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JaSST tohoku 2019 参加リポート

2019年5月31日(金)(令和元年5月31日)、ソフトウェアテストシンポジウム 2019 東北(JaSST tohoku 2019)「明日のテストを楽にする」に参加してきました。

学びの多い充実の1日でした。ということで、参加リポートを書きます!!

基調講演

基調講演は、コヤマンこと、freee株式会社の小山竜治さん(@koyaman2)が、担いました。

ご存知の方も多いと思いますが、コヤマンは、自称『テストするおっさん』として、様々なテストチームを立ち上げ、リードしてきました。現在は、freee株式会社で『QAアニキ』として、今やノンストップかつクリティカルとなったfreeeのサービスを守っています。

そんなコヤマンの基調講演のプレゼン資料はこちら!!

では、ボクが刺さったコヤマンのコトバを3つ紹介します。

・『あなたが考える!』

・『不安(ヤバい)と向き合う!』

・『「会話」と「まとめ」』

さらに、1つずつ、コトバの持つコヤマンの思いを紹介します。

『あなたが考える!』

100%完璧なソフトウェアテストは可能か?答えは"No"です。

参考動画:日本科学未来館 MIraikanChannelより

この動画からも言えることですが、全数テスト(ソフトウェアに入力する可能性のある、すべてのパターンをテストすること)は、(人的、時間的、ハードウェア、ソフトウェア)リソース上、無理なのです。

どうすればよいか?それを決めるのは、「あなた」なのです。

・24時間365日ノンストップなのか、休止時間が確保できるのか?

・社会的な影響度が大きいか、影響が閉じた組織に留まるか?

・人命に関わるか?

などの側面から、対象のシステムのどの範囲をどのような手法でテストするかを「あなた」(エンジニア自身)が決めるのです。

『不安(ヤバい)と向き合う!』

テストの範囲、テストの手法を決めるポイントの1つが「リスク分析」です。例えば、R-Map

を用いて、「発生の頻度」、「危害の程度」をマトリクスに表し、リスクが大きいものから、テストして安全を担保していきます。

「やばいところから先にやる」のです。リスクと向き合うことが、テストで最も大事なスタンスです。

『「会話」と「まとめ」』

freee株式会社では、テスト実施の前に、開発チームとQAチームが徹底的に話し合います。

①システムの現状

②改変の内容

を徹底的に話して、洗い出すことによって、リスクを洗い出し、何をどれだけテストするかを決めます。そして、品質を犠牲にせずに最高のレスポンスでリリースを行うのです。

・「コヤマンの講演まとめ」

ソフトウェアテストは、

・ヤバいところから、先にやる。

・いい感じにサンプリングを行う。

・サンプリングした情報を基に、適した技法を決める。

というプロセスで実現します。

サンプリング≒モデリングによって、無限のテスト対象を有限に落とし込むことができます。

また、コトバを変えると、

・リスクを知る。

・対象を知る。

・技法を決める。

というプロセスでもあります。

「テスト技法」の位置づけは、サンプリングしたテスト対象を効率的に漏れなくテストするためにあると言えるのです。

事例紹介

事例紹介では、次の3人の方が講演しました。

・「テスト自動化プロセスの改善」江村 禎昭 さん(楽天)
・「テストエンジニア新人研修 心を掴む時間~get hooked(心を掴む)施策~」木村 悠 さん(ZOZOテクノロジーズ)
・「テストの実践力を養うための効果的な技術者教育に関する取り組み事例」町田 欣史 氏さん(NTTデータ)

この中に特に刺さった、ZOZOテクノロジーズ)木村さんの講演を紹介します。

ZOZOテクノロジーズのQAチームでは、「未経験者を半年でテストエンジニアにする」ために、様々な施策を行っています。

まず、動機付けです。自分の仕事がとても会社にとって、そして社会にとって大切だということを意識してもらうために、

・会社が目指していること
・テストチームとして目指していること
・テストの役割
・どういった成果に繋がるか

をしっかり、伝えてるそうです。これによって、単調にならず、しっかりと意識してテストを実行するエンジニアが生まれるのです。

また、楽しく仕事することを意識して、

・定期的にチームで「最優秀バグ」を決めて表彰するそうです。

最優秀バグは、難易度、リリース後に発覚した場合の影響度(社会的、金銭的など)といった様々な視点で決めるとのことでした。

さらに、探究心を掴むために、

・テストシナリオの深掘り

を行い、副次的にチームワークを強化するそうです。

この施策の考え方は、テストエンジニアに限らず、ソフトウェアエンジニアの育成のために、様々なシーンで役立つのではないかとの感想を持ちました。

ワークショップ

JaSST tohokuでは、毎年ワークショップを行うのが、お約束になっています。

今年は、テスト技法のワークとして

・全体で、「同値分割」、「境界値分析」のワーク

・3チームに分かれて、

 「デシジョンテーブルテスト」

 「状態遷移テスト」

 「組合せテスト」

のワークを行いました。

たかくは、「デシジョンテーブルテスト」に参加しました。

ハードでした。「持つか体力、続くか気力。」とTweetするくらい、ハードでした。

これは、偏にJaSST tohokuの実行委員の皆さんのガンバりのおかげです。例えば、同値分割のテーマでもありがちな連続同値ではなく、離散同値が取り上げられました。

デシジョンテーブルテストでは、

・どのようにデシジョンテーブルを作るか。

・デシジョンテーブルの圧縮のプロセス。

・デシジョンテーブルのテストケースへの落とし込み

を順を追って、体験することができました。

まとめ

基調講演→事例紹介→ワークショップと充実の1日でした。

改めて、JaSST tohokuの実行委員の皆さんに敬意を表します。

そして、トップにアップした写真は、今回お土産として参加者に配られた「ソフトウェアテストの練習帳」です。

B5版248ページという、最高の力作です。

川越在住。映画と音楽、お酒とラーメン好きのソフトウェアエンジニアです。 ビールは、ハートランド(KIRIN)。 🍜は、いろいろ。 好きな音楽は、クラシックギターとピアノ。好きなバンドは、ミスチル。好きなマンガは、「3月のライオン」。