ケンカの日 2000字のドラマ
今日は最悪な日だ。兄弟の孝太郎と琴葉とケンカをしたのだ。
正確には3人がケンカした訳じゃない。
孝太郎と琴葉がケンカした。
私心菜は2人の姉で
孝太郎と琴葉は小学6年生の双子です。
孝太郎はすごい元気でさらさらで真っ黒な髪。
琴葉はやさしくて落ち着きがあってハーフアップがお気に入りみたい。
性格が正反対だからか、ケンカは日常茶飯事でしかも次の日にはすぐ仲直りするんだよな。
中3の私にはできない特技だな~とケンカをするたびそう思う。
この前なんかゲームの取りあいなんかでケンカしたり
お母さんが買ってきてくれて琴葉が楽しみにしていたお菓子を孝太郎が食べたり。
私にはケンカなんかどーでもいいけど、夕飯のとき空気が重いのがすごい迷惑。
そうだ。あの2人いつもなら明日仲直りするだろうからどこかに連れて行ってやろう。
次の日。時計は朝の6時30分をさしている。
琴葉はリビングで宿題中。
もう仲直りしてるだろうと思って私は子供部屋に行って、孝太郎に聞いてみた。
「琴葉と仲直りした?」
すると即答で
「するわけね~だろアイツなんかと」
と答えが返ってきた。
「え。」
私はびっくりした。いつもならもう仲直りしてるはずなのに。
その後は長い沈黙が流れて何か言わなきゃとあせる。
それで別に聞きたくないことを聞いた。
「どうしてケンカしたの?」
孝太郎は話すか迷っていたが、話してくれた。
「あいつは傘を知らねーやつに貸したんだ。必ず返すって約束でな。」
「えっ…」
いかにも琴葉らしいなと思った。でもそんなことでケンカしたのか。
「この前ゲリラ豪雨あっただろ?その時に貸したんだと。」
あのときは琴葉おつかい行っていたよね。
帰りが遅くてお母さんに怒られてたな。
「それから傘は返ってこなかった。くるわけね~よな。知らないやつだぜ。」
「あいつは泣いた。お気に入りの傘だって。」
私は玄関を思い出した。確かに琴葉の傘は、なかった気がする。
「俺が知らないやつに貸したから悪いんだって言ったら急に怒りだしたんだよ。」
なんかいつものくだらないケンカとは違う。
それじゃあいつものように仲直りとはならないな。
私は孝太郎に言った。
「んーじゃあ気分転換に2人で遊びに行かない?」
「どこいくんだよ。」
素っ気なく答える。
「孝太郎の行きたいところ、かな。」
私がいたずらっぽく言う。
「えっ原宿でも?」
孝太郎が急に目を輝かせて言った。
「うんいいよ。」
「マジ?!やったぁ!」
急に孝太郎が子供みたいになって面白かった。さっきの素っ気なさとは大違い。
「お年玉持ってくる!」
ドタバタと孝太郎が子供部屋のドアを開けたら琴葉がいた。
はちあわせた2人はぷいとした。
孝太郎と入れ替わり琴葉が入ってきた。
「お姉ちゃん孝太郎と何してたの?かなりごきげんだったけど。」
と琴葉が聞いた。琴葉、勘が鋭いな。
「琴葉に関係ない訳ではないからね~。琴葉今一番行きたいところは?」
即答だった。
「原宿!」
「午後連れて行ってあげる。」
「行きたいけど絶対何かあるでしょ。孝太郎といくんだろうな。どうせ。やだなー。」
すました目には不満と喜びが混ざっている。
勘がいい琴葉はそう言うと思った。でもこっちには武器があるっ!
「原宿行かないの?今行かないともう行けないよ?」
琴葉は弱いところをつかれたみたいだ。
「しょうがないな…行くよ。」
OKが出た。
よし仲直りさせるぞ!
お昼を食べていろいろいろ準備して、OK!
電車には乗ったけどやはりまだケンカしてるんだなー。
となりの席には座らず、2人は4つぐらい間を開けて座っていた。
孝太郎は外の景色を見ていて琴葉はゆっくり本を読んでいる。
今はケンカしてるから分からないいつもはお互いの弱いところをカバーしあっていろんなことを乗り越えていくんだ。
早く仲直りして欲しい。
そう考えていたらもう原宿の竹下通りについた。
「ついたよ。」
「わーい!」
私は何回か原宿にきたことはあるんだけど久しぶりの原宿は割と新鮮だ。
孝太郎は珍しいものを見るようにいろんなお店をみていた。
琴葉は興奮しているんだろうけど冷静をたもっている。
「ね!好きなお店行っていい?」
孝太郎が聞く。
「私も見ていい?」
と琴葉も聞いた。
「うんーそうだな。2人で一緒に見るならいいよ。」
私は原宿に来た理由を思い出し、言った。
「2人とじゃないとダメ?なら仕方なーく一緒に行く。」
2人じゃないといけないのをわかっていた琴葉はもうOKした。
「ホラーっ!お兄ちゃん!一緒にいくよ!終わったらお兄ちゃんのスマホで連絡するね~。」
孝太郎が拒否する暇もなく琴葉は連れて行ってしまった。
私は原宿を満喫するぞ!
「琴葉どこ行くんだよ」
思わず聞いた。
俺、孝太郎は今日は原宿に遊びに来た。ケンカ中の琴葉と。
「雑貨屋さん。」
「ふーん。」
なんでケンカ中に馴れ馴れしく話しかけられるんだ?
その思考回路がよくわからない。
琴葉が雑貨屋に入って数分後、琴葉は小さな袋をもって帰って来た。
そしてその袋に手を入れたかと思ったら、琴葉は電車のキーホルダーを取り出し、俺の目の前に差し出した。
「お兄ちゃんにこれあげる。」
「は?」
「仲直りしようよ。いつまでもケンカしたくない。ごめんなさい。強い態度とって。」
急展開過ぎる。
でも俺は琴葉の優しいという良いところを傷つけたんだ。今ヤダなんて言うともっとケンカがひどくなりそうだ。
それに…それに、俺も仲直りしたい…
「俺こそ、ごめん。怒って。だからさ、せっかく原宿に来たんだからさ楽しもうよ。」
そう言ってキーホルダーを受け取った。
すると琴葉は顔に花が咲いたように笑顔が広がってこう言った。
「うん!お兄ちゃん!」
良いこと思いついた。
「俺も見たいところあるんだ!雑貨屋で待ってて!」
「分かった!」
俺は竹下通りを駆け回った。
琴葉が好きそうなお店…
あっ!クレープ屋…琴葉が絶対喜ぶな。あの数量限定クレープとか。
でもそのクレープがあと1つしかない。
俺はすぐにそのクレープを頼んだ。
そしてクレープが崩れないように走る。
クレープを琴葉に差し出した。
「これ。さっきのキーホルダーのお礼。」
琴葉にはすごい素っ気なく見えていたと思う。
「えっいいの?ありがとう!」
太陽みたいにあたたかい笑顔だった。吸い込まれてしまうような。
それからは2人で原宿を満喫した。本当にあっと言う間だった。
「もうそろそろお姉ちゃんに電話するか。」
と言うと
「そうだね。あっと言う間だったなぁ~。」
3時くらいに孝太郎たちから連絡がきた。
そろそろ帰るか。少しは仲直りしているだろうか?
心配だったが全然そんなことはなかった。
孝太郎と琴葉はすっかり仲直りして前よりも仲良くなったのではないかって思った。
仲直りして私は琴葉に言いたいことがあった。傘のこと。
「ねえ琴葉。傘はまた買おう。しょうがないから。」
「全然大丈夫だよ!琴葉ね、ものがなくなっても記憶はちゃんとのこってるから!」
最寄り駅を降りて家の前についたとき。琴葉が大きな声で言った。
「あ!琴葉の傘!」
琴葉の傘が家のドアノブにかかっていた。そこにはこんな手紙がついていた。
『傘を貸してくれた優しいお姉ちゃんへ あの時、傘を貸してくれてありがとう。もう一度あなたに会えなくて返すのが遅くなってごめんなさい。 傘を貸してもらった花子のお母さんより』
「琴葉。良かったね。」
「うん!」
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