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国立劇場3/21歌舞伎「一条大蔵譚」の感想

◎20代の頃に歌舞伎へ通ったと言っても
メインが歌舞伎座、しかも3階席の住人だったので(笑)
まさかコンナ神席で見られるとは〜(プレイガイドの席ガチャだった)、ここまでガッツリ花道が見える席なんて、たぶん人生でも数えるほどしか座ってないな…
やっぱり気持ちがアガりますね、出入口の揚幕(あげまく)が見られて嬉し〜いつも3階から「チャリン」と開く音を聴くだけだったので(笑)

◎お芝居前のイントロダクションとして
片岡亀蔵丈の解説があったんですけど、まず真っ先にWBCの逆転勝利報告で大盛り上がり(開演5分前に決まったとの事笑)
お芝居のストーリーやキャラクターの説明だけでなく、劇場内の案内や関連の美術館紹介(しかも特典付き!)までと幅広く懇切丁寧、しかもテンポが良く時には笑わせて、イイ感じに客席をあっためていただきました〜楽しかった☆

◎〈一条大蔵譚〉は何度か見てるんですけど
「曲舞(くせまい)」の段は滅多に演らないとの事、国立劇場ならではの貴重な再演、「俊寛」で有名な〈平家女護島〉の通しもここで見た記憶が甦った…
又五郎丈が渾身で挑んだ初役の大蔵卿は、もちろん本心を明かす前後のメリハリも素晴らしかったけど、阿呆を装ってる時のホゲ〜とした笑顔が何とも言えず可愛らしかったなぁ…あと「曲舞」の舞踊が、道楽で狂言に打ち込んでる公家(=素人)にしては達者すぎた、体幹とバランス感が優秀すぎた笑

◎魁春丈の〈一条大蔵譚〉常盤御前は
いかにも成駒屋らしい楷書の芸、国立劇場の筋書(プログラム)はご本人が語る役作りも載っていて良きですね、十二単などの衣裳が重い上に座りっぱなしだから「普段より大きめに動かなければ」と語ってらっしゃいましたが、そこに六代目歌右衛門丈譲りの馥郁とした品格がありました…
あとラストで檜扇をピコピコさせながらの笑顔で思ったんですけど、中の人はやっぱり優しい方だと思う…去年11月の團十郎丈襲名公演〈助六〉の満江でも感じましたが。

◎なんと!橘三郎先生のお元気な姿が見られて
大カンゲキ!!
説明しよう、はまのは大学の時に歌舞伎を演じるサークルに入ってて(お遊びだから女子も演り、学園祭でご披露)、そこでご指導いただいてたのだ〜☆
御年80近いけど相変わらずご健勝で、大時代な素襖+長袴にややコミカルな悪役・広盛がとってもステキでした(喝采)

◎歌昇丈が〈一条大蔵譚〉で演じた
忠義の人・鬼次郎は熱血漢だけど端正、非常に好演でしたが
〈五條橋〉の弁慶が圧倒的にオモシロかったなぁ、有名な〈勧進帳〉のイメージ(山伏装束)からガラッと変えてドッ派手な紅隈に武者人形のような荒事衣裳、あれで花道を進む迫力ときたら…
荒事の見本みたいな大奮闘だけどユーモラスな面もあり、いかにも「歌舞伎を見たー!!」的なアクションでした、幕切れの目線(※)あざっす!!
※カンチガイ

◎種之助丈の〈一条大蔵譚〉狂言師お京、
たおやかな中に気丈さを滲ませて好きでしたが
〈五條橋〉の牛若丸が気持ちいいほど楽しそうでイキイキしてましたな、白い薄絹をひるがえしながらヒラリヒラリと欄干を跳び弁慶を翻弄する姿が、類まれなる才質に恵まれた源氏の御曹司そのものでした〜拍手!!

◎オペラグラス不要の神席から見ると、
お衣裳の鮮やかさ美しさに改めて感心しました〜生地の上質感まで伝わってきた!
あと舞台美術も近くから見るとより一層キレイ、御殿の襖に描かれた花々に目を奪われた…
歌舞伎は(※)前方席な事がホボ無いから、ごくごくたま〜にソコから見ると開ける新しい世界が新鮮(笑)
※宝塚もです念のため←

◎あと前方席から見たら、歌舞伎のBGMの
“視覚”効果としてのスゴさかわかった、上手で竹本がグルーンと回って出てきたり、奥の幕が落ちて清元連中が居並んで登場したりすると、めっちゃドラマチックで盛り上がるんですね〜♪
(3階席だとそこまでは感じない)

◎またまた前方席からの発見の話なんですけど、
後見(役割的には黒子なんだけど、黒紋付+袴で顔は見えてる)との息の合い方が絶妙、タイミングを見計らってキビキビ演者をサポートする姿が小気味よかった!!
余談ですが宝塚を見てると時々思う、「ここで黒子か後見がいたら便利なのに〜」って笑

◎亀蔵丈に紹介されたからってのもあるけど、
20代に通ってた頃は「建築としての国立劇場」に全く興味なかったので、今日は幕間で重点的に見物しました…3階ロビーまであるの知らなかったし、大きなシャンデリア?にド肝を抜かれた〜これ気に入った〜6年後の新しい建物にも流用して欲しい!!
歌舞伎座を建替える時は、子どもらがおチビで毎日の育児に追われ…どこか遠くの国の出来事のように感じて行こうとも思わなかった、国立劇場は別れ?を惜しめてよかった〜♡


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