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キャラクターとライセンス <9>ミュージシャンの権利

前回の続きです。

前にも書いたけど、ミュージシャンの権利をどうやって取得したかを、もっと具体的に書いてみますね。

プライズの商品化のときに、キャラクターは必須の要素です。
色々なタイプのキャラクターのライセンスを受けました。
私の経験では、まず最初にタカラ(まだトミーと合併する前)のトランスフォーマーをTVでアニメ化するときに取りました。
同じスキームで、いくつかのライセンシーになったあと、その頃とても人気が高かった、avex所属の大塚愛さんの権利です。といっても、彼女の肖像(写真)ではなく、LOVEという名前のうさぎ。
これは彼女が自分で描いたイラストを、avexがマネジメントしていたのです。

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このLOVEは、大塚愛のファンならみんな知っていて、すでにいくつかはコンサートグッズとして販売されていました。

プライズの商品化の多くはぬいぐるみへの権利です。
そして、ぬいぐるみにするには、写真よりもぬいぐるみにしやすいキャラクターのほうがいいので、まさにうってつけでした。
もちろんこの商品化は大成功で、実際彼女のコンサートではファンがこぞって持っていました。

それまでは、ミュージシャン絡みのライセンスをプライズで商品化することなどなかった、というのもあるかもしれません。

今では多くのミュージシャンの商品化が行われていますね。
その多くは、ミュージシャンをイラスト化したものや、このLOVEのように、本人が描いたイラストなどです。

それ以降、時代ごとに人気のアーチストやグループが注目されるたびに、「ご本人はキャラクターやイラストを描いていますか?」「グループのマスコットってありますか?」などを所属事務所に尋ねます。

もし、それがない場合、グループのメンバーのイメージを、イラストレーターにキャラクター化してもらい、企画書にして音楽事務所や管理会社へ交渉に行くのです。

プライズの商品化が実現した場合、何十万人もの人がゲームセンターで、その商品を目にすることになるので、音楽事務所としても、プロモーションの一環として権利許諾を出してくれることが多いです。
もちろん、時期の指定や、商品に付属するタグなどでのキャンペーン表記など、条件はついてきますが・・。

でも、音楽事務所に付き合いのない人って、すごく敷居が高いと思います。(イメージなだけですが)
じゃあ、どうするかって言うと、それは、あれ、あれですよ。
担当者と遊ぶのですよ!!(←前に書いた)

人気沸騰中のミュージシャンを目当てに(ライセンス取得しに)行くと、まず、足元を見られます。だって、何をつくっても売れちゃうのだから。ロイヤリティも高いし、競合との金額の釣り上げ競争にもなったりするよ。

むかし、東方神起が無名だったときに、「ロイヤリティ安くするからぜひ商品化して」と言われたことがあります。何度もお願いされるのですが、「今商品化しても認知度低いので売れない」という回答で断っていました。
でも皆さん御存知の通り、1年後に大爆発し、その後東方神起はトップセールスを続けました。
そして、そういうときに商品化の話しをしにいっても、「もう商品化のライセンスは出さない。事務所が商品化してじゅうぶん儲かるから」と言われます。

そりゃそうだ!無名の時期から商品化しておけばよかったと、だいたい後から後悔するのです。

そんな経験があったので、その後有名になったAAA(トリプルエー)は、ずいぶん早く契約し、プライズでの大ヒットを続けました。

商品化できて、ファンが喜んでクレーンゲームしてくれるミュージシャンの数は、それほど多くはありません。
だから、次は別のタイプのライセンスも、考えて取得に動かなきゃ!とライセンス担当は思うのでした・・。

ミュージシャン関連の話は尽きないのだけど、あまりここで書けないのです。

ということで、つづく


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