繊維製造工業マーケティングのすすめ。12

製造工業にとって、新設の工場ではない限り、受注内容は今ある設備で『できること』が中心になってしまいます。物理的にできないことは、できませんからね。でも、本当は『できること』を営業努力の怠りによって自ら『できないこと』にしてしまっていませんか?その可能性を否定することが本当にできますか?

『得意なこと』はいつでもウェルカムですよね。『苦手なこと』はできれば避けたい。これは心情的に理解できます。でも、『得意なこと』が受注の中心になってくると、得意な中でも『楽なこと』を選ぶようになりがちです。
それが常態化すると、今度は『楽なこと』がいつのまにか『できること』にすり変わり、『できるけど面倒なこと』は『できないこと』に押し下げられてしまいます。そしてその『できないこと』にしてしまった『できること』を『やらせてくる』先に対して、『嫌な取引先』と思い込むようになり自然と足が遠のくようになって、せっかく自社の可能性を広げてくれるチャンスを自分から潰していくようになります。

市場選択の可能性を潰していないか?

自分の視野が狭くなってしまうと、自社の設備の可能性も自ら狭めてしまいます。今相手にしている市場自体が、その設備を活かせる唯一の市場だと勝手に思い込んでいる工業は多いです。

僕ら工業の視点は、既存顧客さんのいるフィールドに自ら縛りつけてしまっています。異業種とは言わないまでも、業界構造の中で市場選択の可能性はまだまだあるはずです。

もちろん『餅は餅屋』という考え方はありますが、あまりにも狭義に縛られてはせっかくの設備が勿体ないです。百貨店向けばかりがアパレルではありませんし、問屋だけがロットに理解がある訳ではありません。とくにファッション市場に向き合おうとすると、製造ロットがネックになり、どうしても量的に奥行きがある市場を狙いがちです。
しかし、この手の市場は先陣が死闘を繰り広げているまさに『レッドオーシャン』なので、値段も対応も非常に厳しいものを求められます。アイデアで勝てたと思っても、その提案を知らない内に相見積もりかけられて他所に振っている可能性もあります。相手先のモラル上の問題性は否めませんが資本力をチラつかせてパワープレイで押し込んでくることもあります。そうなると小規模工場ではかなり追い込まれるのでオススメはできませんが、逆にそういった資本的にも精神的にも消耗するリスクを理解した上で「勝てる」自信があるならどんどん飛び込んでいくべきです。そこには大きな成果が期待できます。

逆に少量生産でも、しっかり製造コストに理解を示してもらえれば、大ロット生産では考えられないほどきっちり収益が残せる市場もあります。もちろん対応やクオリティはそれ相当のモノを提供できないのでは話になりませんが、当たり前のことを当たり前にやってきちんと評価してくれる市場は確実に存在しています。こういった先は、冒頭に書いたような『できること』が面倒になってしまった工業が、実は取引をしていたのに、自ら遠ざけてしまった市場だったりします。

ちゃんと営業できているか?

「バカ言ってんじゃねぇ」と怒られそうですが、工業はちゃんとした『営業』ができていません。冒頭でも書いた通り、『できること』を自らの怠慢によって『できないこと』にしてしまっているからです。

どういうことか?

自社生産キャパを常に超えるほど受注していたら、自社資源をアテに営業をかけたらお客さんに迷惑をかけてしまいますが、そんなのは外注比率を上げていけば更に売上に変えていけます。外注を確保していくなどの背景営業も必要ですが、伸びてる製造会社を見ているとお客さんも案件も集中しています。手に余る仕事を持っているから、自然と外注も集まってきています。めちゃくちゃ良いスパイラルですよね。彼らはちゃんと営業ができています。
求められた事の情報を正しく理解し、スピーディかつ的確にお客さんにかえしています。

逆にキャパも埋まらなくなって風前の灯火になってしまう会社は、圧倒的にちゃんとした営業ができていません。この記事でも取り上げたように、二点の特徴があります。

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ヤマモトハルクニ

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