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キャラクターとライセンス <4>ライセンシー

前回の続きです。

今回は、ライセンシーの立場から色々書きます。
キャラクター関連を製造販売するライセンシーとしては、次から次へと登場するキャラクターの中から、自分の会社の流通先(顧客)が喜ぶ商品(売れるであろう商品)をつくるため、時間を掛けて選びます。

時間を掛けて・・なのですが、実際は競合の会社より早く唾を付けて取得しなければなりません。

エバグリーン・キャラクターと呼ばれる、流行り廃りのないキャラクター、例えばミッキーマウスやハローキティー、ミッフィー、スヌーピーなどは、ほとんどの商品が商品化されていて、ライセンシーになりたくても隙間がありません。

私がエンタテインメント系のメーカーの担当として話をします。
この業界は常に新しい新鮮なキャラクターを求めています。
すでに商品化されているキャラクターではなく、「TVアニメで人気が出そう」「初めて見るキャラクターなので新鮮」「バイヤーの好みだ」などという基準で探すので、そういったキャラクターがどこで出現するかわかりません。

そのため、業界やメディアの種類など、いろいろな違ったところにアンテナを張って、キーマンたちと常に情報交換します。
キャラクターを専門に扱うエージェントたちは特に重要です。
また、SNSや雑誌、TVなどにも関心を持っていなければなりません。

話はそれますが、キャラクターの選択、交渉、契約、商品化スタート、デザイン、監修、完成、受注、製造、検品、納品まで非常に時間がかかります。
例えば、ぬいぐるみの場合は早くて6ヶ月、長ければ12ヶ月もかかります。
キャラクターを見つけて、商品化されるまでにそのキャラクターの人気が持続されるかどうかも、判断基準の一つになりますね。(エバグリーン・キャラクターであれば心配ないけど)

昔は、TVアニメのキャラクターの権利を取得して商品化するとよく売れて、それが主流でした。鉄腕アトムや鉄人28号(知ってるかなぁ?)などです。
次にサンリオ、学研ビクトリアファンシー、ヤングコクヨ、ソニークリエイティブプロダクツ、ミドリ、などが自社キャラクターを自社流通で展開したキャラクター。
これらのキャラクターをファンシーキャラクターと呼んでいた(この頃はキャラクターの商品をファンシー商品)。ハローキティ、バイキンクン、キキララ、ケロケロケロッピ、マイメロディ・・(この頃が第1次キャラクター黄金時代)

これらのキャラクターを生み出す企業がライセンシーとなって、海外キャラクターも自社流通で製造販売し始めました。
サンリオがPEANUTS、学研がTom&Jerryというように。これがまたバカ売れしたことにより、海外のキャラクターが次々に日本に上陸しました。
POPEYE、Betty Boop、Ferix・・・(みんな少しは古くからあったけど、輸入品がほとんどだ)
※海外キャラクターについてはまた別途

そして、それらのヒットを見た専門業者が、文具や生活雑貨中心に販売していたサンリオ、学研、ソニーなどが展開しない、大きな商品や、得意な流通への商品カテゴリーをライセンシーとなり日本全土へ商品展開した。そのおかげで海外キャラクターも認知が一気に広がったのです。

その後、TVキャラ、CMキャラ、ヒーローもの、アニメキャラ、オリジナルキャラクター、写真系、アイドル、韓国系、LINEスタンプ・・と続くのです。
今は混沌としていて、もう何がなんだか・・
ファンシーキャラの黄金時代が懐かしい!!

ライセンシーとしては、ヒットしているキャラクター商品を見て、自社の商品に展開したときに、ユーザーの反応がどうなるかの想像力が必要で、また、企画力も問われますね。
昨今は、リスク回避で、受注販売やテスト販売して、石橋を叩きながら商品化してるけど、どーんとギャンブルしてたよね昔は。

さて、ライセンシーから見たライセンサーについてですが、
ライセンサーにもいろいろな種類(タイプ)があります。また、同じ種類であっても各社違いがあり、全部を把握するのは大変なことです。
・サンリオ、サンエックスなど、自社でも商品を作り販売しているところ。
・コミックなどを販売している、講談社、小学館/集英社など出版社。
・アニメの製作委員会。
・TV放送しているテレビ局。の窓口や子会社。
・ゲーム会社。
・音楽出版社。
・CM制作をしている広告代理店。と一部制作プロダクション。
・海外コミックの窓口である映画会社、ワーナーやディズニーなど。
・ミュージシャンを管理する音楽事務所。
・LINE社などのSNS系。
・ユーチューバーなどを管理するUUUMなど。
・タレント事務所。
・写真家、岩合さんとか。
・SNSが個人の発信源となったので、オリジナルキャラクターを制作する個人作家など。
※それぞれの交渉テクニックについてはまた別途。

共通で言えることは、各社の動き、窓口と担当者、会社の状況、ライバル会社が同じ動きをしているか、を常に把握しておく必要があります。

そして、ライセンスキャラクターを探している同業以外のライセンシー。
実は、ここがとても重要で大きいのです。なぜなら、他社の仲の良い担当者と常に情報交換していると、自分が知らなかったプレゼン(ライセンスを取得するための企画書)の締切日を教えてもらったり、タッグを組んでビジネスボリュームの大きなプレゼンを一緒に作ったり、イベントを一緒に企画したりできるのです。

次はもうちょっと、専門的だけど具体的に書いてみる予定です。

そして・・つづく


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