繊維製造工業マーケティングのすすめ。5

繊維製造工業は『ブランド化』とか言う前にもっとやる事いっぱいあるんで、まずそれなって話です。また後で詳しく書きます。

工業側の人たちが既存商売の衰退に直面した時に、「そうだ ブランド、作ろう。」みたいな流れになったりしますよね。いわゆるファクトリーブランドってやつです。
「職人の魂が宿った至高の一品を透明なコスト開示で某メゾンのクオリティを買いやすい値段で提供します!」的なの。やってません?

職人さんの魂が宿った商品は前々回書いたように、当然突き詰めてください。言うまでもありません。一応、前々回のやつ置いておきますが、ブランドって物が良いから売れるほど単純ではないです。

自社技術が売り物になっているのに気づくと(当たり前のことですが)、これが『ブランド』になるという発想自体は個人的には良いと思います。ブランドという概念が多様化している中、各位が自発的に『ブランド』を名乗ることは各位なりの文脈があると思うので僕らがどうこう言う問題ではないです。

ただ、理想と現実の乖離はかなり大きいもので、「ちょっとやってみよう」というノリであれば、下手に手を出さないほうがいいです。
当然といえば当然ですが、世の中にある『ブランド』と呼ばれているものを運営している人たちは、その商売を命がけでやっています。その下支えである製造工業の皆さんが、安易に「儲かるかも」という理由だけで乗り出して上手くいくほどブランド運営は簡単ではありませんし、衰退している売り上げを改善するためにブランドを立ち上げて急場をしのげると思ったら痛い目に合います。

やるなら本気でやりきってください。

僕自身も、前職時代にファクトリーブランドの運営経験があります。
会社の売り上げを底上げして、延いては核事業に仕上げていく気満々で臨みました。自社の生地を使って上質なカットソーブランドを・・・
デザイナーさんやパタンナーさんなど外部の方々のお力をお借りして、計5シーズンやりました。簡単にまとめたブログが過去にあったので興味あったら見てみてください。

結論から言うと、結果は良いものではありませんでした。
あ、すみません、ちょっと盛りました。控えめに言って失敗しました。
そこで得た経験はその後の仕事に対してかなり大きな教訓になっているので、「ブランドやりてぇな」って思ってる工業諸兄に参考にしてもらえたらと思い、つらつら書きます。

繊細さや想像力が足りない

まず冒頭に書いた通りですが、繊維製造工業の方々は自社ブランドどうこう言う前に、商品クオリティではない部分で見直さなければならないところがたくさんあります。
例えば納期。繊維製造工業は残念ながらよく納期遅れします。これがブランド卸で小売に対して「一週間遅れます」とかを普段の工業ノリで言っちゃうとブランドの信用なんて一瞬で消えます。
「なんで?たった一週間やん」って思った製造工業の方、いらっしゃったら挙手してください。
手が上がった人はまずそこから見直してください。普段の仕事で一週間遅れとか平気になっちゃってる人はそもそも売り上げの衰退原因がそういうところにあったりします。

その一週間の遅れで卸先がどういう思いに至るか想像できなかったり、ひどい場合はその一週間の遅れを責められた時に「本業の生産があって仕方なかった」などの言い訳が出てしまったりすると最悪です。それは作る側の問題で、お客さんが飲む条件ではないです。

遅れてしまう事自体は色々な理由があり、避けられない事もあるとは思いますが、そうなってしまう場合の対応などが「仕方ない」などの"開き直り"では心情的に飲めるもんも飲めません。人として普通の感覚があればわかりそうなもんですが、案外これができない人多いです。

クオリティに自信があっても細かいところで問題があった時に「そんなもんだよ」という開き直りをしていることないですか?

わかりやすいところで納期の話をしましたが、これ以外にも気をつけた方が良いところはあります。
自分が普段から既存の得意先に対してどのような態度で接しているか客観的に見てみてください。結構工業都合の物の言い方や対応になっているのに気がつくと思います。言葉遣いを丁寧にした方が良いとかいう話ではなく(もちろん言葉遣いも丁寧な方が良いですが)、内容を丁寧にすることを意識して欲しいです。

繊細な対応と想像力を働かせたコミニュケーションが出来るようになると、既存事業においても川下との接し方に違いが出てきて顧客さんとの関係も良いものになっていきます。

芽が出るまで我慢できるか?

次によくある思い違いが、即数字(売り上げがたつ)になると考えているところです。これはブランド運営に限らず、既存事業において新規顧客との商売を始める際にもある感覚のズレです。

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ヤマモトハルクニ

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