『解れた雨が結ぶ』歌詞・セルフ解説など



歌詞

君は眉を潜め 巻紙に火を付けてまた泣いた

濡れたベランダ 後ろ姿が煙りはじめた

優しい君を 傷つけまいとするほど 言葉 足らなくて

大きくなる雨音と 不安に急き 名前呼んだ

 

「どうしてそんなに優しくいれるの?」

『普通』になれない自分に怯えている

 

不意に視線 そらさないで 繋いだ手 離さないで

いつも 何も言えない二人 震える心 傘で隠していた

窓の向こう 響く雨音 何も聞こえてないように

君は髪を束ねながら 鈍色の空 見ていた

 

少し冷えた指が 濡れた燃え差し弄ぶ

あなただけを見ていた 自分よりも

そんな毎日には 不安だけが積もった

分かっている 素直すぎる あなたの優しさに

きっと応えられなくなる日が いつか来てしまうことを

 

「こんな自分を見透かされてしまったら?」

いつも別れの予感に怯えている

 

嘘の笑顔 つくらないで 本当のことだけ 話して

いつも 何も言えない二人 震える心 傘で隠していた

あなたを失望させる前に すべて終わりにしてしまえば

これまでのどんな記憶も 綺麗な思い出のまま

 

涙 拭いた 君の左手 鞄と上着を掴み 出て行く

何かひとこと 首筋に汗 何も言えずに ただ立ち竦む

部屋の廊下 すれ違うとき 濡れた肩越し 終わりの気配

最後の言葉 浮かばないまま 扉閉める 君をひとりで見送った

 

不意に視線 そらさないで 繋いだ手 離さないで

いつも 何も言えない二人 震える心 傘で隠していた

同じ雨に降られながら 君を知ったはずなのに

「弱い自分 隠さないで」と 約束したあの日に


どんな終わりでもいいから せめて最後は笑って

ふと気付いた 『出て行くとき 君は 傘を持たないで』

扉開けて 走り出した 濡れた服 何度も転んだ

目の前の改札で 立ち止まる君を見付けた


解説

 できる限り万人が楽しめそう(であってほしい)なメロディと、ごく少数しか発見・解析できないであろうリズムの書式が組み合わさることで、J-POPでもなければR&Bでもない、めちゃくちゃ稀有で珍妙な音楽が完成しました。これこそまさに『個人による民族音楽』といえるのではないでしょうか…!!!

 モダンポリリズム第54回『泥の世界』の言及について、また違った角度からのアプローチを試みました。そのため、ボーカルは主役でもありながらデコイでもあるという、これまたなんとも珍妙な役割を担っています。

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