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もしもJリーグが旅行会社を作ったら

あなたが熱心なサポーターだったとしよう。
マイクラブの財政に少しでも貢献しようと年間チケットは当然購入している。

ホームゲームはスタジアムに足を運び。勝利する。
すると次に考えるのは翌週のアウェイのことだ。

アウェイの地に行くために友人と相談し、最も安いプランで遠方の地に行く手段を考える。

そしてこの作業は終わることがなく、翌々週には同じように旅に出る。

さて、この熱心なサポーターの「サッカー予算」は年間いくらくらいだろうか?

僕の場合はどうだったか

僕はアルビレックス新潟を応援している。
新潟大学を卒業したあと、都内の企業に勤めた。

しかし若かった僕のスタジアムに通い続ける情熱は増すばかり。

浦安に住んでいながら300kmは離れた新潟スタジアムビッグスワンの年間シーズンパスを持ち、それこそ全国を旅して回った。

今でも忘れないJ1昇格が決まった2003年11月は殺人的なスケジュールで「浦安→新潟→浦安→札幌→浦安→新潟→浦安→福岡→浦安→新潟」という旅程だった。

トランプのカードを捨てるように毎週毎週お金を使った。

おそらくこの手のサポーターの平均的な年間サッカー予算は60万円近辺ではないだろうか?

そのうち愛するホームクラブの懐に入るのは年間チケットの4万円前後とビール代だ。
それ以外はアウェイの地に向かうまでの旅費ということになる。

つまりサポーターはサッカーにお金を使っているのではなく、移動にお金を取られているのだ。

そしてこの手のサポーターは日本全国に大量に存在する。

Jリーグトラベル設立のご提案

ここで僕が提案するのが株式会社Jリーグトラベルという旅行会社を立ち上げるプランだ。

以下僕の妄想にお付き合い頂きたい。

Jリーグはサポーターが使う費用の額に適応したビジネスを展開すべきだというのがこの提案の基本コンセプト。

何と言ってもサッカー予算の中の7%しかクラブには使われないのだ。

Jリーグトラベルがやるべき仕事。それは「サポーターが全くの他者に支払っている旅費をJリーグの売り上げにする」ということだ。

ガソリン代、バス代、電車代、飛行機などの旅費。

一方で僕らサポーターが毎年真剣に悩みながら、一年のほとんど忘れて過ごしている問題があるのを思い出して欲しい。

それは「開幕戦が沖縄だったらどうしよう問題」だ。

Jリーグトラベルは開幕戦の割引航空チケットを販売できる会社

飛行機のチケット金額は時期によって変動する。僕らサポーターは少しでも交通費を下げるため、あわよくば「早割チケット」なるものを狙う。

今年の開幕戦カードが発表されたのは1月11日。開幕戦は2月22日だった。

つまり42日前だ。

ここでJALの早割プランを見て欲しい。

どうだろうか?

開幕戦日程発表があと3日早ければ45日前の「先得割引タイプB」が使えることに気がつく。

つまりJリーグトラベルは3日前に開幕日程を抑え、この割引チケットを大量に抑えることが仕事だ。

それを開幕戦日程発表後に正規の先得割引プランAよりもちょっと安い値段で販売するのだ。

リーグのオフィシャル会社が持つ内部情報を使ってリスクなく利益を出し、顧客のニーズを満たす。

これは裁定取引という考え方で価格差を使って利益を出す仕組み。

Jリーグだけが持っている情報という武器とサポーターの行動原理を使って利益を生み出す。

実際は45日前の価格でチケットを買うのではなくホールセールという業者向けの取引を使ってもっと安く購入する。

HISのような格安自由旅行会社が使うモデルだ。

Jリーグトラベルはガソリン代のカード決済と割り勘機能を提供

飛行機のように確実に利益を出せるモデルで利益を確保した後はいよいよサポーターが使っているメインの売り上げと決済を取りに行く。

僕らが支払っている大きな出費は実はガソリン代と高速代の割り勘費用だ。

ほぼ100%現金決済で行われる。

これをJリーグトラベルが出す公式アプリ上で割り勘決済を行えるようにし、決済が行われる仕組みにする。割り勘決済アプリはすでにあるので、そこと提携するというのも手。

Jの公式で割り勘決済アプリが決まれば、サポータの宴会などでもそれは使われるはず。

規模の経済が出て来れば色々な消費が「Jリーグが巻き起こしている」ことをみんなが認知する。

ここでも大きなお金が動くし決済サービスの入り口になれば新たな需要を掘り起こすことができる。

大規模な宿泊施設と提携するプラン

HISモデルの利益確保とガソリン代などの旅費の取り込みの後はいよいよ「コンテンツの作成」だ。

例えば以前、川崎フロンターレが企画した公式アウェイツアーがあった。

当時川崎がなかなか勝てない魔境ビッグスワンで「絶対に勝つんだ!」という意気込みを見せた力の入ったツアーで、宿泊地は魚沼の大湯温泉という温泉施設だった。

温泉のホテルを丸ごと貸し切るような形で開催されたツアーにはアルビレックスの社長だった田村さんも表敬訪問をした模様(社長同士のトークイベントがあったとか)。

僕ら新潟サポーターは川を挟んで向かい側の温泉旅館を貸し切り対抗した。今思えば一体何に対抗していたのがよくわからないけど、温泉町にやたらアルビレックスののぼりを立てたり、ビッグフラッグを旅館から垂らしたりと結構な歓迎(嫌がらせか?)をムキになってやった。

歓迎はともかく、川崎フロンターレのこういった企画はもっと参考にされるべきだし、Jリーグの楽しさとして認知されるべきだ。


ここまでのプランを全部実現するとこんな感じ。


Jリーグトラベル株式会社。

リクルート出身の村井チェアマンならできるんじゃないだろうか?

参考文献 競争ルールの変更を目的とした戦略的参入の分析
~エイチ・アイ・エスによる航空業界参入のケーススタディより~




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