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キャラクターとライセンス <21>証紙

前回の続きです。

今回は、ライセンス商品に多くついている証紙について。
一般の人には馴染みのない言葉の証紙だけど、キャラクター商品のタグや注意表記のそばについているシールなので、見たことはあると思う。
シールではなくて、印刷されているものも多くあるよ。

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↑ これが証紙

証紙というものは、正式なライセンス商品であることの証明を表すものです。
ライセンサーは、ライセンシーが「この商品のつくる数はこれだけだよ」と申告すると、その数だけ証紙シールを発行する。そして、その数だけロイヤリティをライセンシーに請求するわけなんだ。
なので、証紙の数=商品生産の数=ロイヤリティ計算のベース
というわけだよ!

ロイヤリティの料率が商品小売価格の5%だった場合、¥1,000の商品のロイヤリティは¥50となる。商品生産数(契約によって販売数の場合もあるけど)が10,000個だった場合、ロイヤリティ金額は¥500,000になるのは、小学生の計算でわかると思う。(売上は1,000万円だね)

これがプライズ商品の場合だったら大変なんだ。
大ヒットした商品は、100万〜200万個くらい出荷する。
そうすると100万〜200万枚の証紙が必要になるよね。
証紙1枚ごとお金と一緒だから、ちゃんと数えなくてはいろいろ問題が起きてくる。ライセンサーから受け取った証紙が足りなかったら、つくった商品に証紙が貼れなくて出荷できないし、申請数より多かったら、つくってない商品分のロイヤリティを支払わなくてはならない。

だから、ライセンシーから受け取ったときに、ちゃんと数える。そして工場に商品へ貼ってもらうために送るときもちゃんと数える、工場は受け取ったときにちゃんと数える。
それぞれ100万枚あるかどうか時間を掛けて数えなきゃならないんだ。
どんだけ〜!

もちろん、送るときにはトラッキングできる配送にしないと、どこかで紛失でもしたら大変。だって100万枚分のロイヤリティって、1000万円以上になるからね。

昔、ライセンスの商品が出始めた頃、生産数量をごまかして、支払いロイヤリティを少なくしようとするライセンシーが横行してた。そこで考え出されたのが証紙というシステムなんだよ。
ライセンサーがもし証紙の付いていない商品を発見した場合、ライセンシーはペナルティを受けることになる。
証紙には、ライセンシーを表すコード番号などが印刷されている事が多いよ。
証紙を印刷するにも費用がかかるので、証紙1枚に対して実費をライセンシーに要求するライセンサーもいる。

そして、ものづくりの工場が中国中心になってから、偽物の商品が出回るようになったんだ。そしてそれが世界中に流通するとなると、品質の悪い偽物と、正規ライセンス商品を区別するためにも証紙の効果は有効になった。ライセンシーもライセンス商品の価値が下がるのを避けるためにも、証紙添付は望むところだったんだよ。

でも、中国の闇工場では、偽物の商品に、証紙まで偽物をつくるようになったからたちが悪く、いたちごっこの時代が続いた。
そこで、証紙の機能が進化してきたんだよ。
秘密の通し番号を入れたり、UV(紫外線)を当てると文字やマークが浮かび上がったり、上の写真のようにホログラム印刷にしたりね。

そして、現在では証紙の印刷技術が、桁違いに高精度になったものもあります。
台湾の会社が印刷する証紙は、お札の印刷と同レベルのクォリティを持っている。数種類の印刷方法があって、顧客のニーズに合わせた証紙をつくっているよ。
例えばホログラムは、米ドルに仕込まれた帯のホログラム相当で、模造品の証紙を闇業者がつくったとしてもその違いは素人でもわかるほど。
また、証紙をスマホで読み取るとAIが真贋を判定してくれるので、これは絶対に真似ができないと思うよ。
参考動画:こちら(T-Security Company)

それほどに、ニセの証紙、ニセの商品が世の中に出回っているってことだね。証紙にお金をかけるのって、生命保険に入るようなものかもしれないと思った。

今までシール証紙について話ししたけど、証紙をパッケージやタグに直接印刷することもある。
先程のプライズなど100万枚も必要になる場合、ライセンサーに証紙の在庫がなくなってしまうこともあるし、数えることだけ考えても時間と人件費は半端ないから、節約したいよね。
証紙をパッケージに貼る作業も費用かかるし・・。

信頼のある会社に限って印刷証紙に切り替えOKって場合もあるし、ライセンサーがいちいち証紙を数えて出荷するのも手間だし、面倒だから、最初からどのライセンシーに対しても印刷証紙にするところもある。

そういう背景がある証紙なので、商品見るたびに証紙を見る癖がついた私です。

コピー商品に対する対策は、こちらのnoteにも詳しく書かれています。


つづく


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