まじめとふまじめ

4月20日
早朝、起きた瞬間から私の気分は晴れない。

今日は朝10時から17時、違うホテルへ移動して18時半から22時半と、働きづめの1日なのである。
やりたくもない仕事を11時間もするなんて狂っていると思うが、稼げるときに稼いでおかないと……。そう自分に言い聞かせ、最初の現場へ向かう。

「あのーもちづきさん……」
挨拶もそこそこにシフトを決めている社員が話しかけてきた。
「今日の入り時間、間違えて伝えちゃった……ほんとは12時だった……」

あ"???

なんてセンスのない冗談なんだと思ったが、これが本当のことだというから呆れる。おま……その2時間あったらもっと寝れたぞ……。
「あの……本当にごめんね……?」
いい大人なのに信じられないくらい不機嫌な顔をしてしまった私は、いい大人に謝られるのだった。

早く入った分の2時間はグラス磨きなどの雑務をして暇を潰し、12時から17時も結婚披露宴のサービスでこってり働く。
事前に買っていた菓子パンで空腹を満たし、電車で次の現場へ。

担当したのはどっかの宗教団体のディナー会だった。
私自身無宗教で普段接する機会がないので、彼らを知ろうとサービスしながら眺める。ごはんは残さず食べるし、マナーももちろん守っているし、容姿も別に私となんら変わりない。隅の方で女性の首元に手をかざして気を送るような格好をした人がいたり、教祖の挨拶を皆立って聞いたりと、それらしさもある。
世の中知らないことだらけだな。

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