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組織の歯車から飛び出し、生きている感覚を取り戻す。そのきっかけを得るためのプロボノプロジェクトについて。

仕事は楽しいものだろうか?憂鬱なものだろうか?

とりあえず僕が考えるに、楽しい仕事というのは大きく分けると2つくらいのカテゴリに分けられる。

・出来る仕事
・未経験の仕事

だ。前者は人に感謝などされ、自分にも肯定感を感じられるので単純に楽しい。しかしながら、実は後者こそが人間にとっては重要だと思う。

やったことがない仕事は必然的に難易度が上がるし、一時的に辛い思いをする可能性が高い。が、たとえ失敗したとしても経験は得られるし、自分の限界に挑戦して、ブレークスルーが得られればそこには大いなる歓喜がある。

課題解決に情熱を持って取り組み、歓喜を得るために大事な要素は、「人との繋がり」。

解決すべき課題は、もしかしたらできないかも知れない、くらいの難易度のほうが、ギャンブル性を求める人間にとっては心地よいのだそうだ。※人間が本能的にギャンブルを求める、という話はまた別途。

ただ、もちろんバランスは重要で、無理難題を突きつけられればできっこないと諦めてしまう。適切なハードルとステップを設けることはゲームのデザインにとって非常に重要だ。

でも世に存在する課題(仕事になりうる問題)に、ゲームバランスなど設定されていない。本質的にそこを突破するために重要なのは、人との繋がりだと思っている。
人との繋がりは複数人のスキルを利用しての課題解決に役立つことはもちろん、情熱だったりモチベーションの源泉にもなりうる。
そんなことをとあるイベントに参加しながら考えた。

プロボノプロジェクトとは?

さて本題。2019/03/09(土)に、以下のイベントに行ってきた。

「仙台市プロボノプロジェクト成果報告会 & キャリアモデル開発センター仙台キックオフ」

プロボノプロジェクトというものがどういったものなのか、具体例を交えながら知るのが目的。

「プロボノ」の定義とは以下。Wikiより。

"プロボノとはラテン語で「公共善のために」を意味する pro bono publico の略[2]で、最初は弁護士など法律に携わる職業の人々が無報酬で行う、ボランティアの公益事業あるいは公益の法律家活動を指した。"

簡単に言えば、”専門性を活かしたボランティア”となるのだが、今回の話だともう少し定義が広くなりそうだ。
そんなに高い専門性は求められないし、むしろ「その人のできること」を活かしてプロジェクトに参加してもらう、というくらいの感じ。(※むしろ「共感力」とかのほうが大事じゃないか?と感じた。)

プロボノプロジェクトが生み出すもの

結論から言うと、プロボノがプロジェクトに参加することにより、プロボノも、受け入れ側のプロジェクトも、価値観が触れあうことで、「働く」ということを改めて考えるきっかけが得られるようだ。

今回、プロボノ参画の対象になったのは、宮城県で子供の貧困解決に取り組んでいるSTORIAというNPO団体のブランディング活動だった。

プロボノとして参加し、チームリーダーを務めた高森さんという方が、この活動に関わった様子を説明してくれた。
高森さんはいくつか他のプロジェクトにもプロボノとして参加したご経験をお持ちで、今回のプロジェクト自体のお話も非常にわかりやすく説明してくれたのだが、その内容を説明すると長くなるので、本稿では印象に残った言葉を抜粋するに留める。
(※話が面白く、夢中になっていてメモが乏しいのを言い訳しております苦笑)

「活動の中で、自分が提供するというよりはむしろ、いろんなものを逆に教えていただいているという実感があった。」
「なかなかできないであろう経験や、貴重な人との出会いを得た。」
「NPO団体を少人数で回すようなエネルギーを持った方の生き方に触れ、刺激を得た。」
「プロジェクト単位で関わる期間が限られているプロボノとして参加するときは、自分が抜けても継続できるよな体制を作るところまで行うように心がけている。」

そして、中でも印象に残ったのが以下の言葉。

「自分のワクワクに正直に生きられるようになった」

その後の質疑応答の中でも何度か出てきたワードに思う。ワクワク、ドキドキ、トキメキ。大事ですよね。

プロボノとしてのプロジェクト参加者に起こった変化

考え方はもちろん日々の行動にも、人生にも結構な変化があったようだ。

・勤め先の社内でも疑問を持ったら遠慮せず言ったり、改善案を提案するようになった。
→疑問に対してすぐ行動しようと思うようになった。
→自分の喜ぶ部分が明確になってきた。
→ビジョンに共感する会社への転職につながった。

というように、どういった気持ちを持って働くか。働くことの意味、というのを考えるきっかけになっているとのこと。

実際にプロジェクトの中で自分の持っているスキルがどう使えたか、ということよりも、この仕事に対するマインドセットが変わることが非常に重要に思える。

プロボノ受け入れ側:STORIA代表の佐々木さんの言葉

かなりの熱を持ちながら、淡々とお話してくれた中からいくつか言葉を抜粋する。

「社会課題として自分が解決するしかないと思ったからこの活動をしている」
「本業で稼いでNPO法人に初期投資することで、仕組みとして軌道に乗せるところまでできるだけ早く持っていきたい」
「プロボノとして複数人の参画によって、慢性的な人的リソースの不足をとてもポジティブな形で補うことができた。」
「ITやデザイン、ブランディングの知識やツールなど、新しいものを学ぶことができた。」

そして、僕が一番印象に残ったのはこの言葉。

「ビジョンに共感してプロボノ活動をしてもらったことで、より団体としての活動に自信が増した」

佐々木さんは非常にエネルギッシュな方で、強い想いを持って、しかも楽しんで活動されているのが伝わってきて、お手伝いしたくなったので今後どこかのタイミングでお手伝いしようと思う。なんかの縁だろう。

まとめ:プロボノプロジェクトへの期待と可能性

対社会:

・ソーシャル・キャピタルを形成するのにプロボノ活動は非常に有効。
→単純な経済発展ではない社会基盤をつくる活動である。

対個人:

・新たな体験をすることで、働くとはなにかを考えるきっかけに。
・大きな組織ではなく、自分が世の中とつながっている。手触り感のある仕事を体験できる。
・プロボノ活動では仕事に想いを感じて、長期的に考えることができる。
(※例えば、大企業で役割が分担されすぎると「今月の自分の数値目標」みたいなものにフォーカスして近視眼的になりがち。)

プロボノという行動現場。ここに一歩踏み出すことには大きな価値があると感じた。NPOなどの社会課題を解決しようとしている現場の人手不足と、体験を求める人、お互いのニーズが満たせる。
今後も活動を応援したいし、自分としても参加したい思いだ。

ちなみに、イベント中に出た

最初の一歩はお金を計算しない方が活動の枠が広がる

という言葉も印象的だった。

例えば時給換算してしまうと、今の仕事の生産性などと結びつけてしまって、仕事に対する本質的な価値を見出しにくくなる。
(※これは最近読んだ行動経済学としての心理にお話があったので別途書いてみたい。)

プロボノプロジェクトこれからの課題とキャリアモデル開発について

ただ、一見いい事だらけのプロボノプロジェクトも、継続性に問題が残る。例えば以下。

・参加者の地元でもない地域の活動に参加するインセンティブが弱くなりがち。
・一度参加したとしても、継続して他の活動に参加するだけのエネルギーや、原資としての収入面に問題が発生しがち

これの解決のための動きは既に起こっていて、実はこのイベントのもう一つの本題なのであるが

キャリアモデル開発センターという場がこのプロボノプロジェクトと連携する、という話だ。

キャリアモデル開発センターについて詳しくはまた別途書くことにするが、簡単に説明すれば

「キャリアモデル開発」というプログラムを通して自分の付加価値、長期のライフビジョンを発見するための場。

ということになるだろうか。
そして、プロボノ活動は、ライフビジョンを考えるために、実践の場として非常に良いきっかけを提供できる。
うまくシナジーを発揮することを期待したい。

終わりに:イベントに参加してみての感想

これからは益々、意味を持った働き方が広がっていくのだろうなと感じた。
ただ、課題感として残るのが、プロボノとしてのプロジェクトへの参画も、キャリアモデル開発も、自分にある程度余裕のある人間しか行えないかも知れない、という面。

多くの人が自分のライフビジョンを見つけ出すことができるように、僕も貢献していきたいと思う。

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