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ロット割れとチャージアップ。

令和突入即インフルエンザが発症してしまい、高熱にうなされてましたが、熱も落ち着いてきたのでタイトルの『ロット割れとチャージアップ』について書こうと思います。
繊維業界にある程度いる方なら、なぜ経済ロットというものが存在するのかはご存知だとは思いますが、これからブランドを始めようという方、特に素材からこだわってオリジナルの生地を作っていきたいという方は知っておいて損は無いかと思います。

経済ロットとは?

サラッと書きましたが、そもそも経済ロットとはなんでしょうか?
例えるなら、『スーパーで1本ずつ小売されるジュースが卸問屋から仕入る時は1ケース24本入りでケース単位の取引が基本』みたいな感覚です。

過去に書いたブログを参考にしてもらいつつ簡単に記しておきます。

丸編み生地の経済ロットの実数はブログを参考にしてもらうとして、簡単に言うと、見積り提出している単価で生産する時の適正な生産量のことです。
「は?」ってなりそうですが、これは「生地をオリジナルで作りたい!」という人が、「いくらですか?」と聞いてきた時に、こちらから「どのくらいの量を作りますか?」という質問で返してしまうくらい見積りは慎重に答えなければいけないものです。
ここでどのくらい生産するかを聞かないで「¥1,000/mです!」なんて言った日には、10mしか生産しないのに、「¥1,000/mって言いましたよね?」ってなったりするので非常に慎重にならざるを得ない場面です。

生地種にもよりますが、丸編み生地の場合は概ね、4-6反/色が加工の経済ロットで、16反くらいが編みの経済ロットです。この要件を満たしている場合に提出された見積りが有効という感じです。
※生地種によるので全てがこの基準ではありません。

この基準を下回る場合コストは大きく変わるのです。

ではなぜ生産量によってコストが大きく変わるのでしょうか?

ミニマムロットの真意

生地をオリジナルで生産する際に、見積りを取る場合、ミニマムロットを併せて質問することで、業者側の返答精度は大きく変わります。
先程、経済ロットは提出した見積りが適正量生産した場合のものと説明しましたが、この適正量は物質量的に適正な場合と、工業製造都合的に適正な場合があります。
ミニマムロットとは、この物質量的に最小限の生産量だった場合、掛かるコストを算出するのが本来の意味です。工業製造都合はこの物質量に合わせて工賃を上下させることで(心理的不満は解消されないが)折り合いをつけていくカタチになります。

このブログでも書いたように、物質量的最小限生産数は丸編み生地の場合、目安は10mになります。が、10m生産した時の物性的リスクや異常な単価、及び工業からの心理的嫌悪感に、10mで生産するメリットはほとんど見当たりません。

例えば、綿糸を買い取る際には既に22.5kgという、それ以下の単位では買えないロットがあります。それを仮に30/1で28ゲージの天竺を編む場合は普通度目で持掛目付けで約275g/m、10m編む場合は2.75kgしか糸を必要としないので、19kgもの糸を無駄にすることになり、しかも編む前の段取りも含めておよそ丸一日以上の手間暇が掛かるため、編み工賃は相当な高値になります。
そして、1色幾らという染色工賃を乗り越え、物性コントロールが出来ない短い反物を相当な金額で購入して、店頭に出してから「洗ったら歪んだ」と言われたら、一番困るのはブランド自身です。

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