるしかない!



とりあえず送られてきた台本は下記です!




^ だんご(人形)

ー (人間)


^折り入って、相談がある


ーどないしたん


^歌が上手くなりたい


ーへー何で?


^先日、歌を披露したところ、笑われてしまい恥をかいたゆえに


ーそれは嫌やな、どこで馬鹿にされたん


^現代の遊郭であるな


ー現代の遊郭?どこ


^机を挟んで、綺麗なお上さんとお酒を飲みながら、歌が歌えるところであるな


ー(間、ちょっと考えるふり、右向いて)あ、スナックいったんや〜

^(間)決して、決して、やましい気持ちで行ったのではない

ー何も攻めてないやん


^誤解されては困るからな、拙者はただ歌が上手くなりたいのよ


ー確かに笑われたままやと、いややんね


^わかってくれたようで行幸


ーま、とりあえずどんなもんか知りたいから一曲歌ってみいや


^御意、聞いてくだされ


ーなんて曲


^和歌


ーアーティストは


^なりひら


ー知らんなぁ、んじゃどうぞ


^いざ! ちはやぶる神よもきかず竜田川


ーん??!


^からくれないに水くくるとは  いかがかな (キュンです)


ーちょちょ、ちょ、わかや、在原業平の和歌ですね


^うぬ、百人一首の人気曲であるぞ


ーそんな過去のヒットチャート持ってこられても。現代の人気曲、歌わな。


^さすれば、どのような歌い手の歌が良いのか


ーいろんな人が知ってる曲やと、「うえを向いて歩こう」とかがいいんじゃない


^おお、それであったら拙者も存じておるぞ


ーこればっちり歌えたら、スナックでも人気者よ


^よしさすれば、聞いてくだされ


ーオッケ、どうぞ


^いざ! うえをむい てあるこうなみ だが 


ーストップ、ストップ、和歌に引きずられてるわ!


^こぼれおちないよーに


ーあ、無視ですか


^いかがであったかな


ー最悪よ、和歌調になっちゃってるわ、後、歌い終わりに親指と人差し指でハートつくるのなに?


^そんなことしておらぬ


ーこぼれおちないよーにーからやって


^こぼれおちないよーにー(キュンです) はぁっ!


ーキュンですってやってんねん。さてはスナックのママ好きやろ


ーそのようなことはない、ただ拙者は、おかみのことを考えると、少しだけ胸がドキドキドキドキするだけよ


ーて、股間にいってるで


^(間 見つめて)決して、決して、やましい気持ちはない


ー男やからいいけどやな、今の歌い方やとリズムが遅すぎやからさ


^それが拙者には分からんのよ


ーほなお客さんに手拍子してもらおっか


^それは良き考え


ー手拍子お願いします、リズムはー、パンパンパンパン (足踏み使う)


^うぬ、もっと早くもっと早くじゃ、


空を見上げりゃ いっこく堂 あんたの技術にまじ感動

俺も届くかな 空の向こう  だからうえを向いてあるこう


ーかっこよすぎる


^いかがかな


ー一緒にうえを向いて歩いていこ


^(手を挙げて 口笛)


ーただリズムがめちゃくちゃやったわ


^それが拙者には分からんのよ


ーお客さんも早くしすぎ、しょうがない、俺がリズム刻んでおくからそれに合わせてやり


^というと


ー途中まで、ぼぱ、ぼぱ、ぼぱってやってあげるから


^かたじけない


ーいいよ、んじゃ、入ってきて


(ビートボックス混ぜて歌う)


^いかがであったかなも


ーよかった、リズムもばっちり取れてたよ


^はっはは良きこと、良きこと、これにて、女将の心は掴んだな


ーやっぱ、ママのこと好きなんやんあ


^はぁ、、、これは、ドキドキ 


ーいや、手、もうええわ 

 

^かたじけなし



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



ということで、読んでいただきました。


いやぁ、難しい。。これは添削どころじゃない。


未知の分野だから、、、


と遠慮ばかりしてたら、何も書けない。



なので、どうせ無料添削だし、思ったことを書いて依頼主さんに嫌われてやろう。



そもそも僕は腹話術が嫌いである。


片方が喋る時だけ、口が動かないようにして喋る。


それが、「すごぉーい!口が、動いてないのに!喋れてる!」という芸ではあるのだろうが、それがすごかったとて、別にどうということもない。


技術を見てしまうから、心のどこかに「二人で会話してるように見せてても、この人が1人でやってるんだなあ」という感情が入ってしまう。


そのあたりの虚しさを、感じさせてしまう芸なのである。


いや、わざわざ腹話術をこきおろす必要はないと思われるかもしれないけれど、腹話術が“漫才の劣化版”にならないように、しなければいけない。


そのために、“嫌いから入る”というのは重要なスタートなのである。


欠点を挙げてから、そこを長所に変えていく。


(ちなみに、僕がコンビを解散してからピンになった時に、最初にした作業がこれである。コンビでやった方が面白いことを、無理矢理ピンでやってる状態なら、もう引退したほうがマシ)



台本を読ませてもらって気になった部分は、人形が「決して、決してやましい気持ちでいったのではないぞ」とスナックに行ったことを否定するクダリである。



可愛いキャラで、“可愛い笑い”の方向性でいくんやなあ〜、、、という感じがする。


僕の笑いに対する好みと間反対であるwww


カウントの仕方にもよるが、一個目のボケだと思われる。なので、余計に方向性を決めてるイメージがある。



スナックに行くのを「いや、やましい気持ちでは…」と否定するなんて、可愛いすぎる。

行ったらええがな。そんなもん。堂々と。



人形自体は可愛いもんなんだから、むしろ毒舌であってほしい。

あるいは、スナックに行くときは、やましい気持ちではないと、言っておきながら、スナックの帰り道にピンサロに行った話をしたりして、豹変してほしい。


そもそも、僕は人形がスナックに行ったなどというウソの話を聞きたくない。


人形は、腹話術師がいないときは、身体ダラーンとなってるからである。


同じウソでも、まだ「拙者は、ネコと会話できるのであるが」とかなら、内容がそもそもファンタジーだから、聞こうと思える。


スナックは、ちょっと感情移入しにくい。絵が浮かばん。




というわけで、こういうことを書きたくなかったから、断りたい感じを出していたのである。




もちろん、悪気は全くない。


悪気はないが、僕の性格は悪い。それだけである。




くれぐれももう一度断っておくが、腹話術の世界を楽しんでいる演者さんとお客さんたちが作る世界を否定してるわけではない。


この台本も否定していない。



“可愛い笑い”があってもいいと思う。



個人的にノッていかない、ということであり、“分からない世界には、口を出すべきではない”という信念のもと、それでも添削を引き受けてしまったので、開き直って、逆に“腹話術の素人”として無茶苦茶言うてるのである。



まあ、僕に頼むのが悪い、とも言えます笑笑


笑いの好みは多分間反対な気がするのに、なぜ依頼主さんは僕に頼んできたのか、謎である。



さて。




歌、と言いながら和歌を詠むというボケは理にかなっていて、良いなと思う。


腹話術の技術をある程度見せねばならないものだから、ビートボックス風になっていくとか、色々な部分は楽しく観れた。



可愛い笑いである。



ただ、何度も言うが、スナックのママのことが好きって人形が言うてても、僕は“人形”やと思ってしまうから、感情が乗らない。


まだしも、相談する側が人間で、スナックのママに恋をしてるって話をして、人形が、人形のくせに、メチャクチャ女に慣れてる感じでアドバイスしていく、とかのほうが僕は見やすい。



それなら、スナックのママの存在や、現状の失敗している状況や原因なども、客としてリアルに聞ける。



台本のまま、可愛い笑いでいくとしても、次の点は改善の余地がある。



【スナックのママは人間なのか?はたまた、人形の世界のスナックのママなのか?そのあたりの世界観が分かる表現をどこかに入れてほしい】



初めてまともな事を言った気がする(笑)。



ママの名前を言うだけでも、どっちの世界かの表現にはなる。



①【ニャンコママに、ほれてるわけではござらん】と言えば、なるほどその世界ね、ってなる。



②【アケミさんは人気あるし、拙者のことなんか】と言えば、なるほど、こっち側の世界ね、となる。


で、個人的には、①の世界の方が良いかと思う。

理由はさっきから言ってる通りであるが、人形は普段はダラーンとしてるからだ笑笑。


“スナック”という現実感のあるワードを出され過ぎてても、絵が浮かびにくいからである。




ま、ごちゃごちゃ言うてても仕方ない!!

やります!


決め事は下記


【腹話術の技術の部分を披露してるくだりは全部使う】


ここは、腹話術の素人の僕にとってアンタッチャブルだからである。削りようもない。


あとは。


【メタな笑いには逃げない】




今回はAFTERというのはおこがましいので、【ハクション中西バージョン】とさせていただきます。




もちろん良かれと思って、やらせていただきますよ!!



さて、ここからはAFTERのネタを観ていただきます。有料にはなりますが、記事を買うか、全体のマガジンを、買っていただければ、読めます。

もっともっと添削の内容を知りたい方には、【個別の記事を購入するよりも、全体のマガジンを、ご購入していただいた方が絶対にお得】です。



ここから先は

1,242字
この記事のみ ¥ 900

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?