年も忘れられず私は

年末。忘年会シーズン。
会社などの勤め先、学校のゼミやサークルで飲み会に行く機会も増える時期である。
美味しい食事に賑やかなひと時、ついつい飲み過ぎてしまうほど、この飲み会が好きな人も多いことだろう。

しかし、私はこの『忘年会』というものを好きになれない。

少数の人数で行くものは大好きだ。
気の置けない友人たちとの楽しい時間。はしゃいでしまうのもわかる。
しかし、20人以上でやるような大きな会になると、そういった感情もなくなる。

まず第一に、超絶下戸であること。
高校の保健の授業でアルコールパッチテストをしたところ、引くほど真っ赤になって早数年。
体質の変化は見られず、成人した今でも洋酒入りのチョコレートを口ににしただけで頭痛を催したり、消毒液の匂いにくらっときたりしている。
今年の夏なんて、酒好きの友人へのプレゼントでおしゃれなバーに行き、付き合いでほぼノンアルコールのカクテルを2杯飲んだだけで5回吐いた。低燃費かよ。
そんな飲酒において致命的すぎる体質のせいもあり、飲み会に行っても一人素面のまま。バカになりきれないまま2時間過ごし、酒飲みたちが食べきれなかった冷めた唐揚げを処理したり、酔った人間を介抱するだけで会がお開きになったりする。
え?「弱くても飲めばいい」って?「飲んでバカになって吐いたら俺らと同じ」って?
ビール1杯が致死量かもしれないのに?飲んでもバカになる前にメガトン級の頭痛が襲ってきて周りを一気に冷めさせるかもしれないのに?それで数少ない友人を失うかもしれないのに?
そんなの根っからの根暗人間には無理だ。そういうのは他所に頼んでくれ。居酒屋自体は好きだからジンジャーエールで許してほしい。
そんなわがままを言える人間には言うが、人間関係が希薄(確実に自分の努力不足)なバイト先や、先輩ばかりで意見しづらい会社(こちらも確実に自分の努力不足)の飲み会で言う勇気はなく、『不参加』という手段を取ってしまうのだ。

わがままを言ってノンアル参加できた場合においても、下戸の私に気を使ってか、周りの皆も飲酒量をセーブしてくれることがある。しかしその場合、「今度は酒飲めるやつだけで集まってバカみたいに飲もうぜ!」となり、私のような人間はもちろん誘われず、比例して飲み会に参加する機会が少なくなるわけだ。
その結果、飲み会のマナーを全く知らないモンスターが誕生する。
お酌の仕方がわからないし、飲み会においての下座がわからない。その他、どのくらいグラスが空いたタイミングで先輩の飲み物を注文すべきなのか、サラダはどう取り分けるべきなのかなど、もう無知もいいところなのである。
仕事と関係のない場所で粗相を犯してしまうなんて地雷すぎるだろ。何より、仕事ではなく人間性の問題であるから、相手との関係に深い亀裂を入れかねない。
少しラベルを下にしただけで、先輩や上司に嫌われたらどうしよう……。
そんなネガティブすぎる思考が頭をよぎってしまう。そして、息をするように出欠確認で『不参加』回答。

そして何より、人が大勢いる場所が不得手であるこの性格が、大勢の飲み会において災いしている。
友達の少ない私のような人間にとって、仲のいい人間以外と『楽しく』喋ることは非常にハードルが高い。
「こういう大勢が集まる飲み会こそ、交友の幅を広げるチャンスじゃん!」とか素面で言えちゃうような明るい方にこう言いたい。
「それができたら色々と苦労していない」、と。
だいたいあんなガヤガヤした場所で何か喋ることすら困難なのに、相手にちゃんと伝わるように声を張って、なおかつ「この子いい子だな」「おもしろい子だな」ってウケなきゃいけないってことでしょ?
そんなこと私には無理だ。
第一、この声が低い・話す上での声量がない・滑舌が悪いの『相手に自分の声伝わりづらい』三拍子揃っちゃってる。
詰みです。投了です。あざした。

今のところ、仲の良い友人たちからしか誘われていないので、今年は不参加をしなくて済みそうだ。
いや、他のコミュニティから誘われないこの内向的な性格を、来年こそ改善せねばなのかも。


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