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アニメ「眠り王子と女騎士」公開記念 ~3夜連続特別対談 With ほたかさん~ 第1夜

どうもおはこんばんにちは、白色黒蛇です。
最近はフリーランスのライターとしても活動する様になり、Your Productionとライターの仕事と忙しくさせて頂いております。 

さてさて、今年8月1日に満を持して公開したアニメ『眠り王子と女騎士』の公開から1月が経ちました。皆さん、観て頂けましたでしょうか?

公開してから1か月、既に多くの方に観て頂けているようで、まずは心より感謝御礼申し上げまする。

本日から3夜連続で、先月執り行ったVtuber「ほたか」さんとの対談記事を掲載していきます。内容は、この「眠り王子と女騎士」のことからあたしが8月よりスタートさせた「Your Production」のこと、ほたかさんのVtuber活動のことと割と幅広く語ってますので是非是非お楽しみいただければと思います。それでは、前置きはここまでにいたしましょう。

なお、ネタバレを含みますので、本編をご覧になってからお読みいただけると幸いです。


黒蛇:白色黒蛇 (Twitter:@hakusyokuK)
ほたか:ほたか(Twitter:@hotakatw)

第1夜【眠り王子と女騎士】のこと……


■絵本調なのはゲームへのリスペクトから

黒蛇:ぶっちゃけ、どうでした?
ほたか:絵本を読んでるような気になりましたね。
黒蛇:実は、元々のテイストとして意識したのが、日本一ソフトウェアさんが 2018 年に発売したタイトル『嘘つき姫と盲目王子』なんです。絵本調なのはそれが理由です。

ほたか:ああ、タイトルロゴがそれっぽいですね。
黒蛇:タイトルロゴを作ったのは、メインで制作進行をした創望ですが、とくに意識はしていないそうです。モデルとして参考にしていたゲームは、姫が目の見えない王子の手をにぎって、パズルの要領で先導していくというゲームで、アニメーションを担当してくれた創望に貸したりして、イメージをつかんでもらいました。


■心温まるお話、それとも
ほたか:最後の終わり方もちょっと悲しくはあるけど心温まるストーリーなので、小学生が観てもいい感じだと私はおもいました。
黒蛇:あたしは、完全な悲劇か、喜劇かっていう二極化が好きじゃないんです。ゲームの例ばっかりで恐縮ですが、ドラクエでも FF でも主人公が敵をやっつけるじゃないですか、魔王倒して万歳っていうのどうかなって思うんです。悪者ではあるけれど、立場が変われば勇者も大量殺りく者かもしれないって。
ほたか:悲劇と喜劇の中間点をいくのが人間っぽいなって思います……悲しくてぼろぼろ涙が出てくるというわけではないけど、なんともいえない感情がでてくるのは、その領域なのかなと。


■「メタルギア・ソリッド」に学んだ、忠義のかたち
黒蛇:自分がキャラクターを創るとき、好きなキャラクターの要素を少しずつ組み合わせてキメラのようにしてキャラクターを作ったりするんですが、アリスはゲーム「メタルギア・ソリッド 3」の「ザ・ボス」というキャラクターをモデルの核としていました。「アメリカのためなら捨て駒になるのも受け入れる」程の忠義を(アメリカに対して)尽くす人物です。アリスはあれほど極端ではないといえ、忠義を尽くす行いを体現した要素として参考
にしていますね。ほかの(自分が影響を受けた)いろいろなキャラクターもブレンドさせてできたのがアリスというキャラクターです。


あの作品の肝は、最期まで自分に尽くしてくれた人間がいたことです。国がほぼ詰みなので、みんな敵に殺されているか、一部の兵士は逃げてしまっているのですが、最後まで傍にいてくれたというのが肝心なところです。楽しい時間を共有するのは誰でもできますが、本当は苦しい時にこそ傍で支えてくれる関係と言うのが何より大切なんじゃないかと。
それで物語をああいう結末にしました。
ほたか: あの二人の話としてみると心暖まりますよね。ところで疑問なんですが、忠義を大切にするといいましたが、最後には友達になるじゃないですか。そこのちがいとかあるんですか?
黒蛇:忠義は忠義、友達は友達で別個で両立する関係性を作れたらなと思っていました。
ほたか:友達になるとしたらこれくらいの時間がいるかな、というのもあると思うのですが、友達としての関係を描写しているところがなかったので、ちょっとイメージしにくかったんですね。
黒蛇:そうですね、そこは、時間の長さはさておき関わる密度は高いのかなと思っていました。王子からすれば、彼は 1 日に 1 時間しか起きられないので、その範囲内で会話している密度としては8~9割くらいでしょう。王子の主観と考えればアリスはとても親しく感じるのかなと思います。
実は、アリスが王子の教育係となって勉強させようとした理由も、前日譚で出そうと思っていました。「COto」のクラウドファンディングでも、本来やろうと思っていた脚本も含めてます。
ほたか:なるほど、(アリスが)勉強を教えているのもなにかあるんだろうなと思ってました! つまり、一個の作品ではなくマルチメディア展開を想定しているんですね。個人的に、流行ってからから2期をつくるというのはあんまり好きではないんですが、大きな構想が先にあって、そこから広げていくということですね。


■独自の世界観年表でストーリーを設計する
ほたか:アリス、という名前は有名です。それなのに、何故あえてアリスと名付けたのですか?
黒蛇:実は、自分の創作年表を持っていて、これまで作ってきた作品を同一世界観上で考えているんです。
ほたか:つまり、毎回新しいものをつくっているけれど、どこか深層でつながりがあるのでしょうか??
黒蛇:まだ埋まっていない要素を埋めていくという感覚ですね。


■アリス亡きあと、世界はどうなるのか?
ほたか:アリスっていう名前は、今回の作品で忠義を表現しているわけですよね。つまり、その年表の世界観でも、同じように忠義というテーマが重要になってくるんでしょうか?
黒蛇:そうとは限りません。一応この後の話を少ししますと、のちにアリスが持っていたような意思を元にした組織が(世界観年表の中で)出てくるんですが、すこしずつ形骸化していくというストーリーがあります。
ほたか:みんなが生きやすさをもとめてつくった結果、そうなってしまったんですね……。
黒蛇:生きにくいと思う人がいても、そのときに生きやすいと思う人もまたいるのだと思います。
ほたか:なるほど。ドラクエの例で出したときのように、黒蛇さんの(作品上の問題が解決しても)それでいいのかなっていう気持ちが作品にも入っている気がしますね。
そういえば、王子の声や言葉遣いは昨今のアニメ業界のそれより大人っぽいと感じます。それは意図的なものですか?


■王子は強い意思を持った男の子
黒蛇:王子は王子なりに、病気とも戦い勉強もするっていういい子なんですよ。ふつうの男の子だったら最後のシーンで泣きわめくのが普通だと思うのですが、上に立つ者という自覚を持って冷静でいる、という意図があります。
ほたか:そっちなのか、実はものすごく純粋なままなのか、どっちなのかな? と思うところはありましたね。
黒蛇:純粋さもあると思います。ただ王子ってむずかしくて、1 日 1 時間しか起きられないから成長に限度があるんですよね。ただ、王様になるための勉強を集中してやるので、幼いようでちょっと大人なところもあったりします。ここは演じてもらううえでとても難しかったと思います。


■王子といえど万能ではないかも?
ほたか:王様になるための「帝王学」とかだと、人間としてのパラメータを(レーダーチャートなどで表現するとしたら)輪になっていくように上げていくと思うのですが、王子はそこがでこぼこしていると思ったので、だからこそ親しみが沸いたんですよね。
黒蛇:そうですね。ほとんどアリス以外と接点がないので、対人スキルはほとんどないでしょうね。王様としてならいいと思うんですが、一般市民として生きるのはむずかしいでしょうね。
ほたか:最近のアニメはものすごく幼い声多いじゃないですか。だからあのキャラクターを見たときに、言動や行動にギャップを感じましたね。
黒蛇:あまりに幼いのも厳しくて、大人すぎてもいけない。そこに苦労しましたね。
ほたか:芯があるというか、甘々な声じゃないんですよね。王様として成長していくのにぴったりの配役だったんだなと思います。
黒蛇:今覚えば、あそこまで精神年齢が複雑なキャラクターもいなかったですね。


■細かく描き込まれた背景に対して、人物のデフォルメが強いのは何故ですか?
ほたか:背景は外の世界を表していて緻密な反面、キャラには幼さとか温かみを感じましたね。背景は大人の社会で、キャラは人物をあらわしているのかなと思いました。だからこそ、大人の人が見ても面白そうだと思いました。
黒蛇:極論をいえば描いた人が違うからなんですが、よく背景を見ると、世界観の情報がちりばめられていることもあったりします。たとえば石垣の崩れている位置を工夫することで、最近戦争があった、という補足をしたりしています。
ほたか:なるほど。13 分間の中にいろいろなきもちを込めたんだな、というのがわかりました。それを、まずは初見で暖かい話として書いていたのがいいなと思いました。初見で「難しい」と思ってしまうと、二回目三回目もなかなか見られないと思うので。
黒蛇:そうですね。観て一発で(一周で)終わるような作品にはしたくなかったですね。



第2夜に続く……

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