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同人誌の表紙を活版印刷で作ってみた

※当記事は、二次創作、同人誌、BLなどを含みます。
苦手な方・ご理解のない方はご覧いただかないようお願い申し上げます。

こんにちは、ハムです。
見つけてくださってありがとうございます。

タイトルの通り、同人誌の表紙を活版印刷で作ってみた話です。
はじめての本は(あ、これ、一冊目の本になります)どうせなら拘って記念になるようなものを作りたいと思い、表紙を大好きな活版印刷で作ることにしました。

私は職人さんの手仕事が大好きでして。
数年前に活版印刷で名刺を作ってもらったことはあったのですが、本の表紙ともなると話が全然違うので、知識はほぼゼロからのスタートでした。
名刺をお願いした印刷所さんは残念ながらお店を畳まれてしまい、ご相談できず。
活版印刷屋さんのウェブサイトを色々見たのですが、大体のところが「お気軽にお問い合わせください」で肝心の値段が分からない。
よくて名刺の値段が載っている程度。しかも、使う紙やインクによってまた変わるらしい。

考えてもよく分かんねぇや!ということで、とりあえずいくつかの印刷所さんに相談のメールをしてみました。
印刷所さんを選ぶにあたり、先人のみなさんが残してくださった記事を参照させていただきました。ここでご紹介はしませんが(していいか分からないので)本当にありがとうございました。おかげで本を作ることができました。

〜印刷所編〜

私が問い合わせたのは以下の5つの印刷所さんです。
※依頼した印刷所さん以外は検索避けのためにも一部伏せ字にしています。

1) Bird Design Letterpress さん

結論から言うと、こちらにお願いしました。
とにかく対応が丁寧で、分からないことだらけで質問しまくったのですが、根気強く最後まで付き合ってくださいました。本当にありがとうございました。
どうしても3色のインクを使いたかったのですが(理由は後述)、複数色使う場合はこちらの印刷所さんがいいと思います。他社さんに比べて安かったです。
逆に、単色で印刷する場合は割高だったので、値段重視であれば他の印刷所さんの方がいいかもしれません。
あと、(これは書いていいのか分からないのですが)データ起こしをなんと無料でしてくださり(他社さんはすべて有料でした)、インデザやフォトショを使ったことがなかった自分にとっては本当にありがたかったです。

2) MんMる◯ さん
先人の記事でよく見た印刷所さんで、大体の方がこちらにお願いしているようです。
これは私のミスで反省すべき点なのですが、見積もりをお願いする時点で他社さんにも聞いていることをお伝えし忘れており(他の印刷所さんには伝えていたのに)、最終的に他社さんに依頼することをお伝えしたところ、「こちらは依頼がある前提でここまで対応したのに残念です」というようなプチお叱り(?)を受けてしまったので、見積もりをお願いする場合は注意した方がいいかもしれません。
対応はよくも悪くもビジネスライク、値段も他社さんと比べて中間値な印象でした。

3) ナカノ活版インサツ店 さん
返信がめちゃくちゃ早く、単色印刷の場合はこちらが一番安かったです。
対応もフレンドリーで相談・質問しやすい印象があり、他社さんにお願いするとお伝えした時も、とても感じのいいお返事をくださいました。
ただ、活版専門の印刷所さんではないようなので、他社さんに比べると「確認が必要です」ということが多かったかもしれません。あと、できること・できないことは結構ハッキリ線引きされています。
別の機会があれば是非お願いしてみたいです。

4) ナカムラ活字 さん
聞いてはみたものの、主に名刺サイズの印刷をやっていて、欧風書体が少ないとのことで断られてしまいました。

5) カappan スtudio さん
お見積もりをお願いしたところ、他社さんの3倍ぐらいのお値段だったので残念ながらご依頼叶わず…。

こんな感じです。
ちなみに、活版印刷は依頼できる最小部数が決まっていて、お願いしたBird Design Letterpressさんは50・75・100枚の区切りでした。印刷所さんによって変わると思うので要確認です。
肝心の値段はどこまで書いていいか分からないのですが、3色印刷(金銀あり)・特殊紙使用(プラス料金)・75枚で4万行かないぐらいでした。

また、先人の記事で参考になったのが見積もり依頼時に何を聞くかだったのですが、私は以下のような内容を記載しました。

・本の仕上がりサイズ(これにより紙のサイズが決まる、背幅も必要)
・デザイン(ラフでもOK、希望するインクの種類・色、フォントの種類など)
・紙(分からなかったので何色のどんな雰囲気の紙がいいか書いて調べてもらった)
・納期

が、上記では情報が足りず、たくさん質問をする羽目になり手間をかけさせてしまったと反省しました。
可能であれば、ある程度紙とかフォントの種類を決めてから聞いた方がお互いにとってタイムロスも少なく済んでいいかと思います。もちろん、分からないことは聞いていいと思いますが。
例えば、フォントはAdobeのサイトなどが参考になるかと。

※Bird Design Letterpressさんは樹脂凸版で印刷するため上記サイトのフォントはほぼ大丈夫とのことだったのですが、鉛版を使う印刷所さんだと勝手が違うと思います。ご注意ください。

最初の問い合わせメールから依頼まで2週間強かかったので、締切には余裕を持って聞いた方がいいです。
複数聞いていたのでその返事を待ったり、情報を比べたりする時間が必要だったり、単純に自分の知識がなく調べが甘かったりして思った以上に時間がかかってしまいました。

〜デザイン・装丁編〜

そもそも、どういう話の本かと言いますと。
ズバリ!推しCPにポリ◯シアンセッセセに挑戦してもらうという内容です!
ということで、ラブラブ♡イチャイチャ♡甘々♡ウフフ♡な雰囲気をデザインから出したく、イメージカラーをピンクにしました(なんの捻りもない)。

実は(?)タイトルは拘って付けておりまして。
個人的な考えなのですが、同人誌の「〇〇×●●」という表記にどうしても恥ずかしさというか照れを感じてしまい(他の方の作品に対しては何も思いません、あくまで自分が作る上でという話です)、出来れば入れなくて済むようにしたい……どうにか方法はないだろうか、と考えていた時に、だったらタイトルにイニシャル(頭文字)を入れちゃえばいいじゃーん!(?)と軽く思いつき、ふたりの文字を入れつつ話に合うようなタイトルにしました。
推しCPのイメージカラーが銀と金なので、頭文字の部分だけその色で印刷して、他の文字はピンクにしよう……完璧だ……ということで、先程書いた「どうしても3色のインクを使いたかった」理由はこれです(しょうもな)。

表紙 Uを銀、Rを金で印刷

Count Five:ポリセは5日間かけてセッセセするので。
PleasURe:快楽、喜び、セッセセ、などの意味がある単語。ふたりの頭文字であるUとRも入っている。
直訳すると「5つ数えてプレジャー(快楽、喜び、セッセセ)へ」という感じでしょうか。

自画自賛するのですが、このタイトルを思いついた時に天才だと思いました。いい感じで匂わせられている。素晴らしい。
……すみません、大丈夫でしょうか、まだ着いてきていただいていますでしょうか。

ちなみに、裏表紙はこんな感じです。

裏表紙

〇〇×●●の表記を入れずにCPを表現できるよう、ふたりの概念絵文字をそれぞれのイメージカラーで印刷しました。うーん、天才だ。
……自分で自分を褒めていかないとなかなか褒めてもらえないのでね。はい。

最初の方に書いたのですが、上のデザインは印刷所さんでデータ起こしをしていただいたものになります。
問い合わせの時点でお送りしたデザインデータはこんなです(パワポで作った)。

元データ

こんな内容でもちゃんと素敵にしていただけたので、まずは相談してみるのがいいかと思います。
ラフ画とか、ざっくりしたデザインでも大丈夫かと。多分。

デザインと並行して紙を選びます。
先ほど書いた通り、ラブラブ♡イチャイチャ♡甘々♡ウフフ♡な雰囲気でかわいい本にしたかったので、淡めの暖色やピンクで聞いてみました。
いくつか提案いただいた中で「マーメイド 240kg ローズ」という紙にしました。
同じ紙の「ネオフラミンゴ」という色とめちゃくちゃ迷ったのですが、こちらは再頒をした際に使ってみました。どっちも最高にかわいかったです。

約10日後に届いた実物がこちら☟

完成版

かーーーわいーーーーー!!!!!
ダン箱を開けて第一声、思わず叫んでしまいました。優勝だ。ガッツポーズ。
照明の関係でオレンジっぽくなっていますが、実際の色はこんな感じです。
これを製本して、セルフ小口染め(別記事で書きます)したものを頒布しました。

セルフ小口染め 二度とやりません

こんな感じです。いかがでしたでしょうか。
どんなダサいデザインであろうと、活版印刷である時点である程度優勝は決まっているので、ぜひ多くの方に挑戦していただきたいです。
単純に、私が活版印刷の同人誌が欲しいというだけなのですが……☺️どうか

余談:思ったこと

とは言え、活版印刷で使う紙って、凹凸を映させるために厚くて硬めのものが多いと思います。
私が作ったのは文庫サイズの小説本なのですが、長い時間読んでいると曲がりぐせがついちゃったり。あと、角が潰れやすい。やさしく、丁重に扱う必要があります。
そして、やはり結構なお金がかかるので、再頒をするのが難しい。
私は辺境に生息する弱小サークルなのですが、初版分が完売し、ありがたいことに希望が多くあったため、悩みに悩んだ上で再頒することにしました。
最初の注文で多めにと思って75部にしたのですが、部数を読むのが結構難しいなと思いました。今回はハケたからいいものの、もし在庫を抱えることになれば結構な赤が出てしまうな〜、と(再頒分もハケるといいな……)。

仕様まとめ

用紙:マーメイド 240kg ローズ(再頒時ネオフラミンゴに変更)
サイズ:B5(A6文庫本サイズの表紙)
インク:表3色(マゼンタ、金※名刺サイズ以下、銀※名刺サイズ以下)
フォント:HWT Mardell
部数:75枚(×2)

左がネオフラミンゴ 右がローズ
この写真が一番実際の色味に近いです

この記事がどなたかの参考になって、活版印刷のかわいい同人誌がこの世に爆誕しますよーに!


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