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消耗して生きるのが辛いカメラマンは一度カメラから手を離したほうがいい

ども、其田(@haletoke : 取材された記事はこちら)です。昔から「カメラだけで食べていこうとするのは辞めておいたほうがいいよ派」です。理由はいくつかあるのですが一言で言うと

コモディティ化している

につきます。

コモディティ化とは

コモディティ化の説明をみんな大好きWikipediaさんから引用をしつつ説明していきたいと思います。

コモディティ(英:commodity)化は、市場に流通している商品がメーカーごとの個性を失い、消費者にとってはどこのメーカーの品を購入しても大差のない状態のことである。

簡単に言えば似たり寄ったりでそんなに差がないことですね。写真で言えばとりあえずフルサイズミラーレスと単焦点くっつけて、Lightroomでプリセット当てればそれっぽい写真は撮れちゃうわけです。じゃあ、そうなるとどうなると思います?さらにWikipediaさんは続けます。

消費者にとっては商品選択の基準が販売価格(市場価格)の違いしかないことから市場原理の常としてメーカー側は「より安い商品」を投入するしかなくなり、結果的にそれら製品カテゴリに属する製品の価格が下がる傾向がある。企業にしてみれば価格競争で安く商品を提供せざるを得ず、結果的に儲け幅(利益すなわち商品として扱ううまみ)が減ることもあり、企業収益を圧迫する傾向がある。

そう、値下げ合戦です。市場経済なので供給過多になれば値段が下がるのはしぜんなことですよね。一方で消費者側からするとメリットもあります。それは、安くて同じような品質の商品を簡単に手に入れることができるようになる、ということ。Wikipediaさんはこう続けます。

この淘汰圧力はメーカー側にとっては収益を上げにくくなるいっぽうで新規参入のハードルが下がり競争が激化するなど負の側面が目立つが、消費者側では均質化と低価格化をもたらし、必要なものが一定の品質で安く豊富に市場に流通するため入手しやすくなるメリットもある。

マッチングサイトはこのいい例ですね。安くて一定品質以上のカメラマンと消費者をマッチングすることで利益を得るビジネスモデルはカメラマンがコモディティ化したからこそ成り立つわけです。そうなるとカメラマンは緩やかに貧困化していくのですが、そういう時代にカメラマンはどうすると思いますか?おそらく多くのカメラマンは独自化や差別化をしてなんとか単価をあげようと試みます。でも上手くいかない。なぜか?Wikipediaさんから容赦のない火の玉ストレートが飛んできます。

こういったコモディティ化回避の経営戦略としては、付加価値の付与による多機能化など差別化戦略があるわけだが、過剰に機能を追加しても過剰性能で消費者にアピールできない場合もあり、ブランドイメージ戦略も各々のメーカーが同程度の力を注いでいる場合は並列化するまでの時間稼ぎにしかならず、差別化戦略にも限界が存在する。

完全に論破されてますね(笑)例えば

・自然体な写真を撮ります
・ストーリーを大切にしながら撮ります
・その人の魅力が伝わるような写真を撮ります

みたいな差別化や独自化を押し出す人が多いのですが、

それ、他のカメラマンもやってるし、消費者からするとぶっちゃけあんま違いがわからないから、響かないんだよね!

というわけです。わかりやすく言うなら牛丼ですよね。松屋とすき家と吉野家だったらまぁぶっちゃけどれもそんな変わんないだろ、という人が大半なわけです。というわけで、其田は写真だけで食べていくことはおすすめしません。

じゃあ、どうすればいいの

続いて、基本的な戦略について解説していきます。カメラマンに限らずデザイナーやライターなどフリーランスな人々は一緒なのですが、大きく3つの戦略があります。それは

1・収入を複数持つ

・会社員だけ
・アルバイトだけ
・個人事業だけ

の場合、単純に「それが上手く行かないと金銭的・精神的につらい」んですよね。僕もフリーランスに失敗したときは、写真撮影の収入しかなかったので本来好きなことをしているはずなのに、日々どうやって生きていこうかばかり考えてしまい、楽しめませんでした(本当に辛かったです)。結局コモディティ化された事業に身をおいていたので、「安く・早く・大量に」仕事をしている人は自分の仕事のあり方を真剣に見つめ直したほうがよいです。

其田の場合は、フリーランスに失敗して体を壊してから、会社員になりました。月25万円の安定収入や社会保障はやはり大きいです。一方で、総合職に入ったので好きなことばかりを仕事にしているわけではありません。しかも創業70年の会社で頭がカチコチのおじさんばかり。40年そこに勤めようとはまったく思えず、複業許可をもらっていなければ1年目で辞めていたでしょう。

逆に言うと、収入が複数あるからこそ強気に出れるというメリットがあります。例えば会社員しかしていない場合、気軽に辞めづらかったり、要求を言い出しづらかったりします。其田の場合は激務ながらカメラで食べていくことは可能であったので、複業許可やフレックス・リモートワークの要求もバンバン上層部と直談判をしました。カメラのほうも、嫌な仕事はしません。やりたくない仕事は単価を上げて向こうから辞退してくれるようにしています。

2・専門領域を複数身につけて横断的に価値を最大化する

軸をずらしながら生きるのも手です。例えば其田の場合は「写真撮影」という手法はそのままに「インバウンド観光」に領域をシフトしました。「通訳案内士」や「気象予報士」という複数の専門領域を掛け算して横断的に価値を最大化したわけですね。なおかつ日本人は英語を話せる人が少ないので、参入障壁も高く、コモディティ化しづらいという特徴もあります。このあたりは「自分の得意なもの・好きなもの・稼げるもの」の領域を見極めて自分のスキルや経験を適合していくのがよいです。

最近の主流は

・SNSマーケティング(Instagram・Twitter)
・コミュニティ
・Youtube
・note

で掛け算をする人ですね。一言で言うと「共感されるコンテンツ」には「ファン」がつくんです。ファンが集まればそこには情報とお金も集まります。其田は根暗な陰キャタイプなので、このあたりは苦手です。大勢の人に影響力を及ぼしたいわけでもなくて、半径2mくらいの人の人生が幸福になるような生き方をしたいなぁ、と常日頃思っています。

その他の例を取り上げると

・ゲストハウス×カフェバー店主×バイク屋
(個人の空間と時間が縛られるので大きく稼ぐのは難しい)
・ゲストハウス×物書き
(ゲストハウスのノウハウや日頃あったことを綴る)
・エンジニア×Webマーケッター
(制作と拡販ができるので利益は大きい)
・ライター×広報×まちづくり
(自分の媒体で情報を発信して、行政とのまちづくり企画へ導線をひく)

みたいな掛け算をしている人がいます。

最後に最も大切なことを書きます。

3・稼げるときに稼げる領域で稼ぐ

稼ぐことから逃げてはいけません。

「お金をいただくこと=価値を提供した対価」です。よい事を継続してやるためには、稼ぎが必要です。しっかりと利益を出して、それをさらによいことをする資本にする循環をつくりましょう。稼ぐことから逃げて自分や家族や仲間の健康や精神を害してしまう人がいますが、それは幸せではないと思うのです。

時代には波があります。稼げる領域は移り変わります。

正しいタイミングで、正しい場所にいること

これが大切です。例えば其田はフリーランスを失敗したときには

国内のクライアントの撮影(結婚式・家族写真・カップル写真)

の領域にいました。単価は低く、激務でした。いまは

国外のクライアントの撮影(インバウンド観光)

に領域を移しています。国策として政府は2020に4000万人の訪日旅行者を増やそうとプロモーションをかけています。人とお金と情報が集まってきているわけです。

稼ぐことから逃げない。大切なものを守り、続けていくために。

◯追記
大きなうねりを伴ういまこの世の中では「どの船に乗り込むか?」が大切。間違った船に乗ってしまった人は下船して、正しい船に乗り込みましょう。

関連記事です。

値段のつけ方と単価のあげ方って悩みますよね。大きな流れやポイントは意外と簡単なのですが、あまり意識していない人もいるので解説しました。

ポートフォリオをつくるところまでは多くのクリエイターがしますが、つくりっぱなしにしてませんか?ポートフォリオは見られなければなんの価値もありません。

リスクをとらないリスクに気がついていますか?

それではきょうはこのへで。ご質問があればお気軽にTwitterをフォローの上DMください。

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