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梶谷プロ14年目のFA権取得

横浜の生え抜き選手、梶谷が21日にFA権を取得した。

現在31歳。プロ14年目での取得で、ここまでプロ生活を続けることができたのは非常にめでたいことだ。梶谷はプロ野球選手として開花するまで時間のかかった選手だった。

2006年の高校生ドラフト3巡目に横浜に指名され、同級生には北や高森がいた。入団当初から身体能力に定評があり、未来の1軍遊撃手として期待されていたがその後度重なる故障に悩み、1軍に初昇格したのは3年目だった。だが1軍では代走や守備固めで起用される機会が多く、打撃面でなかなか結果を残せず、また怪我の再発もあって2011年までなかなか1軍でも出れない時期が続く。

だが2012年、球団の親会社がDeNAに代わり、新しく中畑監督が就任すると、中畑監督は身体能力がずば抜けていた梶谷に目をつけた。ここから梶谷は一気に1軍での出場機会が増えることになった。この時点で梶谷は高卒6年目で、ここまで怪我がちで結果を残せていなかったことを考えると、もし中畑監督の抜擢が無ければ戦力外になっていた可能性もあっただろう。

1軍での起用機会を得た梶谷だったが、当初は苦難の日々だった。2012年は中畑監督の抜擢で1番打者で起用される機会が沢山あったが、この年の成績は80試合 打率.179 2本塁打 OPS.509とスタメンで起用するにはあまりに厳しい結果で、監督が辛抱強く起用しなければ80試合も出場することは無かっただろう。

この辛抱強い起用に応えたのが、翌2013年だった。この年の前半はスタメン起用機会が減って、怪我もあったことで2軍にいる期間が長かったが、8月から昇格すると滅多打ちの大活躍で、8~10月の3ヵ月の成績は打率.361 16本塁打 OPS1.135という結果を残した。梶谷が開花した年と言えるだろう。

翌2014年からは遊撃手としての守備の不安や、打撃に専念させるチーム方針から外野手へコンバートされたが、3番・右翼手として完全にレギュラーに定着。盗塁数も大幅に増えて盗塁王のタイトルも獲得した。守備面でも俊足と強肩を活かした右翼手として、コンバートが良い影響を与えた。

その後2015,16年も1軍でレギュラー起用され規定打席に乗ったが、2016年のCSで試合中に死球で左手薬指を骨折。しかし骨折後も痛み止めを服用しながらCSに出場するという、まさに身を削りながら試合に出続けた。この姿に涙した横浜ファンも多かったことだろう。

2017年はここまでのレギュラー起用による疲労蓄積の影響か、ぎっくり腰が再発し打率が.250を切り打順も下位を任されることが増えた。だがその中でもレギュラーとして出場を続け、本塁打数がキャリアハイの21本に到達。盗塁も21個を記録し、4年連続20盗塁以上という記録も残した。CS/日本シリーズでも本塁打を打つ活躍で、チームとしても3連敗してたソフトバンク相手に崖っぷちから2勝した。この活躍もあってオフには年俸が大台の1億を突破した(推定1億2800万円)

2018年は肩や肘の状態が悪く、また若手の神里らの台頭もあって開幕1軍を逃すと、シーズン中も1軍昇格したものの死球による右手尺骨骨折や、右肩のクリーニング手術などがあり満身創痍の状態で1軍出場試合数が激減した。2019年は開幕1軍を掴んだが、なかなか結果が残せず1軍に定着できなかった。梶谷の年齢も30歳を超え、故障続きなことからかつてのような活躍はもう難しいのではないかと思われ始めていた。

そして迎えた2020年。梶谷にとっては今年結果を残せなければ、もう今後1軍でレギュラーを掴むのは難しくなり、引退すら考えるような心境だっただろう。その崖っぷちの思いの中で春季キャンプ・オープン戦から結果を残し続けた。途中コロナの影響で開幕延期となるも、辛抱強く調子を維持し続け開幕1軍、1番センターの座を勝ち取る。

開幕してからも好調を維持し続け、打率・本塁打は常にチーム内でも上位をキープし、8月に入るまで1番スタメンで起用され続けていた。そうした中で掴んだFA権の取得で、ここまでの幾多の苦難を乗り越えた末の、一流のプロ野球選手としての証を手にすることができたと言って良いだろう。

梶谷が言うように多くの人の支えもあったと思うが、自らの才能に驕らず、度重なる怪我にも屈せず、ひたむきに努力し続け、常に上を目指し続けたからこそ獲得した権利で、1ファンとして今はこれをただ祝福したい。

オフシーズンに入れば残留か移籍かという話は出ると思うが、そこは梶谷自身の心境に委ねるとしよう。横浜をどう思ってくれているか、これは梶谷自身の問題では無く、我々ファンが梶谷に対してどう接してきたかが問われる。

結果はファンのこれまでの行動が鏡となって、梶谷の決断に現れるのだ。

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