火の用心に用心

機材トラブルなんぞがあって遅れたので、いつもより長く収録していた。
それ自体は別に良い。
カン!! カン!!
「ひのよーじん!!」
突如、深夜の静寂を破って響く声。
そうだ。この時間は町内会の火の用心をやる日だった。
今使っているマイクは性能が良いので音を拾ってしまいそうだ。
幸いなことに西浦和也さんには聞こえてないようで、収録は続く。
俺は異変を悟られないように、平静を装いつつリアクションと返しを続ける。
そうしている間に火の用心の一団はどんどん近づいてくる。
これは完全に入ったのでは?
という距離まで近づいたが、収録は終わった。
終わった後に「火の用心聞こえました?」と聞いたら、西浦和也さんは「聞こえませんでしたよ」と言っていたので大丈夫だろう。
もし西浦和也の怖イ話で変な声が聞こえたら、それは火の用心かもしれない。

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