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【予知夢?】そして、私は火星に着いた

私は寝ているときにはめったに夢を見ません。その代わりかは分かりませんが、1年に1回あるかないかのペースで予知夢を見ることがあります。予知夢の内容は未来の自分の目に映る映像が流れていくのですが、そのシチュエーションに傾向はなく学校の運動場や町、会社のデスクなど様々なシーンが寸分違わずに映し出されます。感覚的には、既視感の上位互換と言ったところです。

ただ、予知夢の内容を全部覚えているわけではなくて、起きてから数分も経てばそのほとんどを忘れてしまいます。結果、ラストシーンのわずか数秒が残ることになります(時間がある時には、起きた瞬間から覚えていることを一心不乱に書き記すこともあります)。なので、予知夢が現実の風景とオーバーラップしそうになると「何か見たことあるなぁ・・・」から始まって、数秒してから「はっ!あれ(予知夢)か」となるわけです。

「そんなことあり得ないだろう」と思われるかもしれないですれど、その予知夢のおかげで、人生でほんのちょっとだけ得をすることがありました。一番最初の予知夢は、小学校でドッジボール大会があったときのことでした。コート内には最後の一人として残った私がいて、ボールは相手の手の内にあり数メートルの距離から今まさにボールを私にめがけて投げようという時でした。通常なら絶体絶命でしたが、予知夢を見てあらかじめ相手が投げる玉の軌道が分かっていたので、ちょうどマトリックスで銃撃を避けるネオのようにのけ反って回避することができたのでした。その時はじめて、私はどうやら自分が予知夢という能力を持っているらしいということに気がつきました。

それからというもの、年1ペースで予知夢を見続けました。高校の時には旅行先の町で道に迷ったとき、何も調べずとも正しい道に予知夢のおかげで回帰することができましたし、大学在籍時には将来勤めることになる会社のデスクに座って研究レポートを書いているという予知夢を見たこともあります。でも、そういうインパクトのあるケースは稀で、たいていは何気ない日常のワンシーンを切り取った予知夢がほとんどです。しかも、予知夢を見てから現実とオーバーラップするまでの間隔はかなり不規則です。経験上、短いときだと数週間、長いと数年かかる時もあるのです。

以前、赤子の頃から養子として育てられた脳外科医が死後の世界を体験したという番組を見ました。臨死体験中に出会った人物がいて、全く見覚えはなかったものの、のちにそれは一度も会うこともなく死亡していた実妹の大人になった姿であることを知るという驚くべき内容でした。私のような凡人がそんなことを語ったところで「うまい作り話ですね」と言われてしまうのがオチですけれど、脳の働きに詳しい脳外科医が真面目にそういうことを語ると話は違ってきます。「完全に脳機能がストップしているという医療証拠があるのに、どうやって人と会えるって言うんだ?しかも、一度も会ったことも、存在そのものも知らない妹に、だ。そんな体験を自分がしてしまったのだから、もう死後の世界が存在すると認めざるを得ない」と、考えを改めるに至ったそうだ。

予知夢も臨死体験と同じく「科学的に証明することはできないけれど、信じてもらうしかない」という点では共通していると言えるでしょう。私の予想では、この先数百年の科学をもってしても予知夢や臨死体験を解明することはできないと考えています。その理由は、その人だけしか体験しないことを、誰がどう見ても「そう考えるしかないね」と分かるようなデータに置き換えて証明しなければならないからです。脳の電気信号を数値化したところで誰も信じてはくれません。そうなれば、もう映像化する以外に方法はありません。ノーベル賞がかすむほどのブレイクスルーがなされなければ、今世紀中の達成は難しいでしょう。

さて、昨日私にしては珍しくまともな夢を見ました。しかもかなりはっきりと記憶に残っているので、最後にそれを書き記しておこうと思います。

ーー時は8月3日、いや8月2日だったかもしれない。私は誰かと一緒に大きな灰色の薄暗いトンネル内を歩いていることに気がついた。そこはまるで、大雨が降った時に大量の水が流れていく地下大水路とも言うべき巨大空間だった。おかしなことに、私もその人も宇宙服のようなものを身にまとっている。心なしか体がとても軽かった。

「もうすぐ火星に着くぞ」

ノイズ混じりの男の声が、そう言ったように聞こえた。私はその言葉の意味を理解することに少し時間が必要だった。モニターか窓のようなところに首を突っ込んでみると、そこは漆黒の闇だった。船体以外には何も反射するものがない。宇宙空間のようだ。それなのに、地に足がしっかりとついているのはどうしてだろう?

そんな素朴な疑問をTwitterでつぶやいておいた。状況から察するに、着ているのは宇宙服で、本当に火星の近くまで来ているらしい。前方には、それらしい赤茶けた星がまだゴマ粒サイズではあるが徐々に迫ってきていた。

しばらく話を聞いていると、基地も兼ねている火星の町へと物資を運ぶためにここを訪れたのだという。向かっているのは、ロケット内の物資保管庫で、問題がないかの確認をしにきたそうだ。テラフォーミングが進んでいることに半ば感心していたけれども、実際にはどんなものか全く想像がつかなかった。

「一体いつの時代のSFなんだ?」と訳の分からない疑問を抱きながらも、その後、私の体は着陸するまでプログラムされたロボットのように動いた。家族からのTwitterの反応を返してから、テラフォーミングベースに入ってみると、信じられないことにそこには火星の不毛の大地とは打って変わって、見事に緑化された町が広がり、たくさんの住民が住んでいたのであったーー(ここで目覚める)

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