とめどなくドーパミン

11月13日
午前中、本社で産業医との面談日の予定だった。

結論から言うと、予定は予定のままで終わった。
朝、起きるべき時間に起きたものの、身体が目覚めることを拒否していたのだ。
ムリ。イキタクナイ。ベツビキボウ。
そんな悲鳴を脳内に直接聞かされた感じがしたので、社員にメールで謝った。
いつかは行かなければならないのだろうけれど、でも今日は午後から予定があり、それに響くと問題なんです、ごめんなさい。
心の中でそう断りを入れて、送信ボタンを押したのち、もう一度布団に潜った。

次に目覚めたのは12時すぎだった。
ダルさはすっかり消えている。
おっしゃ!やったるぞ!と気合を入れ直し、布団を出た。
今日はいただいた案件の収録日なのだ!

AD時代、収録は苦手だった。
根本的に段取りと要領が悪いため、たくさんの人に迷惑をかけてしまう。
「1年目だから」を免罪符にも出来なくなってきて、出来ない自分に苛立ちと情けなさばかり感じていた。
私は悲しいという感情も腹立たしさも涙腺とリンクしていたため、収録の記憶には涙がつきまとっているのだ。
今日は大丈夫かしら?
誰かに怒られないかしら?
怒られなくても、呆れられたりしないかしら?
不安感で心拍数が上がり、セッティング時間の流れが急激に早く感じた。

準備やリハが終わり、いよいよカメラが回った。
私の役どころはモノ出し。
大丈夫、ちゃんとリハもしたし、台本も何周もした。
落ち着いて収録の流れに注目し、然るべきタイミングでスッと出せた。
うまくいった!顔見切れず出せた!これぞAD!現代の忍者!
ロケ自体も最高に面白く、久しぶりに『ディレクターに命令されて2割増で笑う"スタッフ笑い"』ではない、心の底からの笑い声を上げられた。

収録が、楽しかった。
1ヶ月前まで、準備から辛くて仕方なかった収録がだ。
こんな風に思わせてくれたスタッフさん、場を最高に面白くしてくれた演者さんに大感謝である。
笑顔で食べる打ち上げのラーメンは、格別の旨さだった。

物書き志願者です! 貴方のサポートが自信と希望につながります!