大型車の助手席、足届かなくてワロタ

3月2日
土曜ともなれば、朝であっても新宿は賑やかである。
清々しいほどの快晴が災いして、グジュグジュに荒れた鼻元をマスクで隠しながら、私は演者さんを待っていた。

今日のお仕事はイベント会場まで演者さんを連れて行き、現場マネージャーみたいなことをし、一緒に帰ってくる『アテンド』というもの。毎回違う会場に行くので、Pから発表されるときの心持ちはさながら『日本全国ダーツの旅』のそれだった。
で、今回向かったのは千葉・印西市。都内から1時間半以上かかって少し驚いた。隣接している県とはいえ、意外と遠いんだな。いやでも昨日の立川があんな遠く感じたんだから当たり前っちゃ当たり前か、などとすこぶる生産性のないことを考えながら、グランドキャビンに揺られた。

この仕事をする際に注意すべき指摘ポイントは『動線の難易度』と『ケータリング用の弁当屋のバリエーション』である。
動線は、道順が簡単かつお客様の目に触れないでステージ袖まで歩いていけるところだと最高である。それで言うと、今回の場所は変わった作りをしたショッピングモールが会場だったため、バックヤードの楽屋からステージまでの距離は異様に遠いし、曲がる箇所たくさんあるし、移動手段エスカレーターだし、なかなかヒリヒリするところだった。
「すみません、どうしてもエスカレーター乗らないと袖まで行けなくて……」
私がそう謝ると、
「全然いいですよ!それに割とショッピングモール営業あるあるなんで笑」
とフォローしてくれた。さすがは業界の先輩方である。頼もしい。

もう一点の『ケータリング用の弁当屋のバリエーション』はかなり良かった。肉系のお弁当がそれなりに種類があったし、値段もちょうど良い。できたてのお弁当で演者さん方のテンションをあげることができると、午後のステージにもさらにエンジンがかかるように感じる。大勢のお客さんを笑わせている姿を会場の後ろの方で見ていると、『いいアテンド業務ができた!』と少し満足げな気分になるのだ。

事件・事故もなく無事都内に帰り、演者さんを見送ったものの、最後の忘れ物確認で事件は起きた。
「んん……?これは……」
座席が黒色なので一瞬見逃しそうになったが、何か物体が不自然に残されている。と、ちょうどそのタイミングで忘れていった演者さんから電話が届いた。それなら、ということで忘れ物を回収し、事務所までお届け。

ミッションコンプリートし、自宅に戻り腹ごしらえをしたのち、明日までの原稿に取り掛かる。だいぶ納得のいく文章ができたので、その勢いのまま提出したが、明日後悔しそうだな……。

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