繊維製造工業マーケティングのすすめ。9

繊維製造工業は、歴史上キャパ売りの商いでした。需要が高まり製造業が繁栄した過去があるので、その際に設計された工場設備は大量生産することで安価に提供できる仕組みになっています。
元々求められて発展してきた背景がありますので、縮小傾向にある現代においては工場スペースを埋めるために、競合他社から受注を奪うべく、値段のくぐり合いが日常的に行われています。この価格戦争に勝てなかった業者から篩に掛かり廃業に追い込まれ、残った業者が安価労働にキャパオーバーで悲鳴をあげている状態になっています。

一時代を築いた人たちのマインドはそう簡単に変えられるものではありません。こうやって誰かが日々製造について発信していて、仮にこのような記事を目にしても、自分のことだと気がついても知らんフリを決め込んで現実から目をそらし、高級愛車を愛でていませんか。違いますかそうですか、いつも読んでいただきありがとうございます。

コスト計算が本来の損益分岐点から大きく下がってしまっているのが現状ならば、市場を変えるという判断も時には必要です。赤字を垂れ流しながら運営して、せっかくの別口資産を溶かしてしまっては、世の中に不満を感じてしまいますよね。善意だけで企業運営しているなら立派な思想かもしれませんが、その安価な受注に引っ張られて他社まで追い込むのは完全に迷惑行為です。是正してください。本業で黒字に持っていけるような発想をしてください。

このブログを元に、工業の損益改善を考えていきたいと思います。

売りたい値段と買える値段は違う

何度も書いてますが、工業のみなさんは、自社の技術にかかっている手間や、原料のスペックで積み上げられたコストが割高だから、商品の価格が高くて当然という考え方になっています。もちろん物理的にそうなのだから仕方ないのですが、それが売れるかどうかは全く違う次元の話です。
それが売れないとおかしいと思っているところがいわゆるプロダクトアウト思考です。

年間生産量を把握して、損益分岐点を下回る受注を改善するために、腕によりをかけて機械の調整をし、難攻不落の原料を加工して、未だかつてない最高の商品を作り上げたその情熱を、僕も誰かに『みなさんが売りたい価格』で認めてもらいたいといつも思っています。
ところがいざ売りに行ってみると、「高いから使えない」というリアクションに合い、「なんでこんなに良いものがわかってもらえないんだ・・・」とショックを受けることがあると思います。

お客さんにはお客さんの都合があります。仮に良いものだと認めてくれても、値段がつり合っていると判断してもらえるかどうかは別の話です。百歩譲って、商品と値段がつり合っていたとしても、そのお客さんの市場とその商品がつり合っているかどうかはまた別の話です。

そのすり合わせもなく、一方的に自分の視点でしか考えられていない『良い物』というのは、果たして会社の収益を改善する価値のあるものなのでしょうか。

誰か買ってくれる人が見つかるまで待ち続けますか?
現れなかったらどうしますか?

市場調査の重要性

自社の経営資源を把握したら、それが受け入れられる市場を探す必要があります。買ってくれる人が現れるのを待つような商品づくりではなく、必要としている人が買える商品づくりをするのがセオリーです。そのために市場を幅広く知ることは非常に重要なことです。

工業にとって、設備背景はそんなに簡単に変えることはできません。流行しているからといって、即座に自社にない設備を導入することは現実的ではありませんし、増設している間に流行は過ぎてしまうかもしれません。
一番近道なのは、自社設備でできることが、売りたい値段で売れる市場を探すことです。簡単に言いますが、難しいことなのは承知しています。
しかし案外、工業の方々は仲買に良いようにやられて、実は自分たちの商品が通用する価格帯の市場が存在していることに気がついていないだけかもしれません。

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繊維製造工業マーケティングのすすめ。9

ヤマモトハルクニ

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