雨と寒空と貧乏

9月18日
朝、ぶるっと体を震わせて起きる。
今日はいやに寒い。

Tシャツにハーフパンツといった、まだ夏仕様のだらしない格好でブランケットを雑に被り寝ていたので、今朝の冷え込みはなかなかきつかった。今日は夜まで仕事だし、寒いのは苦手だから長袖の服を着ていくことにしよう。
どんよりとした寒空の中、のそのそと家を出る。電車に揺られ、会社の最寄駅に着く頃には雨もちらつきはじめていた。
しまった、傘を持ってきていない。世の中のニーズに応えて朝のニュース番組ではあんなに入念に天気予報を流しているのに。家を出るまでの1時間、『スッキリ』を流していたというのに。それなのに、私は。ささいなミスが自己嫌悪の念を濃くする。寒さと雨の嫌な天気ダブルコンボに、給料日前の超貧困。自分に対する悪条件が重なり合い、心の鈍色がより一層濃くなる。

もうこうなると何をしてもダメである。
集中力が散漫になってイライラするし、物事をいつも以上にネガティブに捉えてしまう。忙しいであろう相手に催促まがいのLINEしちゃった、きっと嫌われただろうな。仕事の話が来たけど一人で打ち合わせいけるかな、私のせいで案件取れなかったらどうしよう。今日高校時代の友達が食事に誘ってくれたけど仕事長引いて行けないや、もう呼ばれないだろうな。
あまりにもイライラうじうじが止まらなかったので、一度会社付近のコンビニに駆け込み、一番糖分がきつそうなチョコレート菓子を買った。と、同時に財布の中に小銭が数枚しかなくなったのでまた自分をネガティブに追い込んでしまった。それをかき消すかのようにチョコレートを貪り、頭痛薬を飲んだ。

雨は仕事終わりの頃にはさらに強まっていた。どうしよう、リアルにコンビニのビニール傘は買えない。頑張って濡れて帰るか、と半ば諦めかけていたが、ちょうど先に帰ろうとしていた先輩に「明日ライブスタッフやってお金もらうまでまじ金ないんすよ笑」とおどけたところ、光の速さで会社にある置き傘を貸してもらえた。「困ったときは『困った』って言っていいんだ」と少しポジティブな感情が芽生える。さらに日曜にアテンドのお仕事をいただけたり、私抜きで遊んでいた友人たちが私宛にメッセージをくれたり、うれしい出来事が増えていき、退勤頃にはすっかり通常通りの耐えうる程度の根暗に戻れていた。

マイナスが0に戻った!

明日はプラスにできるようにしよう。

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