PNGイメージ-15D6CA4E59C2-1

繊維製造工業マーケティングのすすめ。19

弊社4末決算のため、処理に追われて記事更新が滞ったこと、お待ちいただいた方々、申し訳ありませんでした。そしてお待たせしました。

さて、決算を終えて思うのは、やはり『営業のやり方』は非常に大事だなと実感しているので、今回はその点について触れていこうかと。

工業上がりの身としては、『根性論』は非常に愛すべき思い出たちもあり、いくらか成功したこともあったので全く否定はしませんが、闇雲な『根性論』は思い通りの結果に結びつくまで相当な体力を要します。
『根性論』の営業方法としての代表格はやはり頻繁に顧客先へ出向く接触営業。
大阪の中堅生地問屋の某社のように『営業外出手当』なるバラマキ政策をもって営業の頬を叩き、平日昼間に社内にいようもんなら「売りに行ってこい!」と発破をかけ無理やり顧客に接触営業させたとしても、効果的な数字をあげられるとは限りません。むしろそのスタイルで顧客を失う危険性だってあります。
あまり営業に出かけずとも、数字をあげられる人だっています。根性見せても売れないもんは売れません。

要は適材適所適時適方法なので、営業個人個人の得手不得手や、客先の状態、シーズンや商売形態など、様々な要素を会社都合の一定のやり方でカバーすることは不可能です。そこを勘違いして、大きめの合同展などに合わせて出張周り営業をかけられても世間話くらいしか、自社に持ち帰る『お土産』はできません。

接触営業が求められる先は既に渋滞中

接触営業が最大の力を発揮する客先の属性としては、期中生産を軸に企画展開している相手です。恒常的に案件が転がっているので、数字の安定性が見込めるため、工業としては狙いたい先の一つです。
しかし非常に競合が多く、取り組みとして確固たる地位を築いている先陣がいるので、そこへ割って入るのはそう簡単ではありません。

よほどのメリットを相手に見出してもらえないと、まず入り口にも立てません。向こうが名指しで探している場合を除いては、ほとんど可能性は無いと思っておいた方が良いでしょう。
ただ粘り強く通うことで、奇跡的に担当者との人間関係を作っていくことができたら、チャンスが転がり込んでくる可能性はあります。それこそ接触営業の『根性論』が勝つ瞬間でもあります。

せっかく得たチャンスをモノにすることが出来たら『継続』が見込める可能性が高まります。最初の取引を完璧にこなせば、相手からの信頼も厚くなり、継続で案件を依頼されるようになっていきます。だから入り口は非常に大切です。
特にこういう先を攻める場合、期中生産メインということは生産期間も絞られているので、コストや色などが具体的にパッケージ化されている提案は非常に相手にフィットします。が、同時に同質化も招きます。テイストが被っている先を並行で攻めていた場合は、最悪同じ生地品番で同じような型を依頼されることもあるでしょう。

これは自社の売上を目的とする場合、ある程度捨てなければならない部分ではあるので仕方の無いことです。業界発展がどうこうより、まずは自社の売上を立てることが最優先なら、バンバン接触して口八丁手八丁で押し込んでいくことも可能です。(現にそういうメーカーは多数存在する)
が、「相手にとって長期的にプラスになるか?」という視点では、あまりおすすめできないと個人的には思います。結果的には店頭で売れた方が相手にとって良いことなので、そのような同質商材でも瞬間的に売れたら良いのかもしれませんが、市場の大きさは一定なので、どちらかが食い合うことになることは容易に想像出来ます。

古典的で、数字を作るという点においては正攻法と言えますが、やや利己的なので、大きな目線でいくと業界の衰退を促進させてしまうことになると僕は考えています。だから僕の場合は最初に「〇〇はどんなのが売れてるんですか?」と聞いてくる相手には完全にシャッターを下ろしてしまいます。商売下手ですね。

根性が空回りする時

また『根性論』が正義にすり替わってしまっている人を散見します。会社を経営するようになって痛感するのは、「こんなに頑張っているのに認められない!」という人たちは非常に多いです。

特に、フィジカル的な運動量が多いのと経営的に尊重できる運動量が比例していない場合、残念ながら評価のしようがないので、おそらく本人の想像以上に経営者からの評価は低いです。
接触営業を奨励している会社でさえ、やはり運動量に見合った『結果』がないと評価できないので、その『根性』は『結果』を導き出すためにどう使うかをきちんと見定めていく必要があります。

ここから先は

1,563字
この記事のみ ¥ 200

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?