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日本グラフィックデザイナー協会の最高賞「亀倉雄策賞展」観に行ってきました。

毎年この時期に日本グラフィックデザイナー協会の主催で「亀倉雄策賞展」というデザインの展示が開催されます。
この「亀倉雄策賞展」が何かと言うと、日本グラフィックデザイン会の巨人、亀倉雄策の業績を讃え創設された賞になります。デザイン年鑑「Graphic Design in Japan」に出展された作品の中から最も優れた作品に送られ、こうして毎年個別の展示として開催されています。

そんな「亀倉雄策賞展」ですが、今年は色部義昭さんという名デザイナーが受賞されました。僕の年代からすると色部さんは昔からトップデザイナーで、デザインノートやMdNといったデザイン雑誌に紹介されていたのを思い出します。今はデザイン誌も減ってしまい、トップデザイナーを紹介する媒体も無くなってしまいましたが、当時は色部さんの作ったロゴやポスターなんかを見て「すごい!」と思っていました。

そんな色部さんが今年ついに亀倉雄策賞を受賞したということで早速銀座のクリエーションギャラリーG8へ観に行ってきました。
今回受賞した作品は大阪メトロのCI(コーポレート・アイデンティティ)でした。大御所がやるにふさわしい大きくてパブリックで普遍的な仕事だと思います。こういう標識に近いようなデザインって、技術の浅いデザイナーが作ると本当にどうでもいいのができるんですが(失礼!)、トップデザイナーがやると感覚の隙間や形の小さな差異に機敏に気付いて、それをおかしくならない範囲で最大化するという、公共のデザインでありながら面白い・先進的なデザインを作ります。
例えば、普通の方達から観たら「なんか変わってるな」とか「ちょっと気が利いてる」とか「知らない間に目がいってた」くらいの感覚なのですが、デザイナーから見たら尋常でないくらい凄まじいデザインになってることもあります。なんというか、1つにならない正反対の物を1つにまとめるデザインを作るんですよね、静と動、普遍性と先進性、大衆性とマニア受けみたいな。この2つを1つにまとめられるからこそ「普通なんだけどなんか違う」感じを生み出しているのだと思います。

市原湖畔美術館のロゴ。僕はこれが大好きで初めて見た時「本当にすごい」と思いました。

それで内容なんですが、展示は実際に実物を見るのに近いスタイルでした。大理石に掘ってあるものはそれ風に、電光掲示板で見るものは電光掲示板を持ってきて展示するという。過度に装飾しない、ありのままで判断を任せるという職人的なスタイルがとても好感が持てていいですね。公共物のサインなので見て「うわぁ、すごいなあ。」という感じにはならないのですが、文字詰めの一つ一つ、地図の細かなデザインから緊張感が浮き出ていてデザイナーのレベルの高さを感じるには十分でした。

ちょっと一般の方はつまらなく感じるかもしれませんが、特にデザイナー1年生なんかの若手には是非とも行ってみてほしいなぁと中年デザイナーの僕は思うのでした。美大生・デザイン系専門学校生ももしかしたらちょっと早いかも。

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