アットホームな職場は新参者の地獄

6月13日
久しぶりのバイト。
今日は初めて行く現場である。

今まで流浪のスタッフとしてさまざまなホテルや倶楽部をさすらってきたが、今日の現場はまた一癖ある雰囲気だった。
まず、身なりが自由すぎる。ホテルのバイトって、基本的に黒髪ピッチリまとめヘアが義務であるが、ここの人は髪色も自由でヘアスタイルもおろし髪で全然OK。制服もシャツとジーンズだし、そういえばピアスとかしてる。
それに、常勤のスタッフが良くも悪くも適当である。好い加減に手を抜くので下っ端スタッフにも慕われているらしい。「5分間だけ待ってやる」とムスカみたいなことを言ったかと思えば、他のスタッフたちが「よっしゃ!いただきます!」とブッフェで残った料理を食べていた。食廃ロスには貢献できたが、だいたいこういうの怒られるよね(しかし料理は美味かった)。ただ、適当なので帰り時間が少しオーバーした。

そして何より、スタッフ全体の年齢が若い。偉そうな黒服は今までおじさんばかりだったが、ここには40代以上に見受けられる人がいないのだ。
皆若く、皆友だち感覚。
「もちづきさん!」
と他のスタッフさんに呼ばれ、何か仕事かな?と駆け寄ると
「今日一緒の〇〇ちゃん、誕生日近いからここにメッセージ書いて!」
とカードを渡された。改めて言う。ここは今日初めて来た現場である。友だちどころか知り合いすらいない。〇〇ちゃんは出会って3時間の人である。
『いやなんで?貴方達の仲良しに私を巻き込まないで?めちゃくちゃ浮いてるから』
溢れそうな不満をぐっとこらえ、『おめでとうございます!また会ったときよろしくお願いします』と、この上ない上っ面メッセージを書き残した。
今は、彼女の顔すら思い出せない。

物書き志願者です! 貴方のサポートが自信と希望につながります!