繊維製造工業マーケティングのすすめ。4

前回の #繊維製造工業マーケティング はご紹介いただいたおかげもあってか、かなりの方々に読んでいただけたようで嬉しく思います。ありがとうございます。

しかしまだまだ企画者向けの『製造の勉強シリーズ』の方が人気が高く、川下付近の企画者やデザイナー方の勉強熱心さに心を打たれつつ、川中川上工業の方々にも、もっと川下に寄っていただきたいと願うばかりです。

さて、我々繊維製造産業は前回も図で示したように原料から始まる川に例えられていますね。
いわゆる川上、川中、川下の事ですが、このnoteを初めて見る方もいらっしゃると思いますので改めて略図を置いて振り返っておきます。

この商流から現代の繊維製造工業従事者の多くが陥ってしまっている現状は、前回のnoteをご参照ください。

では、今回も掘り下げていこうと思います。

材料は何にでもなる

国産製造工業の方々が陥りがちなところとして、既存の業界で何とかしなければならないと考え方を固めてしまっているところです。

今回ご紹介させてもらうのは、この繊維業界の川の始まりからほど近い、というかほとんど川上の川上、糸屋さんについて。

糸は繊維業の始まりなので、ここから如何様にもカタチを変えて世の中へ出て行きます。この辺でカンの良い人は気づくと思いますが。

では糸屋さん、もしくは紡績工場はどのようにして商売を獲得しているのでしょうか?
僕の知り合いで少し変わり者な糸売りの人たちの仕事の仕方を少し紹介します。

何人か同じような動きをしている人たちがいますが、彼らは一様に『顔色が良い』です笑
この業界で顔色が良い人は基本的によく売れてる営業マンです。
「全然アカンわ…」という人たちが多いご時世、なぜ彼らは顔色が良いのでしょうか?

その答えの一つに、彼らはファッション衣料品に固執していないところがあると思います。
どういう事かというと、あくまでも実需優先なのです。
彼らは自分達が持っている商品の要素を置き所を変えれば違った商圏が広がっていくイメージが常にあります。「ファッション業界じゃなきゃダメだ!」なんて、1ミリも思ってません。
これは糸屋さん及び紡績工場に限らず、繊維製造工業全体にいえることでもあります。前回の内容でも触れましたが、我々製造業はあくまで『何かが出来上がるまでの一つの要素』でしかありません。ここを勘違いしてしまうと、自分で自分の首を絞めてしまいます。
僕ら製造業は自身がブランドを持たない限り、あくまで誰かの何かになる要素の一つです。(ブランドも消費者にとっては生活の一部の要素でしかありませんが)
その後の使用用途は完全にユーザーが決めることなのです。

一つのジャンルに固執しない

先程も書いた通り、特に糸は繊維業の始まりなので、ここから何にでも変化します。
テーラー向けの布帛にもなれば、Tシャツ用の丸編み生地にもなるし、セーターニットにもなるし、靴下にもなる。タオルだってバッグ用途の素材だって。軍手や縫糸にもなれば医療資材にだってなれる。ロービングなら自動車のマフラー消音材にだってなる。糸の持つ市場の広さはかなり広いです。

顔色の良い糸売りマン達は、その出口の広さを理解していますし、常に開いた市場に対してアンテナを張っています。
百貨店高級衣料品向けの原料が多かった会社の営業マンは、百貨店向けの数字が先細り出したことを察知すると、すぐさま靴下のサンプルを自社の糸で編み、その靴下のサンプルを大手靴下メーカーへ提案しだしました。
カジュアル向け衣料品用の糸が中心だった会社の営業マンは国内ファッション市場の衰退を感じてすぐさまノウハウをまとめて出口だけでなく生産拠点もろともアジアへ舵を切りました。良い意味で視野が固まっていないのです。

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ヤマモトハルクニ

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