たまには物言おう

2月19日
日々、やりたくもない仕事をしながら生活した甲斐あってか、給与が振り込まれていたので銀行に引き出しをしに行った。
そこそこに人がいたため、少し列に並び、空いたATM機の方へ進む。タッチパネルを操作し、引き出しのための暗証番号を打ったあたりで後方からおばさまがひとりこちらへ走ってきた。
「ちょっとごめんなさいね」
私の了承などお構いなしに、彼女はぐいっと右側に入った。慌てて画面を手で隠す。
「利用明細忘れちゃってたの。大丈夫、見てないわよ」
彼女は悪びれることなくそう笑って立ち去っていった。
なるべく波風を立てたくないタイプの私だが、こればかりはいかがなものかと思った。見てないとか、そういう問題なのかしら。というか、後ろ確認したら人並んでなかったじゃん。あとでもよかったじゃん。
ああ、言いたいことも言えないこんな時代に、POISON……。(言えないのは己の努力不足)

気を取り直して、バイト先のホテルへ。
大した仕事もせず、4時間半働いただけで上がった。今回は怠惰が理由ではない。バイトのはしごである。
マッハで着替えて中野の劇場へ。今日も音響卓を我が物顔で操り、ネタを散々楽しませていただいた挙句、お給料までいただいた。ありがたやありがたや。

家に帰り、くつろいでTwitterを眺めていると、同期の芸人が慣れないPC操作に戸惑っていたようだった。
もうSOSを示しいたその投稿から1時間経ってるし、今更連絡しても意味がないのかもしれない。それに、もし私ができない内容だったらどうしよう。
また、『言えない自分』が顔を出す。
いや、朝の私とはもうちがう!助けたい人を助けようとして何が悪い!
そんなエゴとお節介の入り混じった精神で連絡し、自分の知っている限りの情報を伝えてみる。
他の方の助けがあり(というかその方がいれば私必要ないぐらい)、無事問題解決ができたようである。
そんな私にもお礼を言ってくれた同期の優しさに心が温まり、たまには勇気を出してみるのも悪くないなと思えた。

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