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キャラクターとライセンス <5>ライセンシーの仕事

前回の続きです。

ライセンシーのお仕事
エンタテインメント系メーカー(ライセンシー)のライセンス担当だった私です。
エンタテインメント系といってもいろいろありますが、私の経験として、クレーンゲームの景品をキャラクターで商品化していました。この視線で体験したことを書かせていただきますよ。(出てくる会社名は想像におまかせします)

「UFOキャッチャー」はセガさんの登録商標です。
「ゲームセンター」はたしか、タイトーさんの登録商標じゃなかったかな?

クレーンゲームの景品(以下プライズ)はゲームセンターのバイヤーに買ってもらうので、仕事としてはBtoBになります。でも、そのプライズはゲームするユーザーによろこんでプレイしてもらえるものでなくてはなりません。
なぜなら、ゲームセンターにおろした商品がプレイしてもらえなければ在庫となり、店は赤字になるからです。

プライズはキャラクターを一気に広げるから(こわい)、ライセンスは一般商品が消費者に一巡してからライセンスする・・と言われていた。
しかし、7〜8年前から(?)、プライズはキャラクターを広めるために最初にライセンスしよう・・に変わってきた。
プライズは売れるものでは数万から数十万個が販売されるので、ライセンサーとしてもロイヤリティー収入がものすごいということに気がついたのかもしれない。

プライズの多くはキャラクターのぬいぐるみです。
そして、いつでも最新のキャラクターが求められています。
だから、いろいろなライセンサーの担当者(前回書いてます)とつながっていました。
そして時間がある限り、飲みに行ったり、会社へ出向いたり、電話したり、フェースブックでチェックしたり、メッセンジャーでお伺いを立てたり、展示会へ行けば必ず顔を出して近況を聞いたり、そういったことをして情報を集めます。

人と話するだけではありません。PRタイムス(各社のニュースリリースを発行している会社)に登録して、毎日ニュースのヘッドラインを1000以上チェックしたりしています。
情報収集だけでもそういったことを習慣化してます。

まず、目的のキャラクターを見つけたら、ライセンサーの担当に連絡。普段から会話している人であれば、単刀直入に「あのキャラクターはプライズにライセンスしてくれる?」と聞くだけですね。私の場合だいたいこういう感じ。
そして必ず「他のプライズメーカー取りに来てる?」と聞きます。これは重要で、他のメーカーが取りに来ているとしたら急いで契約しなければなりませんし、そういうときには、プライズで売れる見込みがあるから取りに来てるわけで、プライズとして良いキャラクターといえます。

同時に「他のカテゴリーへのライセンス状況は?」も確認します。他のカテゴリーに多くライセンスしている状況であれば、そのキャラクターは一般ユーザーの認知度は高くなるはずです。いろいろなお店で目にすることがあるからね。
そのメーカーが分かれば、契約前に売れ行き状況や見込みを聞いておき、契約前に社内の決定会議に資料とすることができるのです。(これは、会議で「このキャラ来ますよ!」と叫ぶだけでなく、「A社もアプローチしてるし、雑貨、アパレル、ステーショナリーで商品化されるから、認知度は大丈夫!」と説得力のある候補推奨になります)。

次に契約交渉です。
多くの場合、ライセンサーとの長い付き合いがあるので、かんたんな交渉です。「いつもの通り?」「そう」「じゃあ、契約書お願い!」以上。
でも、プライズの場合、同時に複数のキャラクターを展開しているので、それだけじゃぁありません。
キャラクターのライセンサーばかりではなく、芸能事務所や、個人の作家の場合もあります。また、海外の映画会社の日本法人と交渉することもあります。

個人の場合、契約書など交わしたことがない人も多く、要点を契約書とは別に用意して、わかりやすく交渉しなければならないし、映画会社などとの契約は、ほとんどこちらの要望が通らない事が多いので、先方の条件を会社の法務部にネゴしなければならないのが大変です。
まして海外の会社であったら、契約書が英文が多いので、契約書を理解するまで時間がかかります。(ディールメモというのがあり、契約書の重要な部分だけ書かれた書類が先に来ます。)

契約が済むとアートガイド(使っていいイラストなどの素材)をもらってデザイン作業に入ります。
商品の完成予想図(ぬいぐるみの場合三面図など)をライセンサーに提出し、監修を受けます。(これがアプルーバル)
監修が1発でうまくいくと楽なんですが、なかなかね〜!

監修が下りると、次に製造です。(だいぶ飛ばしてますがw)
ぬいぐるみは100%海外(アジア)の工場で作ります。
監修済みの三面図に詳細を加えて、試作を依頼します。(実際は監修掛けている間に進んでいますが・・)
試作が上がると、修正箇所がない場合はライセンサーに送って、現物監修を受けます。
それがOKになってから、工場へ発注するよ。(プライズは受注生産になるのですでにバイヤーから注文はもらっている)
製造数量確定時に(もしくは四半期ごとに)、ロイヤリティー計算書をライセンサーに送って後日請求書が来るのを待ちます。

本商品ができてきたら、契約書に書かれている無償サンプルをライセンサーに送ります。
その後、検品を済ませた商品を流通に乗せて終了です。
作業としての終了だけど、その商品の店頭での動きなど、営業を通じて確認し、次のキャラクター取得に反映しなきゃですが・・。

でも、プライズはクレーンゲームの景品なので、ぷらっと訪れたお客さんに、「あ、これ絶対取って帰りたい!」と思わせなきゃならないので、あっと驚くキャラクターなどを景品にしなきゃならないのです!!

つづく


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