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追いきれない製造背景の闇は誰にとっての『悪』なのか。

業界的にも話題になりがちな製造背景の闇。少し僕の見解を書いておきます。トレーサビリティが世間的に重要性を増す中、これは現状製造に属している僕の知る限りの実態であり、それに対する所見です。僕の所見である以上、受け取る人によっては否定的な捉え方をする方もいると思います。ですが、タイトルに対して以下で述べることで犯人探しをするつもりは一切ないことを先に断っておきます。

一つ、僕が切に願うのは、売り手も作り手も、この業界内で揉めるのではなく、最終購入者の喜びや幸せを願って双方前向きに衣料品製造業に向き合っていけるような、そんな未来を思い描いて、今まで発信してきたので、これからも続けていこうと思っているのです。
綺麗事だと言われても、これは本心です。

僕は、結論、世間で商品が景気良く売れていかないと、就労環境改善は難しいと思っています。大きく見たら、お金の循環的に普通のことです。基本的には作った商品が売れたお金が作った人たちへ循環するのですから。
しかしそれぞれの立場での利益の主張などもあり、販売も企画も製造もベクトルが揃わなければお互いに不平不満が出ます。そして最終的にお金を受け取る製造側は特にその割を食ってると世間からは見られやすいです。

外国人研修生について

『研修生は技能研修をつむための社会貢献制度だから、安価労働力だと見ていることがすでに筋違い』という論調に対する思いは一旦置いておきます。
外国人研修生の不法就労が表沙汰になると、依頼元が槍玉にあげられがちです。ちょっと前だと、某大手セレクトショップの背景で大きめの事件がありました。依頼主は直接関与がない場合が多いので、これを否定しがちです。まぁそうですよね。僕からしたらすごく普通のリアクションです。
なぜなら結構な割合で中間業者が入っているから。工場と銘打っていて自社工場をきちんと擁している場合でも、『外注』というのはあり得ます。だから聞き覚えのない工場からリークがあっても、寝耳に水状態なのは別に不思議ではありません。

でも世間の目は違う。
認知がある名前に対して責任を問うのが世間。そしてその声に乗じて末端の工場までが不満を表明し、さも『この業界の悪』のように吊るし上げるのは僕は少々違和感を感じます。

仮にみなさんが商売をしていて、A社へ依頼したら¥1,000と言われたものが、同じクオリティでB社から¥850と提案を受けたらどちらを選択しますか?

おそらく感情的な繋がりが特に無ければ、迷いなくB社を選択するはずです。だってB社がその提案をしてきたのですから。

そうやって商売を取っている人たちがいる以上、それはそのB社の事業健康性を疑うより先に単価が安いという利便性をとるでしょう。
もちろん、依頼元が選択した製造背景の先で起こったことは、そもそもの選択責任があるので、違法となれば、全く知らぬ存ぜぬでは世間は納得がいかないでしょう。それはそうだと思います。当然僕だって自分が選んだ仕入先が不法行為をしていた場合は、僕に選択の責任があります。

ところが、二次受託先の就労状況を一次受託先が理解できているかというと、これもそうではありません。担当ベースでのやり取りで「いつまでに、いくらでできる」というやり取りがメインで、その条件に合致したら仕事を依頼するという感じです。その際に一次受託先から「御社は研修生を不法就労させてないよね?」なんて確認はされませんし、されたところで「はい、不法就労させてます」なんて言うわけないです。『もちろん合法営業されている』という性善説が基本です。

なのでこれに関しては、不法就労させている実態がある工場経営者が法律を守れていなかったと言うことになりますが、「そうさせてしまっている業界自体が良くない」と言う工場経営者は多いです。だってそういう会社はルールを破らないと利益が出せないから。
現状の彼らの努力レベルからすると、工賃をあげてもらう交渉をして他所へ振られて仕事を失うか、ルールを破って仕事を受託するかの二択くらいです。だから自然と環境に対して不満がでる。「中抜きの幅が大きいから苦しい」など、今度は工場側から依頼元や中間業者に怒りの矛先が向けられる。

これは何も縫製業に限ったことではありません。僕の知る限り、紡績も編み工場も、染色工場も、今求められている価格と価値に対して見合った労働力を確保するために、外国人研修生を受け入れています。
末端の方では、工場主がサイドビジネスをしながら、さらに外国人労働者をどういった経緯で雇い入れたか不明瞭な状態で、誰も真似できないような安価な工賃で仕事を受託しています。そして、そういった末端工場をハンドリングするメーカーがあり、その先に問屋あり、個人商店あり、テキスタイルの領域にもたくさんの中間業者がいます。

縫製はブランド名に直結しやすいので表沙汰になりやすいですが、じゃあその生地を作った工場まで追ったら、もっともっと歪みを見ることになります。でも生地を買うときは、生地メーカーや問屋から買うから、そんな実態は誰も知りませんし、気にしません。

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追いきれない製造背景の闇は誰にとっての『悪』なのか。

ヤマモトハルクニ

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ヤマモトハルクニ

究極の素材を創造する ulcloworks Inc.代表取締られ役/工業とファッションの交差点/カットソーメーカー/カットソー素材変態/丸編み生地製造15年/マーケティングで工業とファッションをつなぐ 会社HP/ブログ→ https://www.ulcloworks.net
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