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第16回 個人事業主か株式会社か

前回の創業補助金ではサラリーマンから個人事業主か、個人事業主から法人化かという条件の話がありました。今回はその個人事業主か法人かというお話をしたいと思います。
個人的な意見として結論からいうと、最初はどっちでもいいと思います。
私は創業補助金を利用するためにそれまでの個人事業主から法人にする必要があったので会社になりましたが、そこにこだわっていたわけでは全くありません。このブログはあくまで専門的な観点からというより、私の経験や知識の範疇で思うことを書いているので、その2つの違いがよくわかっていなくてもなんとかなっている、というのが感想です。もちろん税金面で法人にすると法人税が必ずかかるとか、従業員を雇って社会保険をつけると結構な額の社会保険料の請求が毎月くるとかは感じますが、そのあたりは独立や起業し始めたばかりにはあまり大きな問題ではなかった気がします。
はじめ「会社にしたんだな」と思うのは、営業さんや外部の人に意味もなく「社長!」といわれるようになることでしょうか。これには写真教室をした時に「先生!」と言われるくらい今も慣れません。笑
しかしNH○さんのように法人じゃないと取引ができないとかいうことはしばしばあります。そう考えると法人の方が仕事上の信用度があるのかもしれません。(実際の仕事は全く関係ないですが)
また個人事業主だと毎年3月に前年の売り上げなどに対し確定申告を行いますが、会社では決算月を自分で決めることができます。当社は6月末なのですが、これは決算前に色々と手続きや書類の準備などがあるため写真業界が閑散期のときの方が良いと思ったからです。もし法人化するならばここは閑散期にした方が色々と楽です。
一方で、将来銀行から融資をしてもらうことが増えそうな会社は、年間で純資産が一番良い状態の時期(当社だと12月末くらい?)にしておくと決算書の見栄えが良いので融資を獲得しやすいということもあるので、どのくらいの事業規模に将来しようかという視点から考えても良いかもしれませんね。あと法人化して大変なのは書類の数やハンコを押す機会が増えることや、増えるといえば他には周りに社長の肩書きがある人もなぜか増えていきますね。(世の中にこんなに社長がいるのかと感心するくらいです)
こんなテーマにしたものの、私は実際どちらがいいかはわかりません。おそらく税金面で大きな違いが出そうなテーマなのですが、それは売上次第。はじめから税金のことを気にするよりまずは売り上げを作るところに集中した方がいいと思います。
とはいえ税金もばかになりません。はじめ個人事業主で売上の良いタイミングで法人化して、消費税のかかるタイミングを先にするなどのテクニックもあるみたいなので、税理士さんと相談しながら進めていくのも良いと思います。また、税理士さんはあくまで税金のプロですので、資金調達などを考える方はその道のプロとのお付き合いも必要になってくるでしょう。

(あとがき)
社長という肩書きの価値。これは自分の中にあるものと他者の中に存在するものと両方あると思います。自分であれば会社のすべての責任を負うものとしての自覚だったり社内では組織の統率力など。他者であれば意思決定者としての価値でしょうか。しかしあくまでそれはただの肩書きであって、大したものではありません。社長というただの文字に振り回されず、社長の価値を自身が使いこなすようにするのが重要だと思います。

(2019年10月追記)
会社で融資を受けた時、代表もその責任を負うことが常態化していましたが、最近は見直しが進んできているようです。またインボイス制度が始まることを踏まえると法人にしておく方が安心があるかもしれません。

株式会社ハレノヒ代表取締役/2015年、築100年の古民家をリノベーションした写真館をオープン。地方写真館の再定義を行うことによって人とまちが豊かになる仕組みをつくろうとしています。その他セミナー講師や各種メディアにも出ています。