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【プロ野球】セ・リーグDH制導入の可能性とその影響について

MLBのナ・リーグが今季からDH制を導入することが決定しました。

MLBにおいて初の試みで、これでMLBはア・リーグ、ナ・リーグともにDH有りになります。

この動きから、NPBのセ・リーグもこれに同調して、近いうちにDH制を導入するのではないかという話が見られるようになりました。

セ・リーグDH制導入には賛否あり

セ・リーグにもDH制を導入すべきかどうかについては、以前から議論がありました。これに関して、昨年末にアンケートを取ったスポナビの記事では以下のようになっていました。

賛成(やや賛成を含める):51.0%
反対(やや反対を含める):40.5%
どちらともいえない:8.5%

若干賛成派が多いですが、反対派も4割を占めていますし、DH制導入が実現するにしてもしないにしても、賛否意見が分かれることは確実です。

DH導入賛成派の意見

賛成派の理由は主に以下のようなものです。
①パ・リーグとの戦力格差の解消
②ルールを統一することで真の実力が分かる
③指名打者で輝ける選手を獲得しやすい
④ドラフトの選択肢を広げる
⑤現状の投手の打撃能力が低くつまらない
⑥投手が投球に専念できる

①・②はパ・リーグとのルール不均衡による戦力差や不明瞭さを無くして欲しいという意見です。
これに関しては巨人の原監督が2020年の日本シリーズ終了後にも言及していて、近年のパ・リーグ優勢の要因がDH制の有無としています。

③・④はセ・リーグが獲得できる野手の選択肢を広げることに繋がります。選手にもメリットがあります。
パ・リーグでは打力を最優先で考えて補強できるのに対して、セ・リーグは守備位置・守備力の評価をどうしても外せないので、打力のみのスラッガーや大砲候補を獲得しづらい可能性は確かにあります。

⑤・⑥は投手目線での考えで、投球に専念できるかできないかという違いは大きそうです。これは練習メニューにも影響しますし、試合中の継投策でパ・リーグと大きく違う点になっているでしょう。
打撃が良い投手を育てれば良いという考えもありますが、投手の仕事はやはり投球が最優先なので、打撃練習になかなか時間を割けないため結果として投手の打撃成績が低いというのが現実です。

DH導入反対派の意見

反対派の理由は主に以下のようなものです。
①パ・リーグとの戦力格差はDH制が要因では無い
②セ・パでルールに違いがあることで差別化ができている
③投手の継投タイミングが采配の妙として面白い
④打撃の良い投手が出てくる面白さ
⑤高校野球から続く「野球は9人でやる」の継承

①・②はセ・パの差を解消したいという賛成派の意見に対して反対の意見となっています。
DH制導入が50年以上前のことで、最近10数年ぐらい前まではそこまでセ・パで戦力格差が無かったと考えられるため、戦力格差は別の要因という主張です。

③・④は投手の打席が面白くないという賛成派の意見に対して、投手の打席があるから得られる面白さがあるという意見です。
投手の打席で代打を送るかどうかの継投策は、監督の采配の中でもかなり勝敗に影響しやすい要素ですし、それが成功するか失敗するかはDH制無しだからこその面白さと言えます。
投手の打席に関しても、殆どの投手が打てないというのは確かにありますが、中には打撃の良い投手もいてその打席でのワクワク感というのも面白さの1つと言えるでしょう。

⑤は伝統の尊重と言える意見で、野球は9つのポジションで9人で1つのチームである、という考えを続けていきたいということでしょう。
これは投手の負担軽減や指名打者で輝ける選手がいるという、効率重視のDH賛成派の意見と真反対になりますが、パ・リーグがそのように効率化されたリーグで、セ・リーグは伝統を守るリーグであるという区別も、1つの考えと言えそうです。

セ・リーグにDH制が導入されたら

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