家庭内ハッカー戦争

僕はPCゲームが大好きだ。

遡れば小5か小6の頃だろうか、NEXONのメイプルストーリーというMMORPG(Massive Multiplayer Online Role Playing Game、不特定多数のプレイヤーが集まってクエストなどを進行するオンラインゲーム)をプレイしだしたことを皮切りに、以来ネットゲームをやっていない期間というのがほとんど存在しない。

そんな僕が唯一、ネットゲームから手を引かざるを得なかった期間が存在する。今日はその時のことについてだらりと書いてみよう。

(ちなみに、僕の実家はゲームやPCといった機器の使用時間に関するルールがハチャメチャに厳しかった。これにまつわる面白い話がまだいくつかあるためまた書こうと思う。)

ノートPC購入

昔から父親のPCをいじっていた僕は、小5の頃に自分のものが欲しくなり、貯金をはたいて中古PCを購入した。前述したとおり、PCの使用にあたってはルールが制定された。1日の使用時間、1時間。絶対厳守。

当初はネットサーフィンや動画の視聴、DAWソフトで作曲ごっこをする程度だったが、ゲームがしたくなった。きっかけは全く覚えていないのだけど、メイプルストーリーのアカウントを作って、当時実装されたばかりの「デュアルブレイド」という職業で遊び始めた。

最初の頃はとある理由から真面目にルールを守って遊んでいた。しかし夏休みに突入すると、一緒に遊ぶ仲の同級生もいなかったので、家で一人になる時間がとても長い。

すると間もないうちに親がいない時間にこっそりゲームをして過ごすようになった。次第にこれが習慣化してしまい、学校が始まっても夕方は学校が終わると競歩で帰宅してオンラインゲーム。親が帰宅する前には一旦中断して、親の前では1時間しっかりプレイしていた。こすい。

何故か気付かれることなく時は過ぎ、中学2年になった。この頃から学校で孤立していたこともあり、ますますオンラインゲームにのめり込んでいった。夏休みは8時間、9時間ぶっ通しでプレイがザラになり、廃人の様相を呈してゆく。当時のオンゲー中毒ぶりは今思い出しても凄まじいものがある。

すると流石に勘づいた父親が、ルーターの記録を洗い出して僕に突きつけてきた。(父親はもと回線業者なので、ネットワーク機器の設定に強い。)その場でPC使用禁止になる可能性があったが、必死の交渉を経てルーターに制限をかけるという条件で譲歩してもらった。

その制限というのが、指定した時刻の間、1時間だけインターネットに繋ぐことができるというものだった。時間が来ると回線が自動で開放・遮断されるため、一見よくできた仕組みに見えた。

宣戦布告

しかし、当時の僕はガチネトゲ廃人である。そんなことで引き下がっていられる余裕は、中毒者の僕には無かった。

まず僕は制限のかかっているルーターの型番を調べ上げ、設定方法について片っ端から勉強した。1週間しないうちに僕はルーターの設定を削除し、しれっと以前の遊び方に戻った。

だが父親の目も鋭い。僕の若干挙動不審な様子を見抜き、

父「設定消したでしょ」

僕「おん」

という会話だけを残し、黙って再び制限設定が施された。

この時点で、お互いヒネた野郎である我々親子は、戦争状態に突入した。

設定改ざん・リセット・パスワードハック

次の日学校から帰った僕は、さっそく作業に取り掛かった。

設定を消してしまうとすぐにバレるとわかったので、今度は設定してある時刻を改ざんしようと目論んだ。1時間だけオンラインになるよう設定してある部分を逆転させ、1時間だけオフライン、すなわち残りの23時間はオンラインになるように設定を書き換えた。

それをマークしていた父親はすぐにそれを修正、ルーターにパスワード保護をかけ、僕を閉め出した。

(ちなみにこのルーター、ヤマハのすごく古い機種だったので、設定はすべてコマンドラインである。いかにもっぽくてかっこいいでしょ。)

次の日にはパスワードの総当たりを開始した。そのためのプログラムを書き上げて走らせたが、どうにも埒が明かないので禁じ手、リセットスイッチを使用した。ルーターの裏側にボールペンの先を差し込んでパスワードを含む全ての設定をリセット後、ルーティングを手動で設定してこんどは僕が父親をパスワードでロックアウトした。

夜中の間に父親も同じ手段で設定を修復、僕は再び閉め出された。このやり取りは何度か繰り返され、口論に発展した末父親がルーターを膝蹴りで破壊しようとするところまでいった。その後結局同じように設定が復元されたので、これはいたちごっこだと思いつつ再びリセットスイッチを使用するも、どうにもオンラインにならない。父親が新たな手段を講じてきた。それは次のような仕組みだった。

犯罪者

もともとの実家のインターネット構成は上の図のようになっていた。制限がかけられたルーターR1の配下に僕のPCがつながっていて、さらにルーターR2を介してインターネットに接続する。鍵マークはパスワードロックだ。

それがこうなった。いままでR1でのみ制限をかけて対処していたところに、吹き出しのルールが追加された。この場合、ルーターR2にかけられたIPアドレスフィルタリングを突破しないとインターネットにはアクセスできないため、僕がR1に自動割当で設定したWAN側アドレスはR2に弾かれ、回避に失敗したということになる。

となると、R2の設定を攻略する必要があるわけだが、R2の機種は新しく、設定もGUIで可能な現代的なものだった。セキュリティも向上しており、突破は難しいように思われた。

そこで僕は本格的にハッカーまがいの手法を講じた。父親のPCにキーロガー(押したキーを記録するソフトウェア)を埋め込み、あえて父親がR1に施した設定を活かして父親のPCとR2との間で行われる通信をのぞき見できるよう細工した。これはARPスプーフィングと言って、外でやると完全に犯罪である。

いよいよというところまで行き着いた僕だったが、この戦いは思わぬ形で終焉を迎える。

インターネット解約という核爆弾

中学3年、受験期。

受験勉強も程々に、相変わらずネットゲームばかりしていたら、爆弾が落ちてきた。

父「ネット解約します」

ちゅどーん・・・。

というわけで、僕のせいで実家はしばらくインターネットなしの生活を送るはめになった。

おかげで高校受験には成功して、志望校で素敵な3年間を過ごすことができた。

代償は大きかった

こうして終りを迎えた家庭内ハッカー戦争だったが、さすがに不便だからインターネットを再契約しようということになった。

高校生になったタイミングでインターネットが戻ってきたので喜んでいたら、なにか様子がおかしい。

もう考えられないくらいノロかった。

ADSLだった。

やってきた回線はまさかの電話回線の進化系だった。ダイヤルアップでピーゴロ言わせていた時代の、ちょっとマシなやつである。実家は今もADSLで頑張っている。

この戦争の最大の被害者は僕の弟と母親である。

僕に似てオンラインゲームが好きな弟は、アップデートのパッチが入るたびに苦しんでいる。

母親がNintendo Switchでスプラトゥーンをやろうものなら、ラグがひどすぎて笑ってしまうこともある。

ご迷惑をおかけしております。僕のせいです。





P.S. とかいいつつ、僕は今NURO光で爆速ネットライフを満喫している。サイコーだぜ。

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Haru

IKEAで働きつつメディアを作っています。カメラマン、webデザインも見よう見まねでやっています。

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