図3___

160年に及ぶ素数のナゾ、あと化学とかー続編2:魔法数(Magic Number)が起こした不思議な奇跡

前回のNOTEでは、素数と化学を融合させてみようという試みをしました。その結果、元素周期表の周期を分けている2×n×n(n=1,2,3・・・)の両隣、つまり2×n×n±1の場所に素数が集まってくるのではないか?と推測しました。それを確かめるために、2~3700だった探索エリアを2~10000に、また調査する素数からの間隔も±1~±37に広げて該当する素数の個数を数えてみました。その結果が下の図です。

まず、グラフ中の緑点が2×n×nのデータです。左端から2×n×n±1、2×n×n±3、2×n×n±5・・・に該当する素数の個数を表しています。これを見る限り、2×n×nからの間隔が変わっても出現する素数の個数はバラバラで、規則性は見いだせないことが分かります。左端からの3点だけを前回の Fig.3 では見ていたので、あたかも2×n×nの両隣(±1)に素数が集まってくるかように見えていましたが、それは間違っていたことが分かりました。

そこで今回は、2×n×nからのアプローチをやめて、図中の赤点で表した電子の魔法数(Magic Number)というものを使って周期を分類をしてみました。電子の魔法数というのは、より高度な化学の視点から見た原子が安定する数字で、下に記したような数ごとに周期を分けます。

2×n×n   : 2、8、18、32、50、72、98、128・・・
電子の魔法数: 2、10、18、36、54、86、118・・・

Fig.4 を見ていただくと分かるように、2×n×nで周期分類したらバラバラだったものが、この電子の魔法数を使うとどういうわけか、どの間隔においても素数は決まって20個程度出現するという興味深い結果が得られたのです(赤点データの合計値がちょうど380で、プロット数19で割るとぴったり20になります)。私の直感が「これは不思議な奇跡だ」と叫んでいます。

今回は3点プロットとは違って、19点もプロットしているので、これが偶然揃ったとは考えにくいです。そうなると、素数と化学が見えないところで化学反応を起こしているように思えてなりません。では、20個程度に揃っている理由は一体何なのでしょうか?

本編とは関係ありませんが、”20” という数字は、かつて天文学に強かった古代マヤ文明と深い関係があります。数は現在の10進法ではなく20進法が使われていて、20は短期暦ツォルキンや長期暦の単位にも採用されていました。

2011年~2012年頃は、マヤの長期歴の1サイクル【1バクトゥン (B'ak'tun)=144,000 日 ≒ 394 年】が、マヤの創造の日である紀元前3114年8月11日から数えて13サイクル目が終わる時期でもあったため、それを終末論と絡めた2012年人類滅亡説が一部の人々の間で話題になっていました。マヤ暦では長期歴の単位になっている ”20” のように、短期暦の単位 "13" も特別な数だったので、13バクトゥンが終わる=暦の終焉=人類滅亡という発想に至ったのでしょう。

しかしながら、バクトゥン(394年)の上にはそれぞれ20倍単位で
  ・ピクトゥン(Piktun;7,885年)
  ・カラブトゥン(Kalabtun;157,704年)
  ・キンチルトゥン(K'inchiltun;3,154,071年)
  ・アラウトゥン (Alautun;63,081,429年)
というのもあるので、少し安直すぎないか?という印象は否めません。

それ以外にも、20は手足の指の合計数を表しているといわれていたり、もしかしたら素数は天文学とのつながりも持っているのかもしれませんね。

20という数字の意味を考えるのは次回に先送りするとして、前回と同様に魔法数による周期別の素数の個数を2~約30万までの範囲で数えてみました。その結果が下の図です。

図中の横軸、周期をnMNと書いているのは2×n×n分類していた時と区別するためにMagic Numberの略称 ”MN” を下付けしています。2×n×nで周期分類した Fig.1 と比べると、グラフが魔法でもかけられたかのようにキレイになりました。直線関係だった傾向も変わり、周期が大きくなるにつれて素数の個数が2次関数のように加速的に増えていくことが分かります。次に、各周期ごとの素数出現確率を調べてみました。それが下の図です。

2×n×nで周期分類した Fig.2 と比べても、見違えるような差は現れませんでした。それから察するに、周期分類の仕方によって素数の出現確率は変わらないと考えられます。

今回のNOTEをまとめると、周期を分類する方法として原子が安定化される数字の列「電子の魔法数」を使うと、その周辺には素数が等間隔に20個程度出現するという摩訶不思議な結果を目の当たりにしました。次回のNOTEでは、どうしてそうなったのか?という ”20" の秘密について迫ってみたいと思います。

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