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NS学園総集編【順次追加】


聖notestudent学園設定

一年生

星南 羽菜 せいなんはな

未来の生徒会長と自分で名乗るほど生徒会に憧れている。今の生徒会長とは仲が良い。もちろん生徒会に入っている。自分では分かっていないが記憶力が気持ち悪くて、天才。部活は美術部と文芸部の掛け持ち。

田沼  杜 たぬま かき

親しくなればなるほど本性を表すタイプの変人。
自分の顔が好きじゃないのでよくマスクをしている。
校内作品展では優秀賞を取る常連。彼女の絵は考えさせられるような魅力がある。部活は美術部。

猫田 花鈴 ねこだかりん

芸術面では学園ではトップクラス。猫が好きで持ち物は猫が多い。部活は軽音楽部とゲーム部の掛け持ち。

津美恋 和香女 つみれ わかめ

家が動物病院で、動物が好きでとても詳しい。クラスではお世話係。
部活は手芸部。

音色 画御 ねいろ えおん

イラストを描くのと打楽器を演奏する事が得意で上手。
アニメと音楽が好きでよく羽菜と黒でアニメグッズを買いに行く。部活は美術部と軽音楽部の掛け持ち。

由利野 ゆり ゆゆの ゆり

美術部で絵がうまい。彼女は中学生漫画家として活動中。
(そのことを知っている人は少数だが)

有栖川  愛桜 ありすがわ まお


1-2組で、羽菜達とはとなりのクラス。
小町魔朱と張り合える歌声を持つ。市の合唱団に入っている。部活は演劇部と合唱部の掛け持ち。声は高いがパートはアルト。

二年生

落合 来翔 おちあい らいと

羽菜の親友。よく作文コンテストでは優秀賞を取る。部活は文芸部と美術部の掛け持ち。(部活も羽菜とよくかぶる)

枢 戳紅  くるる つく

羽菜の親友。来翔とも仲が良くいつも3人で行動している。イラストが上手。部活は美術部。

森好茶夢 もりずき ちゃむ

学園のアイドル的存在。妄想好き。部活はダンス部。

西野 京 にしの きょう

勉強は嫌いだが、なぜかできてしまう。
暇あらば一人サイクリングに行く自由人。
となりまちの地図まで頭にインプットされているらしい。 
二年生の中で成績トップ。
特に戦争の歴史は好き。部活は歴史研究部。

小町 魔朱 こまち ましゅ

学園1の歌声を持つ。京と仲が良い。部活は合唱部と軽音楽部の掛け持ち。

飛蝉 美々子 とぶせみ みみこ

読書が好き。成績も学年ではかなり良い方。
しかし運動神経が悪く、体育がある日はよく休むので週に1回はいない日がある。
普段は穏やか。1.5年に1回くらい本気でキレるが、キレると色々やばい。
社会と理科が得意。
ゲーセンによくいるが、大抵太鼓を叩いているかクレーンゲームの巨大カービィを取ろうとしている(しかし永遠に巨大カービィは取れない)
放送部所属で緑化委員会の手伝いをよくしてます。
よくゲーム部に遊びに行く。

東雲 紫音 しののめ しおん

学年、いや、学園トップの頭脳を持っているが
不登校で学校にほとんど来ない。
定期テストの日に登校していれば間違いなくトップ。
学校に来ても存在感が薄すぎるので気づかれない。
めちゃくちゃ美人らしいが素性は謎に包まれている。

三年生

白銀 黒 しろがね くろ

イケメンでよく女子に囲まれる(黒は女子です。)
守備範囲は音楽全般。部活は軽音楽部と手芸部とゲーム部の掛け持ち。
(多いw)
生徒会の書記。

白崎 霞 しらさき かすみ

家がカフェで、彼女もその実力を持つ。(蒼生の行き着けのカフェ)
料理が上手で、○リーポッターほどの厚さの本を一分で読み終わるので、
国語の成績はトップクラス。
家庭科部と器械体操部と軽音部の掛け持ち。
黒と仲良し。

八雲 蒼生 やぐも あお

生徒会副会長。イケメンで人気があり、よく女子に囲まれる。
甘いものが好き。 趣味はスイーツ巡り。学校終わりや休日にはよく喫茶店に行きスイーツを食べている。
スイーツのためならお金を惜しまないためよく金欠になる。
部活はバドミントン部。

星葉 姫 ほしば ひめ

生徒会長。 陽太の彼女。
学園の生徒みんなに好かれていて、しっかり者。
得意教科は、文系科目(国語、英語、社会)と技術家庭。
理科は苦手だが、星の観察が大好き。
趣味は、ゲーム。部活は、ゲーム部(部長)。

熊野 陽太 くまの ひなた

生徒会会計。 姫の彼氏。
軽音楽部 部長。音楽が好きで、後輩に音楽の魅力を伝えている。
勉強は、なんでもできる。定期テストの合計点はいつも学年1位。
趣味としては、音楽関係の推しがいて、話し始めると止まらない。


第一話

羽菜
「今日から羽菜はここに通うんだ…!」

ここは聖notestudent学園。成績優秀の超有名学園だ。
私は星南はな。(羽菜)
ようやく試験に合格し、この学園の門の前に立てている。

羽菜
「これからどんな生活が待っているのかなぁ…楽しみだなぁ!」

今日は入学式。桜は満開。新品の匂いがする制服を身にまとった私は聖notestudent学園の門をくぐった。

羽菜
「うわわ…」
絶対頭良いでしょ!って言う感じの人がたくさんいた。
チャイムが鳴った。
『キーンコーンカーンコーン♪』
あ、始まる…

司会の先生が話始める。

先生「皆さんご入学おめでとうございます。それでは聖notestudent学園入学式を開式します。」

うわわ…この感じ長ったらしい校長先生の話が始まるパターンですね、ハイ。

あ、そうだ!私、新入生あいさつの人だった!
練習してよ。
頭の中であいさつの練習をしていたら長ったらしい校長先生の話はあっという間に終わった。

先生 「ありがとうございました。次に新入生あいさつ星南羽菜さんお願いします。」

羽菜「はいっ!」

私はステージに立った。

羽菜「皆さんこんにちは!星南 羽菜です!私がこの学園に入った理由を話ます!」

羽菜「私は未来の生徒会長になるからです!」

体育館がざわついた。

羽菜「私は近所に学園に通う友達がいました。」
「その人からこの学園のことをいろいろ教えてもらい、この学園に通いたい!と思いました。そして、文化祭や様々なイベントの中心である生徒会がすごいと思いました。」

「それは私が小学生6年生の時です。しかし、親には反対されました。あと、1年しかないのに受験勉強しても時間が足りないと。」

「でも、私は諦めませんでした。遊ぶ時間を勉強に費やし、自分のお小遣いで過去問も買いました。」

「それで、親にやっと認められて…ここにいます!」

「だから皆さんも無理なことでも本気になればいくらでも達成出来ます。私はこの経験を生かして3年間過ごしたいです。星南 羽菜。」

パチパチパチパチパチパチ。

良かった…終わった…

先生「ありがとうございました。次に生徒会長のお話です。星葉 姫さんお願いします。」

姫「はい。」

羽菜 「!?」

生徒会長?!もしかして…星葉先輩?!えぇ~!
私は目をキラキラさせ、ステージに目を向けた。

姫「皆さん入学おめでとうございます!」

姫「生徒会長の座を狙う星南さん!生徒会長は大変ですよ~w」
とこっちに視線を向けた。

そして生徒会長らしくしっかりと話たあと、

姫 「まあ、3年間精一杯この学園で学校生活を楽しんで下さい!」

パチパチパチパチ。

そして、星葉先輩はステージから降りた。

私はステージから降りた先輩をずっとみていた。

先輩は自分の席に戻って隣の八雲 蒼生先輩に苦笑しながら何か言っていた。なんて言ったんだろう。

姫 「あの子面白いね~笑」

蒼生 「羽菜って子?」

姫 「そう。」

蒼生 「誰かさんにそっくりだったね」

姫 「ボッ(〃∇〃)そうだね…そんなこともあったね…」

蒼生 「私は生徒会長になります!ってね。びっくりしたよ笑」

蒼生 「実際なったし笑」

姫 「笑」

蒼生 「まあ羽菜に期待だねぇ…」

第二話

入学式は無事終わり、クラス分けが下駄箱に張り出された。

私の名前を見つけた。ええと…1組だ!

私は一組の教室に歩き出した。

教室はなんかぴりぴりしている。話す人がいないからかな?

そう思っていると後ろから誰かに ぽんぽん と肩を叩かれた。

羽菜「?」

猫田 花鈴 「これ…落ちてたよ」

彼女が持っていたのは私のハンカチ!
猫の刺繍が付いていてお気に入りのやつ!

羽菜「ありがとう!どうして私って分かったの?」
思わずそう聞く。

花鈴「ハンカチの名前をみて。さっき新入生あいさつで話してた子かなって。」

羽菜「あっ…そっか(〃▽〃)」

私が照れていると女の子は私に聞いた。

花鈴「私は猫田花鈴。猫が好きなの。えっと羽菜さんも猫、好きなの?」

私は正真正銘の猫派だ。

羽菜「うん!猫好きだよ!私は白いペルシャとかタイプだよ!」

花鈴「ペルシャもかわいいよね…!」

やった!もう友達が1人できちゃった!ハンカチ落としてなかったら花鈴ちゃんとも仲良くなってなかった!ハンカチ…!ありがとう!

すると別の所から声がした。

津美恋 和香女「なになに?猫の話?私も混ぜて!」

和香女「私、津美恋 和香女! 家が動物病院で動物が好きなの!」

花鈴ちゃんは戸惑っていたけど私は聞いてみた。

羽菜「へぇ!私、星南羽菜!こっちは猫田花鈴。和香女ちゃんは何の動物がすきなの?」

和香女「えっと…ハムスター!」

花鈴「ハムスター!かわいいよね…」

花鈴ちゃんも話し始めた。

するとチャイムが鳴った。『キーンコーンカーンコーン♪キーンコーンカーンコーン♪』

私達はもとの席に座った。

先生「皆さん入学おめでとうございます。では早速、今日は自己紹介をしましょう。」

だいぶ飛ばして(羽菜の未来の生徒会長自己紹介は聞き飽きたでしょ?byハナ)

先生「次、田沼杜さんお願いします。」

田沼杜「はい。」

と羽菜の隣の席の人が立った。

田沼杜「えっと…こんにちは田沼杜です。自慢じゃないですけど…小学生のとき絵で内閣総理大臣賞を毎年取ってました。水彩画が得意です。よろしくお願いします。」

すごい…内閣総理大臣賞って一番いい賞だよね?すごいなあ…

先生「ありがとうございます。次に音色 画御さんお願いします。」

音色 画御「はい。」

「こんにちは音色画御です。私はアニメと音楽が好きで、打楽器は叩けます。よくアニメ○トにグッズを買いに行きます。えっと…よろしくお願いします。」

ア○メイトはよく羽菜も行く!一緒に行きたいな…

『キーンコーンカーンコーン』

あ、授業おわった!

先生 「では休み時間です」

よーし来た!

生徒会室へGO!生徒会に入りに行くんだ!
階段を降りて生徒会室に行こうとしたら人混みがあって塞がれてしまった。

羽菜「うわあああああ!」

押されたときにちょっと見えた。人混みの中心は姫先輩と黒先輩、蒼生先輩、熊野先輩だった。

あ。そうだ。

今行けば生徒会に入れてもらえるかも!

羽菜 「姫先輩ぃぃ~!!!!!!!」

人混みをかき分ける。先輩達が見えた。
そしてやっと人混みの中心にやってきた。

姫 「あ。君、星南羽菜…だっけ?名前」

蒼生「姫。失礼。羽菜のことだから生徒会に入りたいって言うんでしょ?」

ん。正解。

羽菜「あのっ…私を生徒会に入れて下さい!」

黒「蒼生大正解wせーとかいちょー!答えは?」

姫「え~wどうしよっかなあ~w」

からかわれてる…姫先輩のことだからふざけてるだけだろうけど。

陽太「コラ。一年生に意地悪しなーいw」

流石、陽太先輩。

姫「しょーがないなあwいいよ。入れてあげる。」

あれ。案外あっさり生徒会、入れそう。
隣の家の子は厳しい試験があるとかないとか言ってたような気がするけど。

黒「ほら一年生。こっちこっち。手続きするよ~」
と黒先輩が生徒会室のドアを開けてくれた。

あれれ…?私もしかすると生徒会の人達に好かれてる…?


第三話


黒「ほら一年生こっち。手続きするよ~」

と黒先輩は生徒会室のドアを開けた。
あれ…生徒会あっさりはいれそう…
そう思ったのも、つかの間。

蒼生「ここ。座って。」

姫「じゃっ。始めるよ。手続き。面接」

羽菜「え?」
今理解した。手続きという名の地獄の面接が始まることを。
まあ、そんな気がしたもん。

こんなことがあろうかと入学式の前にもう回答も考えてあるもん!


「まず、学年と名前を教えて下さい。」
羽菜
「一年生の星南羽菜です。」

姫 
「生徒会に入ったら何をやりたいですか。」

たぶん、生徒会長になりたいっていってほしいんだw
羽菜
「生徒会長になりたいです。」
即答した。

蒼生
「生徒会長になったら何を改革したいですか?」

さすが蒼生先輩。
羽菜
「行事の回数を増やし、ポストを設けて、みんなが不便に思っていることを改革していこうと思います。」


「どの役職になりたいですか。」

おいっ!w言わせたいだけじゃんw
羽菜
「もちろん生徒会長です。まあ、一年生のうちは庶務(雑用係)でも全然やります!」

姫「意外と真面目に答えるね」

蒼生「うちらふざけてるのにw」

熊野
「何か賞を取ったことがありますか。」
羽菜
「はい。暗記大会優勝、算盤大会優勝、暗証弁論大会優勝などです。」
暗記ものは得意なんだ。


「検定は何の何級に合格していますか。」

誰得?w
羽菜
「漢字検定二級、算数検定三級、英語検定準一級です。」

蒼生
「自己アピールをどうぞ。」
羽菜
「私の長所はやると決めたら突っ走ること。短所は天然ボケなところです。」

姫「天然ボケなんだw」

熊野
「入学式の時の生徒会長(姫)を見て、何を感じましたか。」

意外と重要な質問なんだよねw
羽菜
「生徒会長に初めてあったとき、あこがれを感じました。そして、親しみやすさもあり、みんなに好かれてるのも当たり前だと思いました。あと、おしゃれで、カワイイ…と思いました。」

素直に言った。告白…じゃないから!熊野先輩に潰される!

熊野先輩が指をポキポキならして羽菜を潰す準備をしてた。

姫「ちょっと陽太!w」

姫先輩が止めてくれた。


「学校のマスコットキャラクターはどういうものがいいと思いますか。」

え。なにこの質問。
羽菜
「えっと…かわいくて、みんなに愛されるキャラクターが良いと思います。」

姫「ありがとうございました~!」

羽菜「ど…どうも。」

蒼生「明日またここに来て。面接の結果発表するから。」

こうして、面接は無事終わった。

第四話

面接が終わって、生徒会室のドアの前にしゃがんで言った。

「ああ…やっと終わった…生徒会に入るだけなのにこんな疲れるの…?」

でも、これだけじゃない気がする。あの人達だもん。

やっぱり何かあるよ…生徒会はまず、4人しかいない。

それだけ入るのには難しいんだ。

まず、面接で、みんな落ちる、そこからなんかあるはずだ。

いいや!羽菜は生徒会長になるんだから!クヨクヨしてもしょうがない!

羽菜
「今日は羽菜、頑張った!突然面接がきても、動じないで、冷静になれた!
羽菜頑張ったあっ~!」

そうやって、自分を誉めた。

『キーンコーンカーンコーン』

あっ。チャイムが鳴った。

急がないと。
私は教室に戻った。

ー授業が終わり、お昼休みー

お弁当食べよ!

この学校での、はじめてのお弁当!どこで食べようかな?

屋上とか?屋上!いいかも!
私はお弁当をもって屋上へ駆け出した。

ー屋上ー

わあ!ひろーい!

屋上は私が思っていたものより広かった。

そして、お弁当を食べるのにぴったりな場所を見つけた。ベンチがおいてある。

周りには先輩が何人かいる。
急がないととられちゃうかも!

私はベンチに座ってお弁当を食べた。
1人だから、すぐに食べ終わって私は生徒会について、考えていた。

羽菜「生徒会、入れてもらえるかな…また、認められないのかな…」
と、頭を抱えた。そのとき。

「どうした?」

とっさに顔を上げると二年生?が二人いた。

来翔
「ワイ、落合 来翔。こっちは枢 戳紅。よろしく。悩んでたけど大丈夫?」

羽菜
「は、はい!私、星南羽菜です。」

戳紅
「私達で良かったら話を聞かせて。解決できるかも。」

羽菜
「あ、ありがとうございます!えっと…生徒会のことで、」

戳紅
「なるほど…生徒会か…」

来翔
「よく入ろうとしたねwあそこ、生徒会、入るまでめっちゃ大変って噂で有名だよw」

羽菜
「はい!!!!知ってます!!」

戳紅
「うわ…凄いな…」

羽菜
「生徒会長になるために!…頑張って生徒会に入りたいんですけど…」

来翔
「久々に生徒会選挙がありそうだな…!」

羽菜
「え?………」

戳紅
「この学校の生徒会に入る人、そもそも少ないから3年に1回ぐらいしか、生徒会選挙がないんだよね~!」

来翔
「今の生徒会のメンバーが嫌だって学校の三分の一が、生徒会選挙を望まないと選挙はやらないしなあ…」

羽菜
「生徒会に入るのに選挙ってあるの…?」

戳紅&来翔
「え……」

・・・

・・・

謎の間があいた。
え?…あたし、なんか変なこと、言った?

すると二人が急に笑い出した。

来翔
「ヤバいw天然過ぎるw」

戳紅
「かわいいw」

来翔
「生徒会選挙を知らないで生徒会長になろうとしてたのw」

え…あ…(〃▽〃)

急に恥ずかしくなった。

でも…隣の家の子は、選挙はないって…

羽菜
「でも…選挙はやらないって…」

来翔
「それは人が足りない時。ほら、今の生徒会は3年生しかいないでしょ。
来年には生徒会のメンバーが足りなくなるからその時だけ、
生徒会長がスカウトするんだ。」

羽菜
「そ、そうなんですか…」

せ・選挙!そうだった…忘れてた…もう!羽菜のバカ!

『キーンコーンカーン』

あ、予鈴が鳴った。

来翔
「じゃっ。選挙、頑張ってw」

羽菜
「ありがとうございました!」

とりあえず、選挙の準備をしないとなあ…


ー次の日の、中間休みー



「えーっと…面接の結果を発表しまーす。」

ドキドキ。
これで不合格だったら選挙も出来ないから…!お願い!


「面接は…」

ドキドキドキドキ…


「合格でーす!」

羽菜
「やった~っ!」

蒼生
「でも、」

私はハッと我に返った。

陽太
「もう何人か、生徒会に入りたいって言ってる人がいるんだよねw」

あ、そうなんだ。


「選挙で、誰にするか決めることになったよ。」


「選挙で、勝ったほうが後期の生徒会に入れることになったんだ~」

やっぱり…ん?後期?前期じゃなくて?

ガ━(ŎдŎ;)━ン


「じゃあ頑張って~★」

生徒会の人に、羽菜、嫌われてる…?

第五話

ー5月ー

 あっという間に4月が終わり、5月になった。

生徒会の選挙があるって聞かされてから本当になにも起こってない。

5月になれば何か新しいことが起こるかもとあわい期待を抱いていた私が馬鹿だった。

つまり、暇。

羽菜
「う~んつま~んな~い!」

花鈴
「え~!5月には部活見学があるのに?」

部活見学…

羽菜
「それだ!」

部活動…!忘れてた!でも、なに部に入ろうかな?

あ、そうだ!

部活の見学をしながら、羽菜のことを知ってもらおう!
そうすれば、選挙で有利になるかも!


羽菜
「部活動見学…羽菜も行く!」

和香女
「えっ?部活見学、羽菜ちゃんも花鈴ちゃんも行くの?
なら、私もご一緒させてもらってもいい?」

花鈴&羽菜
「いいよ!」


と、いうわけで羽菜と花鈴と和香女の3人で、部活見学にやってきました!

私はまず、音楽室にやってきた。

防音がしてあって、小さな音だけど、力強い音色が聞こえる。

羽菜
「えっと…この教室は、何部かな…?」

和香女
「この音色…軽音楽部じゃないかしら?」

花鈴
「入ってみよ!」

私達は音楽室の重い扉を開けた。その瞬間。

「キャー!キャー!陽太先輩~!黒先輩~っ!」

陽太先輩と黒先輩を呼ぶ声にまけないくらいの音色の曲が聞こえた。

羽菜
「うわああ~っ!なるほど…(笑) 黒先輩と陽太先輩を見学しに来てる人がいるんだね(笑)」

私はそう苦笑した。

私達は人混みをかき分け、なんとか先頭に来た。

黒先輩と陽太先輩達の曲に合わせて歌うのは美人のたぶん…2年生。
透明感のある歌声に私達は引き込まれてしまった。

魔朱
「えっと…ありがとうございました…!えっと…一年生もいるので、自己紹介をします。ボーカル兼キーボードの小町魔朱です。」


「ギターの白銀黒です。」

陽太
「ドラムの熊野陽太です。」

と、自己紹介は続いた。あの人、小町 魔朱って名前なんだ…

羽菜
「あ、あの…!魔朱先輩、黒先輩、陽太先輩、素敵でした!あの透明感のある歌声…私、引き込まれてしまいました!」
「キーボードとボーカルの2つを担当して、2つともとても魅力的でした!」

あ…心の声…が思いっきり出ちゃった…!

私は顔を真っ赤にした。

魔朱
「ありがとうございます…!」
と綺麗な声で感謝の言葉が聞こえた。

羽菜
「じゃあ、次、行こうか!」

和香女
「OK!」

と音楽室のドアを開けた。

第六話

羽菜
「次はどこいく?」

和香女
「う~んそうね…ダンス部とかどう?」

花鈴
「よし!ダンス部に決定!」

ダンス部の教室は第3体育館。

体育館の入り口は開いていた。

かわいい音楽が流れている。

かわいい音楽の中でひときわ輝いているのは

ツーサイドアップに、猫耳のような髪型の先輩だ。

その先輩を見つけた瞬間、私のかわいいメーターが壊れた。

かわいいィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!

圧倒的かわいい派の私にはその先輩がに見えた。

曲が終わり、なにかが始まった。

森好茶夢
「みんなありがとうー!それじゃあお待ちかねのアタシ、森好茶夢との限定記念撮影&アンコールライブを始めたいと思います!」

羽菜
「嘘でしょ?あんなかわいい先輩と記念撮影ができるの?!最高じゃない!!」

て、いうかあの先輩、森好茶夢先輩って言うんだ…名前もかわいい…

花鈴
「あ、でも、これ、1人しか記念撮影できないみたいね」

羽菜
「ガーーーーーーーン」

茶夢
「今日は誰と記念撮影をしようかな…??」

茶夢
「きーめた!!あのかわいい一年生!黒髪で、横髪がピンクと水色の子!」

茶夢先輩は私の方を指差した。そして…黒髪で、横髪がピンクと水色の子…って…

羽菜じゃん!!

羽菜
「え…私ですか?」

茶夢
「そうよ!あなたよ!こっちへいらっしゃい!!」

え…信じられない…私がかわいい…?

ステージに立って少し茶夢先輩と話した。

茶夢
「へぇ…生徒会に立候補しているんだ…!じゃあ…ここにいるみんな!!生徒会の選挙では羽菜ちゃんに入れてあげてね!!もちろんアタシも羽菜ちゃんに入れるね!」

羽菜
「ありがとうございます!!!」

そして、記念撮影をして、体育館を出た。

羽菜
「あぁ…茶夢先輩かわい過ぎた…」

和香女
「次はどこに行きます?」

羽菜
「あ、それなら!私が行ってみたい部があるの!!早速行こう!」

和香女、花鈴
「あ、行っちゃった…」

羽菜
「じゃーん!!文芸部でーす!!早速入ります!!!」

羽菜
「失礼しまーーーーす!」

教室には何人かの先輩がいた。

他の部員
「主人公みたいなとうじょうやなぁw面白いw君、名前は?」

羽菜
「あ、ハイ!星南羽菜です!私スッゴくこの部活に憧れてて!って…へ?」

え?

私は来翔先輩を見つけた。来翔先輩って文芸部だったの?!

羽菜
「来翔先輩!文芸部だったんですね!!」

来翔
「お、羽菜じゃん。ようこそ~文芸部へw」

羽菜
「来翔さん!ここの作品見ても良いですか!!」

他の部員
「もちろん。貸し出しもしてるよ~」

和香女
「羽菜!あまり長居しないでね」

羽菜
「分かったわ。長居はしないよ」

私は窓に立てかけてある本を眺めた。

そのうち、面白そうなタイトルを見つけ、

羽菜
「私、これ、借ります!」

と私は借りた。

来翔
「また来てね~」

私達は文芸部の教室を出て、体育館に向かった。

第七話

花鈴
「バトミントン部行く?」

和香女
「そうね…いってみる?」

体育館の入り口で嫌な予感がした。

人が密集してる。


予感が的中した。

バトミントン部は…蒼生先輩の見学者でいっぱい。

蒼生
「お、羽菜じゃん、」

なぜか蒼生先輩に呼ばれた。

蒼生
「羽菜、バトミントン出来る?」

え?なんで?

羽菜
「え…あ、出来ますけど…」

蒼生
「勝負しない?」

羽菜
「え…?私ですか?」

それで、謎のバトミントン対決が始まった。

ルールは10点先取で勝利。同点の場合は二点差がついたら勝ち。
でも私にはハンデで、始めから5点入っている。

今は8対7。

羽菜
「行きまーすー ホイっ」

と私が羽根を投げた。

羽根はネットを軽々と越え、蒼生先輩のコートの上空へ。

それを蒼生先輩がヒョイと私のコートへ。
ネットの近くに落下しようとしている。

まずいな…あんまり走りたくないんだけど…

スマッシュ打っとこうかな、

と私はネットの近くに寄り、軽めにスマッシュを打った。

スマッシュの割には遅めだったけど羽根は蒼生先輩のコートの端っこに。

すかさず蒼生先輩が強めに打った。

すごい早さで羽根は飛び、そのまま一直線に。

そのまま私の横を通り過ぎ、落下。

羽菜
「一点とられた!」

「きゃー!蒼生先輩ー!」
歓声がうるさい。

蒼生
「リーチだよ~」

そして蒼生先輩が羽根を投げた。

と瞬間に素早いサーブを放った。

今までで一番早いサーブだ。 

目で追えないほどの速さだ。

サーブで点を取ろうとしたのだ。

しかし、羽菜は反応した。

なぜかは分からない。

羽根はすごい速さで蒼生先輩のコートに飛んでいき、コート内で落下。

蒼生先輩もびっくりしたようだ。

もちろん観客も。

観客
「蒼生先輩のサーブをとるなんて…すごい…」

羽菜
「先輩、残念☆油断禁物です!」

そう、羽菜はカッコつけた。

それで、怒ったのかその後は蒼生先輩は本気で打ってきたので、あっという間にやられてしまった。

蒼生
「羽~菜ちゃん?ちょっと点を取ったからって調子に乗っちゃいけないよ?」

羽菜
「は、はい…」



羽菜
「うわぁ…もう疲れた!!」

和香女
「勝負だったものね…」

花鈴
「疲れたから部室近い部活でも行く?」

和香女
「そうね。」

すると後ろから声をかけられた。

画御
「あの……もしかして、同じクラスの星南羽菜さん達?」

羽菜
「え?あ、そうだけど…?」

画御 
「あ、あの!一緒に部活周ってください…!方向音痴で、同じところグルグル周っちゃって…」

羽菜
「え?いいの!私ね、画御さんと仲良くしたくて!一緒に部活回ろ!」

画御
「ありがとうございます!」



羽菜
「そうね…あ、見てみて!!」

羽菜が見つけたのは歴史研究部の部室だ。

羽菜
「歴史研究部だーー!」

花鈴
「あ、本当だわ!羽菜のテンションがちょっと上がったし、歴史研究部に行く?」

和香女
「そうね。そうしましょう。たしか、羽菜…歴史好きよね?」

羽菜
「そうなの!羽菜、暗記ものは得意で、歴史はテスト範囲を覚えたらマニアックな知識とか、よく調べてるの!調べ始めると面白くなっちゃって…w」

画御
「へぇ…羽菜さん、歴史が好きなんだ…」

羽菜
「コンコンコン♪こんにちは~!部活見学に来ました~!」


「お、誰か来た!」

中に誰か人がいた。

私達は部室に入った。


「部活見学?名前は?」

羽菜
「星南羽菜です!羽根の羽に、菜の花の菜です!」


「羽菜ちゃんね。俺は西野 京。中2だよー」

羽菜
「え?!西野先輩?!2年の成績トップ!」


「いやいやwテキトーにやってるだけだからw」

え?天才じゃんwテキトーにやってるのに成績トップとか。

私は京先輩にやってほしいことがあるんだ。

羽菜
「あの!京先輩!歴史問題で勝負して下さい!」


「ん?いいよ~じゃっ1951年に起こったことは?」

うわっいきなり。えっと…サンフランシスコのやつだよね!

羽菜
「サンフランシスコ平和条約です!」


「せいかーい  じゃっ次。」

と20分ぐらい続いた。


「羽菜ちゃん凄いね~小さいころから歴史好きなの?」

羽菜
「いえ!6年生の時に歴史を知って全部覚えました!」


「へぇ…俺は幼稚園ぐらいからだけどな…記憶力いいね」

羽菜
「えへへ…」

羽菜
「あ、じゃあ、そろそろ行きます!ありがとうございました!」


「またきてね~」

羽菜
「あ~楽しかった~!」

画御
「羽菜さん…すごい…」

和香女
「そうなの!私が尊敬してるとこ!記憶力がすごいこと」

羽菜
「ふふふw」

しばらくするとゲーム部の部室が見えた。

羽菜
「ゲーム部行く??」

画御
「あ、行きたい!」

羽菜
「OKー!」

私達
「失礼しますー!」

姫先輩がいた。


「一年生が来た!お、羽菜じゃんw見てってねw」

羽菜
「姫先輩、なんのゲームしているんですか?」

私は訪ねる。


「ん?スプラだよ!羽菜やってる?」

羽菜
「あ、もちろん!スプラは割とやります!弱いけど…」


「へぇ…」


「タイマンする?」

姫先輩が言った。

羽菜
「え…?私ですか?いいですけど…弱いですけど…」

なぜか姫先輩とタイマンすることになった。


「ルールはナワバリバトルの3分間、多くキルしたほうの勝ち。
ブキ、ギアは自由。」

羽菜
「は、はい…」

ブキとギアを整え、試合が始まった。


私はガロンベッチュー。

姫先輩は赤ザップ。

ギアが似合っててかわいい!

飛蝉 美々子
「実況は私、飛蝉 美々子がお送りします! 」

美々子
「ステージはホッケ埠頭。」

美々子
「レディ?ゴー!」

まずは、自陣を塗ろう。

自陣の両サイドも塗って、裏どりも分かるようにしよう。


コンテナの上のところも塗っておこう。

いや、やっぱり中央を取ろう。キルしないといけないし。

かなり有利になると思う。

そうしたら、スペシャルのナイスダマがたまった。


姫先輩は自陣をしっかりと固め、私の方の中央にやってきた。

コンテナの近くに来たので、私はシールドをはった。

シールドをはれば、横からしか攻撃できない。

多分、左側から回ってくるかな?

私は左側に回り込んだ。姫先輩はいない。

あ、シールドを壊したんだ!

私がそうこうしているスキに姫先輩が回り込み、撃ってきた。

あ、ヤバいヤバいヤバい!

すぐに打ち返した。

1発当たった!

でも姫先輩は一度引いて、ロボットボムを使った。

ボムは私を追いかける。

逃げようとしたとき、姫先輩が道を塞いだ。

挟み撃ち。

それで、私はやられてしまった。

姫先輩は煽りイカをした。 

くそっ!

私はリスポーン地点へ。

まだ塗っていない側を塗ってナイスダマをためた。

中央に戻ると早速撃ってきた。

私はナイスダマを使った。

姫先輩は倒そうと撃ってきた。

残念!私の方が先にナイスが貯まったよ!

私は足元にナイスダマを放ち、姫先輩をキルした。

よし!!

しっかり煽りイカをしてから、塗った。


「先輩を煽るなんて…!」

陽太
「オイ…羽菜…」

羽菜
「えっへん!」


「クソっっっ!」

姫先輩は本気を出してきた。

コンテナに登り、上から攻撃。

う、上からはずるいぞ!

私はそれに対抗するため、動く車に乗って、コンテナに登った。

姫先輩は、私のいるコンテナへ。

タイマンなら私の方がブキ的に強いもんねー!

と思ったらロボットボム。

戸惑ってたら姫先輩にドカン!!

やられたぁ!!

その後はボコボコ。

結局、2対8で姫先輩の圧勝。


「さすが姫!圧勝!」


「ヨッシャー!勝ったー!」

羽菜
「だから弱いって言ったじゃないですかー」


「まあ、またやらない?」

羽菜
「やります!次は勝つ!圧勝してやるわ!」


「そんなの100年速い!」

羽菜
「100年?抜かされる自信があるんですね!」


「はぁ?そんなことないし!」

陽太先輩
「まあまあ、姫も落ち着いて、圧勝だったじゃん。」


「陽太~!この生意気一年が~」

陽太
「いいこ、いいこ。姫も頑張ったね~」


「さっすが陽太。ありがと!」

陽太
「今度俺ともタイマンしない?ボコボコにするから。」

え、ボコボコは嫌だな。

羽菜
「じゃ、帰ります!さようなら!」

都合が悪くなったのでサッサと帰った。



羽菜
「あ、最後は美術部いかない?」

画御
「あ、いろんな部活見学してて忘れてた!wいこいこ!」

図工室についた。

図工室は絵の具の匂いが漂っていた。

羽菜
「わぁ、すごい、」

私が一番目に入ったのは風景画だ。

NS学園の中庭だ。影も、校舎の細かいところまで再現されている。

羽菜
「あの風景画、誰が描いたんですか?」

すると聞き覚えのある声が聞こえた。

戳紅
「ああ、それ?仮入部の子が描いたの。上手いよね!」

羽菜
「あ、戳紅先輩!美術部なんですね!」

戳紅
「そうだよ~あと、来翔も美術部と文芸部の掛け持ちなんだー」

へぇ…仮入部の子って誰だろう…

絵の裏に書いてある名前を見た。

    田沼

え?田沼さんの?すごい…なんか…語彙力崩壊…

田沼さん、美術部行くのかなぁ?

戳紅
「羽菜ちゃんってイラストかく?」

羽菜
「書きます!はいっ!」

適当に女の子を描いた。

戳紅
「わぁっかわいい!あ、そうだ!羽菜ちゃんにこれあげる!」

先輩がくれたのは綺麗なネックレス。

戳紅
「私が作ったの。良かったらもらって。」

羽菜
「あ、ありがとうございます!」

するとチャイムが鳴った。

部活が終わったんだ。

画御
「羽菜さん!そろそろ帰ろう!」

羽菜
「うん!分かった!戳紅さんありがとう!」

戳紅
「またきてね!」

羽菜
「はいっ!」

第八話

羽菜
「うわぁぁぁぁ~!忘れてたっっっっ!」

休み時間、教室で、思いっきり叫んだ。

花鈴
「何が?」

羽菜の声のデカさに驚くことなく花鈴が言った。

羽菜
「なにが?じゃないよ!!!ちゅ・う・か・ん!中間テストだよ!」


中間テスト。


この 聖NS学園の偏差値は75以上。
(平均点が低いと80ごえすることもしばしば。)

つまり天才が集まる学園である。

その天才達の集まる学園で上位になる自信は羽菜にはない。

なぜなら羽菜は小学6年生から本格的に勉強を始め
最低限の勉強しか していない。

そこから羽菜は自分が落ちこぼれだと勘違いし、

この学園で、『いつも通り』では絶対に赤点だ…!

そう思ってしまったのである。

花鈴
「あー。確かに中間テストあったなー6月30日だっけ?まだ1カ月あるから大丈夫だよ~」

羽菜
「ヤバい!私、次の中間テストで赤点取りそう!」

花鈴の言葉をものともせず、羽菜は慌てる。


羽菜
「どうしよう!…あ!生徒会の人達に聞いてみよう!何か教えてくれるかも!」

ー生徒会室ー


羽菜
「と言うわけで来たんですが…なんか良いアイデアありますか?」

蒼生
「それを生徒会の3年生に聞くのはアウトじゃない?」

蒼生先輩が英語の参考書を読みながら言った。

陽太
「そうそう。俺らも、そんな暇じゃない。」

陽太先輩が数学の問題を解きながら言った。

そう、今の3年生はガチだ。

生徒会はパーフェクト集団。

絶対にテストでトップの座を誰かに譲れない。

しかし。

そのトップの座を奪おうとする3年生も多くいる。

一年生に勉強を教えるということをしている暇など無いのだ。

しかし、羽菜はそんなことは百も承知。羽菜にも作戦がある。

羽菜
「やっぱり…そうですよね…私はパーフェクト集団の生徒会の皆さんなら私を教えながらでも、トップになれると思ってましたが…期待外れでした…生徒会ってそんなにパーフェクトじゃなかったですね…」

作戦。生徒会をとことん ディスる。

羽菜は普段絶対にそんなことを言わない。

そんな羽菜が生徒会を悪く言ったということは

羽菜はマジでそう思ったと生徒会の4人は考えた。

そしてその言葉はプライドの高い4人の心にグサリ!と刺さった。

全員の動きが時が止まったかのように止まった。

羽菜
「じゃあ、私は帰って1人で勉強します。」

とドアノブに手をかけた瞬間。

陽太
「ずいぶんと舐められたもんだね」


「いいよ。見てあげるよ。生徒会の力を見せてやる!」

陽太
「余裕でトップ取る」

蒼生
「あ~あ。2人のスイッチが入っちゃったwこうなったら止められない。僕も協力するよ。」


「3人がやるって言うなら…1人だけ勉強ってなんかズルいし…」

やった!勉強をみてもらえる!作戦大成功w

羽菜は体の向きをくるっと変え、明るい声で言った。

羽菜
「ありがとうございます~!(´▽`*)w」

その瞬間に4人は騙されていたことに気づいた。


「あ~っっ!!やられた~っっ!!!今の発言撤去!!!」

羽菜
「え~?ダメですよ~!騙されたのは先輩ですし、証拠もきちんと録音してありますし…」


「あぁ~っっ!!クソぉぉ!」

羽菜
「あ、そうだ!生徒会の皆さんで勝負すればどうですか?私を教えながら誰が一番点数を取れるか!」


「え?良いよ。それ、自信ある。今度こそ陽太の一位の座を奪う。」

羽菜
「ライバル宣言!!面白くなってきたぁ!!」

羽菜に振り回される生徒会であった。

第九話

羽菜
「それで、生徒会の人達に勉強を教えてもらえるんだ!」

花鈴
「羽菜すごいよ…」

ー生徒会室ー

陽太
「じゃあ、苦手なところをあぶり出すから、中間テストの過去問 解いて。」

羽菜
「はーい」

蒼生
「うわ…突っ込み所がたくさん…」


「国語…やばくない?」

羽菜
「う…やっぱり、」

羽菜は暗記が得意だが、国語が大の苦手。

羽菜
「だってぇ…国語は暗記でごり押し出来ないんだもーん!!」

(すべて100点中)
国語15     

数学95

社会100     

理科98    

英語89 


「国語以外はハイスペックだな…一年生の私でもこんなにとれなかったし。」

私は嬉しくなった。

羽菜
「でしょ?!羽菜できてるでしょ!」

蒼生
「いや…駄目だよ…総合が397点だもん…トップを狙うなら450点こえないと。」

羽菜
「は…?」


「せめて、国語で50点とりなよ…生徒会入れないよ?」

生徒会…入れない…?

ガーーーーーーーン!!

羽菜
「え!生徒会入れないんですか!本当ですか??」

陽太
「そうだよ生徒会入れないよ?」

生徒会入れないなら…やばくない?…がんばらないと!!!

羽菜
「だれか国語!教えて下さい!!」


「よし!私が教える!」

羽菜
「あ、ありがとうございます!」

生徒会のドアを思いっ切り開け、飛び出した。

陽太
「まんまと騙されてる…w」

蒼生
「390点以上ってやばくない?」


「トップだよw」


「そんなにイタズラしたいの?3人ともw」

蒼生
「なんかかわいいじゃんw」

陽太
「羽菜って単純だな。」

蒼生
「だね。」

私は図書室に向かった。

姫先輩も追いかけてくる。

私は図書室に着くなり、図書室の勉強コーナーに行った。

羽菜
「国語で点数アップできる方法…」


「何してんの?私が教えるって言ったでしょ?」

羽菜
「だって!」


「自分で勉強しないで!私のやり方でやれば高得点とれるから!」

羽菜
「ご、ごめんなさい…」


「私の家、来て。勉強するよ!」

羽菜
「えぇ!?」

え?!
私が姫先輩の家に?!

第十話

姫先輩の家に行けるの!?

ヤバい!!嬉しい!


「5教科のテキストとノート持ってきてね~」

羽菜
「分かりました!!」

姫先輩の家に行く日。

わーっ!どうしよう!

洋服!!

あ、いけない!今日は勉強会なんだから!

私は外に出て、お気に入りの白い自転車に乗り、思いっ切りこいだ。

Googlemapの通りに来ると、見たことのある景色に出た。

たしか…2年くらい前、車で通ったことがある…ハズ。

ここは、おしゃれな西洋風の住宅街なんだよね。

こんな所に姫先輩の家があるんだ。

ついた。

姫先輩の家は西洋風のおしゃれな家。

お金持ちだな…

羽菜
「インターフォン…インターフォン…どこだ…?」

あ、あった。

ピーンポーン♪

すると門が自動で開いた。

羽菜
「うわっ。」

姫先輩の家の庭は植物がいっぱい植えてある。

綺麗だな…

玄関には姫先輩がいた。


「やっほ。びっくりした?」

羽菜
「いや…家はそんなに…びっくりしなかったです」


「お?まさか羽菜も金持ちか~?」

羽菜
「違うって…!」


「まあ、どうぞ~」

姫先輩に案内され、家に入った。

羽菜
「あ、あれ?陽太先輩…?」

案内された部屋にいたのは陽太先輩。

羽菜
「あ、お家デートの邪魔しちゃった…かな?ごめんなさい…」

陽太
「本当だよ…まあ、姫のいいところだしw」


「陽太…!」

陽太
「羽菜…国語の猛特訓…するぞ!」

羽菜
「うわぁ…国語…嫌い、」


「羽菜は暗記が得意なのは知ってるから、四字熟語とか慣用句とは知識系は軽くやるだけね。」

う、姫先輩…羽菜のことわかってる…


「じゃ、やるよ~」


「暗中模索の意味は?」

羽菜
「あてもなく色々探ること。」 


「勧善懲悪は?」

羽菜
「良いことを勧めて悪いことを起こすこと。」


「はい、じゃあもう暗記系は終わり。」

羽菜
「え、終わり?!」


「次は読書タイムだよ!」

読書…?

羽菜
「わーい!読書だー!」


「その後に問題があるけどね」

羽菜
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

陽太
「羽菜、うるさい」

数学の教科書を片手に陽太先輩は言った。


「じゃあ陽太も数学のプリントを20分で。羽菜も20分で国語のプリントやって」

羽菜
「はあぁ…」

陽太
「OKー」


「羽菜は問題をたくさん解いて。そうすると解き方を覚えるから。」

嫌だな…

と、そんなこんなでテストの日がやってきた。

うわぁ、国語全然自信ないなぁ…

イヤっ弱音は駄目だ!
とにかく、がんばろ~っ!!



頑張ったぁ~~!!

姫先輩の特訓のおかげで国語はかなりいいと思うんだよね…!

う~ん疲れた~…

この後も授業あるのに~っ!


昼休みはなんとか耐えたんだけど…

授業中

もう…無理…

zzz…

先生
「こら!羽菜!起きろ!」

そんな声が聞こえたような気がする…ような?


花鈴
「羽菜、すごいね。放課後になっても起きないなんて」

和香女
「1000発ぐらい叩かれてるんじゃない?ww」

第十一話

ー中間テストの結果発表ー

私、中間テストの日の記憶が全くないんだよな…

たぶんテストを頑張って解いてたんだと思うけど、
自信とか出来とかは覚えてないんだよね。

なんでだろう…

以前から、大事なテストとか試験のときの記憶がないんだよな…

NS学園の入試の時も。

たぶんそういう体質なのだろうな。

校内に貼られた掲示板には順位が載っていた。

えっと…星南…星南…星南…っと

あっt…え?

私の名前は一番上に書いてあった。

つまり…学年一位。

ええええ?!

喜びと驚きが混ざっている。

花鈴
「羽菜すごいじゃん!」

和香女
「あんなにテスト前、騒いでたのにw」

画御
「すげぇ。」

画御さんもやってきた。

あ、そうだ!画御に言いたいことがあるんだった!

羽菜
「あ!音色さん!あのね!あの!中間テストおわったし、アニメイト行かない?」

画御
「え、羽菜ちゃんと?」

羽菜
「あ、あと黒先輩もいっしょにってなったんです!」

画御
「え、黒先輩も?いつの間に仲よくなったの?」

羽菜
「えへへ~」

画御
「へ~じゃあ今度計画しよっか。」

羽菜
「うん!」

よし。じゃあ教室に戻ろうかな…

あれ?黒先輩じゃん!こんな所で何してるんだろう?

羽菜
「あれ?黒先輩!どうしたんですか?」

私は声をかけた。


「あ、羽菜。ほら。これ。」

黒先輩は持っていた紙をひらひらさせた。

その紙をよく見ると

生徒会選挙のお知らせ

と書いてあった。

選挙のお知らせのポスターを掲示板に貼っているんだろう。

羽菜
「おおっ!ついにですか!?」


「うん。7月10日に投票だから頑張ってね~」

と黒先輩は次の掲示板にポスターを貼りに行った。

生徒会選挙…

忘れてた…!

えっと…選挙には応援演説をしてくれる人を探さないと!

誰がいいかな…?

同じクラスの人達にお願いしてみようかな…

あ、その前に選挙の立候者申し込みしておかないと…

やることいっぱいだ…

ー1年1組教室ー

羽菜
「と、言うことなの…お願い!!協力して!」

花鈴
「そっかぁ…もう選挙か…」

和香女
「羽菜ちゃんが応援演説やって!って言ってくるの分かってたけどねwww」

羽菜
「え?じゃあ…」

和香女
「私達・・が協力しましょう。」

花鈴
「私…達…?」

和香女
「そうよ。花鈴。あなたはポスターとかを作るだけでいいから。羽菜ちゃんに協力しない?」

花鈴
「あぁ良かったーっ!応援演説は私、無理だけど、ポスターなら喜んで引き受けるよ!」

羽菜
「2人とも…ありがとう…!」

私は友達に恵まれているなぁ…
いつかこのお礼をしないと!

すると画御さんもやってきた。

画御
「え?羽菜ちゃん選挙に出るの?!」

羽菜
「うん。」

画御
「なら、私も協力するよ!!アニメイトにも誘ってもらったし!!」

羽菜
「音色さん…」

すると音色さんはちょっと不満そうな顔をした。

画御
「もーっ!画御でいいよっ!私も羽菜って呼んで良い?」

羽菜
「もちろん!ありがとう画御!」

私達は笑いあった。

第十二話

6月。
中間テスト期間前のお話。

ー羽菜ー
聖NS学園は行事が多い。

学園全体で七夕祭りを行ったりする。

だから、生徒会も大忙し。

人数を増やせばいいのに。

あ、そうだ!

羽菜
「♪~♪~」

ー生徒会室ー

*姫視点*

私はカレンダーを見た。6月。来月は7月だ。


「もうすぐ七夕祭りだね」

陽太
「ああ、そんな季節か。」

陽太が言った。

蒼生
「忙しくなるぞ~」


「だねw生徒会も大忙しだもん。4人しかいないんだからw」

黒も蒼生も嘆く。


「じゃ、会議しようか!七夕祭りのことについて。」


「はーい」

蒼生が椅子を並べた。

そのとき。

ガタン!

と天井から大きな音が鳴った。

みんながびっくりして、陽太が言った。

陽太
「びっくりした…上かな?」

蒼生
「たぶんレクでもしてるでしょ?」

蒼生も言う。


「そうだね」

と黒も言い、全員 蒼生が並べた椅子に座った。

そして私と黒は黒板の前に立った。

私は軽く咳払いをし、言った。


「ではこれから生徒会 会議を始めます!」

ドバーン!

教室の後ろから大きな音がした。

みんなが振り向くとそこには羽菜がいた。


「えぇ!?なんでいるの!」

黒も思わず言った。

羽菜
「えへへ~生徒会のみなさん大変だと思って、来ちゃった☆」

私もみんなもこれには呆気にとられていた。

陽太
「天井を突き破ってまで?!」

と陽太が言って天井を見ると天井の扉が開いていた。

羽菜
「だって~生徒会室、 鍵がかかって入れないんだも~ん!」

羽菜
「それに突き破ってませんよ!隣の教室の天井裏から入っていって、天井裏を通って生徒会室に来たんです!」


「はぁ~っ?!お前はスパイか!?」

さっきのガタン!は羽菜の音か…


「発想がすごいwそんなことする人いないよw」

蒼生
「これは…退学かな…」

羽菜
「え!なんでですか!!」

やっぱり羽菜は生意気で悪い子だな…

陽太
「で?なんで生徒会室に来たの?やっぱりなんかアイデアがあるの?」

羽菜
「え?アイデア?えっとね…ない(*´▽`*)」

羽菜の言葉に私はキレた。

次の瞬間、私は羽菜の肩をつかんだ。


「、、、、、羽ー菜ーちゃーん?(*´ω`*)ニコッ」

陽太も羽菜の手を掴み、追い出そうとした。

羽菜
「え、ちょっとなんでよぉ~っっ!痛い痛い痛い!アイデアないなんて嘘嘘嘘!」

蒼生
「2人とも止めなよ~大人気ないw」

蒼生
「羽菜もアイデアがあるなら会議参加すれば?」

蒼生が言った。

羽菜
「え、いいの?」


「そのために来たんでしょ?」

羽菜
「はい!」

いつもまとめ役は黒と蒼生だ。


「しょうがない…羽菜も参加させるか…」

羽菜
「やった!さっすが蒼生先輩と黒先輩!」

羽菜の喜ぶ顔ってなにげに可愛い気がする。

陽太
「早く座って。会議するよ。」

羽菜
「はーい!」

私は黒板の前に立った。

何故か羽菜が隣に居る。

私は気を引き締めて軽く咳払いをした。


「こほん。では気を取り直して、生徒会の会議をはじめます。」

姫&羽菜
「礼!」

羽菜が私の声に合わせて礼っ!と言った。

これには他の3人も吹き出した。

さらに。

羽菜
「よーし!すたフェスのアイデアある人いますか!」

と勝手に私の仕事を奪われている!!


「ちゃっかり会議進行するな!!!」

羽菜
「やってみたかったんだw」

ダメだろwww


「ほら!お座り!」

と黒は言った。

羽菜はタタっと椅子に座った。


「お前は犬か!www」

羽菜
「ワンワン〜」

陽太
「よしよーし」

と陽太も羽菜を撫でた。

陽太にナデナデされてる!!!!



「、、、、、羽ー菜ーちゃーん?(*´ω`*)ニコッ」

羽菜
「…え?姫先輩もナデナデしてほしいの?ほーらナデナデ〜」


「…!」
一年生に撫でられる三年生…
恥ずかしい…


「あ〜っ!もう!羽菜!意見早く言って!」
話題を逸らす。

この学園のすたフェスは生徒会が何をするか毎年決めている。
つまり生徒会のセンスが問われる行事だ。

羽菜
「あっ!そうだったwwwじゃあ発表します!」

羽菜
「生徒会の人達は織姫か彦星に仮装して、生徒たちの短冊を飾るんです!」

なかなか良い考えかもしれない。
陽太が彦星の衣装を着た姿を想像した。

蒼生
「お〜良いかもね。みんなは?」
蒼生も同じ意見だ。


「私も良いと思う。彦星の陽太も見てみたいしw」


「だろうなw」

バレてるしw

私は照れた。

羽菜
「それだけだけだと面白くないので、こうしましょう!」

羽菜
「教室内を飾ってその美しさを競う、略して教室スターコンテスト~!」

そのまんまの名前w

陽太
「そのまんまだな。」

しっかりと陽太がつっこむ。

蒼生
「でも楽しそう。やる価値はありそうだな。」

羽菜
「うんうん!そうでしょ?!」


「僕は賛成。みんなは?」

私も賛成だ。


「私も。」

陽太
「じゃ考えてみるか。」

羽菜
「やった!じゃあ私のクラス優勝させます!じゃ!さようなら!」

と、なった羽菜はドアに向かって走った。

ドアを思いっきり引いて走り去っていった。

嵐のようだなw


「じゃあ そうしますか。」

蒼生
「だな」

第十三話

羽菜視点

私が生徒会室に行ってから数日経った後、掲示板にこんなお知らせが貼られた。

今年も開催!すたフェス!
今年はコンテストを開催!

と書いてある。

羽菜
「やった!コンテストだ!」

西野 京
「おお、コンテストか、盛り上がりそうだな」

小町 魔朱
「楽しそう!」

京先輩も、魔朱先輩もやってきた。

羽菜
「西野先輩!小町先輩!お久しぶりです!」

西野京
「やっほー」

落合 来翔
「今年の生徒会はなかなかセンスがいいね」

来翔先輩もだ!


羽菜
「落合先輩!ありがとうございます!」

私は思わず言った。

落合 来翔
「え?なんで?」

あ、そうだ。企画を考えたのは羽菜だけどみんなは生徒会が考えたことになってるんだ!

羽菜
「なんでもないです!私達のクラス、優勝を狙いますよ!」

落合 来翔
「おー、こっちも負けないからなー!」

その日からすたフェスの準備が始まった。

先生から詳細のルールを聞き、予算は3万円らしい。

先生
「では、すたフェスの実行委員を選出します。立候補する人。手をあげてください。」

羽菜
「はいっ!!」

先生
「じゃあ星南さんにお願いしましょう。」

羽菜
「やった!絶対勝つよーっ!」


そのころ二年生は…

来翔
「すたフェスだって。今年は教室を飾るコンテストやるんだと。」

戳紅
「楽しそうだね!」

いつもの通りに来翔は戳紅と話す。

来翔
「で、多分実行委員決めると思う訳。」

戳紅は探るような目で言った。

戳紅
「一緒に?」

こいつはエスパーか。

来翔
「そう。やらん?」


戳紅
「来翔がやるならやるけど…珍しいね、実行委員やるなんて。」

来翔
「ま、今回はアイデアがあるの。」

戳紅
「マジか。でも4人じゃない?実行委員。」

来翔
「う、そうか。4人か。」

来翔は正直、話したことない人とは組みたくないらしい。

来翔
「知ってる人だといいなぁ…」

先生がやってきた。

先生
「では今回のLHRではすたフェスの実行委員を決めます。まずは立候補する人はいますか?」

来翔
「はい。私やります」

戳紅
「私も立候補します!」

先生
「あと2人、立候補してくれないかしら?」

実行委員は流石に誰もやりたくないのか、手をあげる気配がしない。


「やります、」

魔朱
「あ、じゃあやります!」

先生
「わかった。じゃあその4人で決定ね。」

来翔
「やった!知ってる人でよかったっー!」

休み時間。さっきから来翔はそれしか言わない。

戳紅
「よろしくね。西野さん、小町さん!」

魔朱
「よろしくね!」


「絶対に一位取るぞっ!」

4人
「おーっ!」

第十四話

羽菜
「来たーーーーっ!」

やってきたやってきたやってきたっー!

この学園、初めての行事、すたフェスだーっ!!!

教室スターコンテストして、全校生徒の願い事を書いた短冊を織姫と彦星が飾って・・・

楽しみ過ぎる・・・!


来翔
「羽菜…何してるの…?校門のど真ん中で叫んで…」

私が妄想をしていると来翔先輩が話しかけてきた。

た、たしかに校門のど真ん中で叫んでるとかやばいやつかも…

羽菜
「えへへ・・・楽しみなので・・・」

私はテヘペロとでも言うように舌をだした。

来翔
「まあ今日は一日中すたフェスの準備だしね。」

今日で教室の飾りを完成させるんだ!

羽菜
「あと!今日織姫と彦星を決めるらしいですよ!」

織姫と彦星に選ばれた人はすたフェスの進行、メインである短冊をかけたりと色々忙しい。

織姫と彦星は全校生徒のなかから投票で決まる。

来翔
「まあ誰になるか予想はつくけどね・・・」

私は姫先輩と陽太先輩を思い浮かべた。

来翔
「ほら、羽菜いくよ。遅刻するぞ~」

羽菜
「あ、はーい!!」

よーし!頑張るぞ~!

1-1教室

羽菜
「よーし!早速やっていこ~!」

私は黒板の前に立っていった。


「なにかこんな風にしたい~とかあったら言ってください。」

ちなみに田沼さんも実行委員なんだ!

お願いしたらOKしてくれたんだ。

神様・・・!

画御
「はい。」

画御がてを挙げた。


「どうぞ。」

画御
「私は黒板アートとかあったらいいなと思います。」

羽菜
「黒板アート!いいね!」

クラスメイト
「確かに・・・でもむずそう・・・」

そんな声もある。

羽菜
「大丈夫!練習すればいいよ!」

画御
「凄い黒板アートが出来ればきっと一位に近づくと思います。」

うんうん!

すると田沼さんが言った。


「もしやるなら、私が教えることも出来ます。私、実はグラフィックとかも結構経験があります。」

羽菜
「え”?凄っ!」


「だから黒板アートは実現できると思います。」

私はあっけにとられた。

羽菜
「な、なるほどー!黒板アートでいいと思う人!」

クラスの大半が手を挙げた。

羽菜
「よーし!黒板アートで決定!みんなー!黒板アート頑張ろー!」


「その他の飾り付けも考えないと、」

羽菜
「あ、それはバルーンアートがいいなって思ってたんだけど、どうかな?」


「バルーンなら準備に時間もかからないし、膨らませるだけだからね。」

画御が手を挙げた。

画御
「あ!ならすたフェスだからさ!星メインのバルーンがいいと思うよ!」

ナイスアイデア!

羽菜
「OK!バルーンなら多分予算あまるから他のもできると思う!」

羽菜
「じゃあみんなで始めよー!」
二年生

来翔
「よーし。ある程度のデザインが決まったから早速始めるかー」

来翔は黒板の前に立って言った。

戳紅
「来翔ー買い出ししてきたよー」

ドアから声がした。

戳紅が買い出しから戻ってきたらしい。

来翔
「おーお疲れー天井の飾り付けの材料はこれで足りる?」

飛蝉 美々子
「うーんたぶん大丈夫だと思う。足りなかったら私が買ってくるから~」

と飾り付け担当の美々子は言う。

来翔
「美々子は頼もしいなあ。じゃあ、足りないならよろしく頼む!」

するとどこからか声がした。

東雲 紫音
「飾り付けを10個以上作るなら足りないかと思います」

彼女がそう言うと3人は驚く。

来翔
「え、誰・・・?」

来翔は戳紅に耳打ちする。

戳紅はためらいもなく、さらっと答える。

戳紅
「東雲紫音さんだよ。不登校でほとんど学校に来ないけど美人で学園トップの頭脳を持ってるとかって言う噂があるの。」

来翔
「へー。」

美々子は紫音にこう言う。

美々子
「東雲さん。今日来てたんだね!」

美々子と紫音は知り合いらしい。

紫音
「文化祭の準備くらい行きなさいって親がうるさいから・・・」

紫音は気だるい表情をした。

美々子
「ふーん、で、あとどれくらい材料必要?」

紫音
「あと2セットぐらいなので、私が買い出ししてきます。」

紫音は立ち上がり、教室を出る。

美々子
「あ、まって!私が行くよー!」
美々子が追いかけようと教室の外に出るが、もう

紫音はいなかった。

美々子は頭を抱えて言った。

美々子
「見失った〜!」

来翔
「まあ、1人でも大丈夫じゃないか?」

来翔は美々子の肩に手を乗せて言う。

戳紅
「美々子ちゃんは知り合いなの?」

戳紅は美々子に言う。

美々子
「いや?初めて話したけど。」

なんてこともないような顔で美々子は言った。

2人は驚いた。

来翔
「初対面なの!?あれで!?」

戳紅
「すご…」

すると教室の奥の方から声がした。

クラスメイト
「おーい!ビニールテープ切る人の人手が足りないよー!」

クラスメイトが言った。

来翔
「え!?マジか!どうしよう!」

もうあいている人はいない。

その時。


「行ってこよっか?」

京がそう言った。

魔朱
「私も手伝うよ!」

2人とも、役割があるはずなのに…

来翔
「い、いいの!?」


「うん。こっちはもう終わるしー。」

2人は快く引き受けてくれた。

戳紅
「マジ神!ありがとう!」

ビニールテープは京がカットしてくれて、
魔朱が天井に貼り付けてくれた。

下校時間が近いてくるにつれ、どんどん教室は素敵な空間になっていた。


「これが普段の教室だとは思わないな!」

魔朱
「うんうん!すごい素敵な空間になってる!」

来翔
「おっしゃーっ!ほぼ完成だ!」

戳紅
「間に合ってよかった…!」

クラスみんなで頑張ったすたフェス。

明日はいよいよ本番。

来翔
「明日も頑張るぞー!」

クラス
「おー!」

第十五話

7月7日。七夕の日。

今日はNS学園でも七夕祭りが始まる。

いつもの学園が星のバルーンでいっぱいになっている。

中庭は校舎から校舎の間に沢山の飾りが蔓下げられ、まさにミルキーウェイのようだった。

そして中庭のステージには大きな笹の葉が置いてある。

ここに全校生徒の願い事を飾るのだろう。

すたフェスは前半と後半に分かれていて、

前半は教室コンテスト。

お昼前までにクラスを回って、中庭の投票箱に投票する。

それを生徒会が集計するらしい。

後半はコンテストの結果発表と短冊を書く。

そして私は今…

生徒会室の前にいます!

今は教室を回る時間。

先輩達とすたフェス回りたいな…!

私は生徒会室のドアに寄りかかり、るんるんで先輩達が出てくるのを待っていた。

でもいつになっても先輩達は出てこない。

忙しいのかな?

不思議に思ってドアの隙間から耳を澄ませた。

陽太
「間に合わねえーよ!流石に無理だ!物品の補充もしないとだし、投票だって1〜2時間でしないといけないんだぞ!?」


「え、でも、私達ならなんとかなると思うよ!」

蒼生
「いや、無理だ。ここで生徒会の人数不足が浮き彫りになるとは…」


「話し合っている時間も無駄だよ!早く仕事しないと!」

と、とても忙しそうな雰囲気だ。

私も何か力になりたい!

私は強くそう思った。

で、でも、迷惑かな…

私は何回も生徒会の仕事を邪魔してしまった。

だからすぐに追い返されてしまうかも知れない。

いや、挫けるなんて羽菜らしくない!

当たって砕けろの精神で私は思いっきりドアを開けた。

羽菜
「私も手伝います!」


「羽菜…?」

姫先輩は大きな籠をもっていた。

私は姫先輩に駆け寄って姫先輩の仕事を見た。

物品をクラスに届ける仕事だ。

私は力強く言った。

羽菜
「私がそれ運びます!姫先輩は別の仕事をしててください!」


「え、いいの?羽菜は教室を回ればいいのに…生徒会の仕事だよ?」

私は首を横に振って言った。

羽菜
「せっかくの行事、先輩達は楽しまないんですか?」

私の言葉に4人ははっとした顔をした。

陽太
「でも、それが生徒会の仕事。僕達は我慢しないといけないんだよ。」

陽太先輩はそう言った。

私は息を大きく吸っていった。

羽菜
「私はそうは思わない。生徒会の人も参加者も、全員で楽しめる行事にしたい!」

空気が揺らぐ。


「全員で…」

黒先輩は作業していた手を止めた。

蒼生先輩は笑って言った。

蒼生
「まあ僕達の楽しいは他の人が楽しんでくれることだけどね。」

私は微笑んで言った。

羽菜
「そこが生徒会のいいところですけどね!」


「ありがとう羽菜。じゃあ頼むよ!」

姫先輩は持っていた籠を私に渡して、次の仕事を始めた。

羽菜
「はい!」

私が生徒会室を出ようとすると陽太先輩に声をかけられた。

陽太
「羽菜。教室に物を届けるついでに持ってきて欲しいものがあるんだけど、覚えられる?」

記憶系なら私に任せてください!

羽菜
「はい!何なりと!」

陽太
「物品室の1-a箱にある投票箱1つ、物品室2-dにあるマグネット。そして家庭科準備室にある赤と青の布。裁縫セット一式。美術室の黒板の前に置いてある鉛筆、消しゴム。それから…」

陽太先輩の口からぽんぽん出てくる場所と物を私は記憶した。

陽太
「物品室3-gのホワイトボードのインク。以上。」

羽菜
「分かりました!持ってきます!」

私は生徒会室を走って出ていき、物品配達に向かった。

初めのお届け先は3-1組…っと。

羽菜
「お待たせしました!ビニールテープです!遅れてすみません!」

かすみ
「あれ?生徒会の人がくるのかと思った!なんで?」

かすみ先輩は少し驚いていた。

羽菜
「生徒会の皆さん、大変そうだったので!手伝ってます!」

かすみ
「え、でも羽菜は見なくていいの?」

私は笑って言った。

羽菜
「私はこうやって届けながら鑑賞します!」

私はみんなとはちょっと違った楽しみ方をしたい!

かすみ
「羽菜らしいね。頑張って!」

かすみ先輩は見送ってくれた。

羽菜
「ありがとうございます!」

私は満面の笑みで廊下を走っていった。

1-1では和香女に会って、手伝おうかとも言われた。

和香女、やっぱり優しいね。

2-2はとても気合が入っていた。

本当のミルキーウェイみたいな空間が天井に貼り付けられていた。

来翔先輩のクラスだったらしいよ。

私はそれからいろんなクラスに物品を届け、倉庫から頼まれたものを借りてきた。

そのせいで生徒会室に帰るころにはもうへとへとだった。

羽菜
「お、終わり…ました…」

生徒会室のドアでさえ、重く感じた。

すると目の前には姫先輩達がいた。


「ありがとう羽菜!おかげで仕事、全部片付いたよ!」

私は相当疲れていたため、追加の仕事かと思った。

羽菜
「え〜。仕事まだあるんですか〜?」

へとへと声で言った。

すると4人はどっと笑った。


「追加の仕事、あと1つ残ってるよ。」


「羽菜、私達と回りたかったんでしょ?」

姫先輩のその言葉だけははっきり聞こえた。

羽菜
「え…一緒に回ってくれるんですか…?」

陽太
「まあ、元々俺らは教室を回る予定じゃなかったけどな。」

蒼生
「ありがとう羽菜。助かったよ。」

先輩…

羽菜
「…あ、ありがとう…ございます…!!!」

気づくと私は涙が出ていた。


「羽菜!ほら!時間無くなっちゃうよ!早く行こう!」

姫先輩が笑顔で手を引いてくれた。

私は涙を手で擦って笑顔で言った。

羽菜
「はい!」

第十六話

先輩達と、教室を周り終わって、中庭に向かった。

もうすぐ、グランプリのクラス投票が始まる。

私達は5人で並んで中庭への道を歩く。

外はもう薄暗くなり始めていた。

道の両脇には七夕祭りによく飾ってある大きなくす玉飾りがたくさん飾られていた。

羽菜
「うわ!ここの道も七夕まつり感がすごい!」

私はくす玉飾りに近づいて、よーく見てみた。

1つ1つ細かく作られている。


「仙台とかでやってる七夕祭りの飾りだよね。僕はこれ、すごい好きなんだ。綺麗だよね。」

うんうん!

蒼生
「これ、全部生徒会が作ったやつ。来年にも残しておくから羽菜、よかったら使ってね。」

蒼生先輩がふと言った。

羽菜
「え?私、?来年生徒会に入れるか分かりませんけど…」

私は疑問に思って振り返り、先輩達の顔を見た。


「羽菜のことならきっとそうなると思うけどねwww」

陽太
「入れなくても、ごり押してアイデアとか言いに来そうwww」


「あーたしかにwww」

少し馬鹿にした様に3人も言う。

羽菜
「えー!私そんな人じゃないです!www」

そのあとは、5人で思いっきり笑った。

中庭に到着し、セレモニーの舞台裏で、私は、蒼生先輩と黒先輩と待っていた。

羽菜
「どこのクラスも、すごく楽しかったですね!」

蒼生
「僕たちがこの行事を作ったんだ。楽しかったに決まってるよ。」

蒼生先輩は得意げに胸を張ってそう言う。

本当に蒼生先輩も生徒会の仕事を誇りに思ってるんだな。

すごい素敵だな。


「教室も、クラスごとに個性が出るよねー。」

黒先輩は笑顔で言った。

その笑顔は本当に楽しかった笑顔に見えた。

愛想笑いだと、こんな顔にはならない。

私はほっとした。

私と回ってつまらなかったかな…

なんて考えてたけど、この笑顔なら大丈夫そう。

すると舞台裏の更衣室から2人が出てきた。

私は2人の先輩に駆け寄って言った。

羽菜
「先輩!織姫も彦星も頑張って下さい!」

私は笑顔でエールを送った。

姫先輩はグットの手をして得意げに言った。


「任せて!みんなの願いごとしっかり届けるから!」

陽太先輩達も姫先輩に言う。

陽太
「最後のセレモニーだ。絶対に楽しませような!」


「もちろんだよ!」

2人とも最高の笑顔だった。

蒼生
「よし、そろそろ僕達も中庭に行こうか。」

私達は姫先輩達を見送って中庭に向かった。

中庭には七夕祭りのような大きなくす玉飾りが置いてあり、それと一緒に笹の葉も飾られていた。

羽菜
「わあ、すごい!流石セレモニーですね!」


「羽菜〜短冊書かないの?」

黒先輩が短冊を書けるスペースにいた。

黒先輩は願い事を書いた短冊を持っていた。

そういえば私、短冊書いてない!

私は黒先輩に駆け寄った。

その瞬間に黒先輩の持っていた短冊を隠された。

黒先輩の願い事、見たかったのに!

羽菜
「なんで隠すんですか!」


「見せる必要ある?」

黒先輩はニヤリと笑って蒼生先輩の方へ行ってしまった。

羽菜
「もーう!羽菜も短冊書くもん!」

私は並べてあった白紙の短冊を取って、願い事を書いた。

羽菜
「かけたー!」

私は1人で喜んでいた。

するとどこからか声がした。

来翔
「えー?なになに?先輩達が笑顔でいられますよ…」

羽菜
「わーーーーーっ!!!!!」

後ろから私の書いた願い事を来翔先輩が読み上げていたのだ。

来翔
「なんだよーww願い事ぐらいよんでもいいじゃんかー。」

来翔先輩が不満な顔で言う。

羽菜
「ダメ!絶対ダメ!羽菜のプライバシーなんだから!」

私は顔を赤くして短冊を裏返しにした。

戳紅
「来翔〜だから人のもの覗くのやめた方がいいって言ったじゃん!」

戳紅先輩もやってきた。

来翔
「後輩が可愛くってさー。気になるんだよ〜」

戳紅
「じゃあ来翔の願い事もきちんと言ってね!」

来翔先輩が顔を歪ませた。

さては来翔先輩、言うの嫌だったんだなー?

羽菜
「来翔先輩!羽菜の短冊見た罰です!言って下さい!」

来翔
「う、わ、わかったわかった。小説で、沢山の人を笑顔にできますようにだよっ!」

最後の方は恥ずかしそうに言っていた。

羽菜
「素敵!素敵すぎる!流石です!来翔先輩!」

私は思わず拍手をしてしまった。

来翔
「え、い、いやそんなことないよ!」

来翔先輩は照れていた。

羽菜
「羽菜も、なにか熱中できるものが欲しいなぁ…」

戳紅
「羽菜は先輩に熱中してるでしょ?」

すかさず戳紅先輩がツッコむ。

羽菜
「そうでした!www」

蒼生
「羽菜ー?まだー?」
蒼生先輩の声がした。

私は笹の葉に短冊を急いでかけた。

私は先輩の方を振り向いた。

羽菜
「私、先輩に呼ばれたので!じゃあ!」

戳紅
「じゃあねー。」

来翔
「戳紅!戳紅も願い事言え!」

来翔先輩のそんな声も聞こえて、私は少し笑ってしまった。



羽菜
「先輩〜!お待たせしましたー!」


「遅いよーセレモニーに間に合うのか心配だったからね!」

ついて早々黒先輩に怒られちゃった。

羽菜
「あはは…すみません…www」

蒼生
「セレモニー、始まるよ。」

太陽は落ちかけていて、夕焼けの空が綺麗だ。

中庭のスピーカーから音楽が流れた。

司会
「ではこれよりすたフェスセレモニーを始めたいと思います。」

司会の生徒がそう言った。

司会
「これより織姫と彦星が入場します。大きな拍手でお迎えしてください。」

大きな拍手が中庭を包んだ。

そして、陽太先輩と姫先輩が姿を現した。

大きな歓声が聞こえる。

「きゃあー---!陽太先輩!!!!かっこいい!」

羽菜
「姫先輩ー---っ!!!素敵ですー----!」

私もその歓声に負けないくらい大きな声で叫んだ。

大きな拍手で迎えられた織姫と彦星が中庭のステージに上がってきた。

織姫の衣装をまとった大人な姫先輩・・・かっこいい!

羽菜
「あの衣装、再現度高いですね!!!姫先輩似合ってますよね!」

私は蒼生先輩と黒先輩に言った。

蒼生
「星葉、結構ノリノリだったし。」

蒼生先輩はニヤニヤしながらそういった。


「すごい楽しみにしてたよwwww」

へえ、意外と乗り気だったんだ。

すると姫先輩がマイクを持っていった。


「では、これからすたフェスセレモニーを始めたいと思います!まずは教室スターコンテストの結果を発表したいと思います!」

拍手が起きた。

生徒会の人達、短時間で頑張ってたもんね!
私は手伝わなくていいよと言われたので、コンテストのワクワク感を味わうことができる。

陽太
「では早速、第3位から発表していこう!第3位は…」

ドキドキ。私は手を組んでお願いポーズで待っていた。


「3-2!投票数86票!」

姫先輩と陽太先輩と蒼生先輩、黒先輩のクラスだ。

こちらも大きな拍手が起きた。

羽菜
「おめでとうございますー!3位ってすごいですね!」

私は嬉しそうに言った。

蒼生
「あ、いや…俺ら生徒会で忙しくてあんまり参加してないんだよね。姫と陽太は実行委員だから参加してたけど。」

蒼生は手を頭の上で組んで言った。

羽菜
「え、そうだったんですか!?」

実行委員もやってたのか…姫先輩と陽太先輩、すごい…

拍手が鳴り止み、陽太先輩が話し始めた。

陽太
「次!第2位は…1-1!投票数98票!」

え!私のクラスが2位だ!

拍手が起きる。

蒼生
「おめでとう。羽菜、実行委員だったよね。すごいよ。」

蒼生先輩は褒めてくれるけど、先輩達の方がもっとすごいよ!


「では、いよいよ1位の発表です!1位は…
2-4!投票数105票!」

わぁ!来翔先輩達のクラスだ!

端っこの方で歓声が上がる。

よかったね!来翔先輩!

私はニヤニヤしていたのかもしれない。


「羽菜?ニヤニヤしてどうしたの?」

羽菜
「え!私ニヤニヤしてました!?」

私は慌てていった。


「そうだよ。面白かったから写真とればよかったなぁwww」

私は顔を赤くして言った。

羽菜
「もーう!恥ずかしいからー!((」

姫先輩はマイクを持ち直し、言った。


「ではそろそろ暗くなってきたので、メイン行事、願い事を笹の葉に飾りましょう!」

陽太先輩がリモコンのようなものを持って、カウントダウンを始めた。

陽太
「笹の葉のライトアップまで!」

ライトアップ!笹の葉が色とりどりにライトアップされるんだ!

私達は陽太先輩達と一緒にカウントダウンをした。

みんな
「5!4!3!2!1!」

陽太&羽菜
「0!」

そう言った瞬間、陽太先輩はリモコンのボタンを押した。

すると飾ってあった笹の葉がライトアップされた。

それは星のようで、私は思わず見惚れてしまった。

羽菜
「わぁ…。」


「綺麗だね…」

黒先輩も見惚れている。

それぞれの短冊がより生き生きしていて、私の飾った短冊も光輝いているように見えた。

蒼生
「空、見てごらん。」

不意に蒼生先輩に言われたので私は空を見上げた。

するとびっくり。

うっすらだけど、天の川が見えた。

羽菜
「天の川だ…」

すごい!七夕が起こした奇跡かな…?

みんなの願い…空に届いて叶いますように…

陽太
「ではこれですたフェスセレモニーは終了となります!今日の最終下校時刻は20:30になっています!それまでに下校しましょう!」

陽太先輩がすたフェスのおわりを告げ、生徒は続々と帰っていく。

私達は舞台裏に行って、姫先輩と陽太先輩を迎えにきた。

羽菜
「姫先輩!最高でしたっー!」


「ありがとう!」

姫先輩は笑顔で答える。

陽太
「とりあえずうまく終わってよかったな。」

陽太先輩も心なしか微笑んでいる気がする。


「でも、僕達の仕事はまだ終わってないよ!」 

黒先輩が力強くいった。

蒼生
「後かだづけもしないとな!」

姫先輩はがっかりした顔をした。


「そうだった…」

私は笑顔で言った。

羽菜
「大丈夫ですよ!私も手伝います!」

陽太先輩がうっすら笑って言った。

陽太
「じゃあ頼もうかな。」

やったー!

蒼生
「じゃあ、行こうか。」

私達はかだづけをするために中庭へ向かった。


「あ、そういえば、陽太!願い事なんて書いたの!?教えて!」

姫先輩はステージの小道具を持って前のめりで言った。

陽太
「じゃあ姫のを教えてもらおうかな…?」

陽太先輩は不適な笑みを浮かべて言った。

陽太先輩は笹の葉の方へ行って、姫先輩の短冊を見た。

私は気になって耳を傾けた。


「あっ!陽太っ!」

姫先輩は慌てた顔をしながら止めはしなかった。

陽太
「NS学園の皆がずっと仲良しでいられますように! 星葉 姫。
うーん。ふつうの願いだな?」

姫先輩はほっとした顔をした。

すると陽太先輩は短冊をくるっと反対にして、読み上げた。

陽太
「本当の願い事陽太とずっと一緒にいられますように!」

えwwww

裏に本当の願い事書くとか卑怯だ!


「恥ずかしいからっーーー!」

姫先輩は陽太先輩が持ってる短冊を奪い取ろうと必死になって陽太先輩を襲った。

陽太
「ダメ。これ、一生忘れないから。」

陽太先輩がかっこよくそういうと、姫先輩は顔を真っ赤にして言った。


「陽太、大好き!」

陽太
「知ってた…」

陽太先輩も珍しく照れている。


「も、もう!陽太の短冊も後で見つけるからね!」

姫先輩は恥ずかしそうな怒り顔をした。

私はそれが面白くて、思わず笑ってしまった。


中庭のかだづけも無事に終わった。

笹の葉はすたフェスが終わったあともしばらく昇降口に飾られるらしい。

私達は最後に中庭にあった笹の葉を昇降口に移動した。

蒼生
「やっと長い1日が終わったな。」

蒼生先輩は笹の葉を2本もつ。

羽菜
「でも、楽しかった。改めて生徒会に入りたいと思いました!」

私が笑ってそう言うと、姫先輩は思い出したように言った。


「そういえば、羽菜はなんて書いたの?」

う、姫先輩に聞かれないように黙ってたのに…

羽菜
「秘密です!」

黒先輩が意地悪な顔で言った。


「あとで探してみようかな。」

羽菜
「えー!なんでですかー!」


私達はその後、校門で別れ、家に帰った。

空には星が輝いていた。

私は短冊になんて書いたと思う?

それはね…

「先輩達が笑顔でいられますように」と
「こんな幸せな日々がずっと続きますように…」


第十七話

すたフェスが終わって7日が経った。

そろそろ生徒会選挙が始まる時期になる。

私はある日中庭でお昼を食べようと思って中庭までの道を歩いていた。

すたフェスの時は七夕のくす玉がたくさん飾ってあって綺麗だなと思っていたけど、

何も飾ってなくても、落ち着いた雰囲気がすごく好き。

そこの道には掲示板があるんだけど、今日は人だかりが出来ていた。

なにか面白いニュースでもあったのかな?

私は強引に掲示板に近づくと、黒先輩がいた。

なるほど。黒先輩目当てか。

私は内心がっかりして、掲示板に背を向けた。

すると黒先輩から呼び止められた。


「あれ、羽菜。あ、見て見て!これ、」

黒先輩にポスターを渡された。

それは後期生徒会増員募集選挙のお知らせだった。

ついに選挙が始まるんだね!

私は飛び跳ねた。

羽菜
「ついに始まるんですか!?」


「うん。」

羽菜
「ありがとうございます!」


「あ、行っちゃった、」

生徒
「ねぇアイツさ、馴れ馴れしいよね。黒様にも友達扱いされてさ、アイツ、選挙落としてやろうよ。」


よおーし!
選挙活動、頑張るぞーっ!!

えっと、まずは選挙の応援演説をしてくれる人を探さないと!

私は和香女に声をかけた。

羽菜
「和香女〜!」

和香女
「んー?どうしたのー?」

そう返事をする和香女の机を私は両手で叩いて言った。

羽菜
「お願い!選挙の応援演説やって!」

和香女はかなりびっくりしていた。

和香女
「え、いいよ。」

とあっさり二つ返事で返してくれた。

羽菜
「え!?いいの?!」

私はびっくりして大きな声が出た。

和香女
「そろそろ選挙だし、応援演説とか羽菜は頼んできそうだなって前々から思ってたの。」

うわ…神様がいる…

和香女
「花鈴もそうでしょ?」

和香女がそう言ったので私は後ろを見ると、花鈴がいた。

花鈴
「もー!なんで私にも言わなかったのー?私は美術部なんだから!」

私は感動して、涙が出そうになった。

私はこんなに友達に恵まれているんだな…

羽菜
「2人ともありがとう!」

次の日。

私が教室に入ると花鈴ちゃんがポスター作りに専念していた。

花鈴
「あ、羽菜。おはよう!あのね、選挙のポスターこんなのはどうかな?」

と私にポスターを見せてくれた。

この学園に革命を。

みんなが学園を「好き」になる!

などさまざまなキャッチフレーズがあった。

羽菜
「すごい!ありがとう!」

花鈴
「これ、キャッチフレーズどれが良い?」

羽菜
「どっちもいいんだけど、私はこれかな?みんなが学園を好きになって欲しいな!」

と2番目のを指差していった。

花鈴
「だろうなと思ってた!」

私達は笑った。

ポスターはバッチリ。

あとは演説だね!

私は和香女ちゃんの様子を見にきた。

和香女ちゃんは1人で一生懸命に演説の練習をしていた。

羽菜
「ね!」

私は背後から忍びより、和香女をおどかした。

和香女
「うわぁっ!びっくりした…」

よほど集中していたのだろう、驚いていた。

羽菜
「そんなに頑張んなくてもいいんだよ?疲れちゃうよ?」

と売店で買ったジュースを差し出す。

和香女ちゃんは首を横に振った。

和香女
「大丈夫。友達のためならこれくらいはやるわ。」

和香女ちゃん…ありがとう…

でも流石に心配だったので休憩を促した。

羽菜
「休憩も練習のうちだよ!ほら!これ、あげる!」

和香女ちゃんはジュースを受け取ってくれた。

和香女
「ありがとう。」

和香女
「………」

羽菜
「ん?どうしたの?」

和香女
「でも私は好きでやってるの。そして、羽菜が選挙に当選して欲しいの。」

真剣な眼差しで私を見る。

羽菜
「和香女…ありがとう…」


それから数日、画御にも手伝ってもらってビラ配りをしたり、ポスターを貼ったり。

選挙前日。

羽菜
「よし!これで選挙はバッチリだね!」

画御
「明日、絶対当選しようね!」

花鈴&和香女
「えいえい、」

羽奈&画御
「おーーっ!!」



そして選挙当日がやって来た。

私は練習をしていた。

よーし!ばっちり!

私は1番最後だった。

私の番が来た。まずは和香女ちゃんの応援演説。

こんにちは、私は、星南 羽菜さんの応援演説をつとめます、1年1組の、津美恋 和香女です。

早速ですが、星南さんのことをご存知ですか?
1年生は知っていると思いますが、私から簡単に紹介します。

星南 羽菜さんは入学試験をトップで通過、新入生代表スピーチをしました。
先日の中間テストでも一位をとるほどの優等生です!

それとは裏腹に星南さんはとてもフレンドリーで、誰とでも仲良くなります。

それに加え、行動力があり、誰もが驚くようなアイデアをたくさん生み出します!

ではその例を紹介したいと思います。
先日のすたフェスでは、皆さんが教室を見学していたときに、生徒会の手伝いと言うことで、生徒会のみなさんの代わりに物品をクラスに配達をしていました。

羽菜さんは生徒会という運営側の人も、楽しむ人も、全員が学校行事を楽しめることを目標にしています。

羽菜さんが当選すれば、皆さんの学園生活はより楽しいものとなるでしょう。

星南羽菜さんに清き1票を入れてください!
よろしくお願いします。

1-1 津美恋 和香女

和香女の素晴らしいスピーチが終わると大きな拍手が起こった。

次は私の番だ!

私はステージに踏み出した。

生徒
「ほら、次アイツだよ。思いっきりでかい声で喋ってやろ。」


私がステージに上がった瞬間、静かだった観客席が一気に騒がしくなった。

明らかにわざとらしい。

なんで?なんでこんな時に…

私は足が震えた。

生徒
「あれー?喋らないのかなぁー?」

私はそう言われて壇上に立ってマイクを持った。

羽菜
「1ー1星南………」

生徒
「なんて言ってんのー?聞こえなーい」

そんな声がずっと続く。

このまま引き下がる?

嫌だ

嫌だ

嫌だ!!

そんなことで私の夢を諦めるものか。

私は何があっても引き下がらない。

さすがにやばいと思ったのか、ステージの脇にいた姫先輩がマイクを持って話そうとした。

私は姫先輩が話し出す前にこう叫んだ。

羽菜
「聞いて下さーい!!!」

マイクで叫ばれるのは流石にびっくりしたのかホールはシーンと静まった。

姫先輩も耳を押さえている。

羽菜
「失礼しました。先程 津美恋さんにご紹介に預かりました。生徒会に立候補した1年1組の星南羽菜です。まずは私が生徒会に立候補した理由をお話したいと思います。私は受験生だった5年生の時から生徒会を目指していました。その理由は、私がこの学園の文化祭を見に行った時、先輩方が一生懸命に準備をしているところ、仲間と協力をしている姿に心を打たれ、私はこの学園に、この学園の先輩に憧れをもち…」

私は何事も無かったように話す。

先輩
「あ、あいつ、何もなかったみたいに話してる…」

私はもう負けない。

私はどんな時でも自分が正しいと思う道を選ぶ。

ーそう決めたんだからー

羽菜
「私は簡単に諦めなんてしません。私の夢を実現するためならなんだってします!必ず、学園生活が楽しくなるようにして見せます!どうか私に清き1票をください!ご清聴ありがとうございました。」

私が一例すると大きな拍手が起きた。

私は嬉しかった。

私の言葉でこんなに心を動かされた人がいることに感動した。

私はステージから降りた。

演説会が終わって、みんなが選挙会場に向かった。

私は選挙に投票しないので、外に出た。

みんなが迎えてくれた。

花鈴
「羽菜ーっ!すっごく良かったよ!」

画御
「始めはどうなるかと思った!」

和香女
「さすが羽菜!」

私は嬉しくなって笑顔で言った。

羽菜
「ありがとう!」

羽菜
「みんな、投票は?行ってきたの?」

私は不思議そうに聞く。

すると3人は即答した。

花鈴、画御、和香女
「もちろん!羽菜に入れたよ!」

私は笑った。

羽菜
「嬉しい!ありがとう!」

私は気合を入れるために後ろを振り返って、3人に言った。

羽菜
「よーし!あとは結果を待つのみ!自分を信じて頑張ろう!」

画御、花鈴、和香女
「おー!」

第十八話

7月20日。

ー生徒会の選挙結果発表の日ー

私は放課後、掲示板を見た。

選挙の結果発表だ。

結果は…?

私の名前の隣に赤い花がついていた。

え、どうゆうこと…?

花鈴
「わぁ!羽菜!当選だよ!?当選したよ!」

当選…当選…当選?!

私は飛び上がり、喜んだ。

羽菜
「やったーーーーーー!!!!当選だーー!」

画御、和香女
「おめでとうーーー!」

私は和香女にハグをする。

そして2人にはハイタッチをした。

羽菜
「3人とも、本当にありがとう!3人のおかげで当選したよ!!!」

和香女
「違う!違うよ!羽菜が頑張って掴んだ当選なんだよ!羽菜。本当におめでとう!」

私は泣きそうになって、目がうるうるしてきた。

羽菜
「ありがとう!私、生徒会活動も精一杯頑張る!」

私はそう意気込むと、3人は笑った。

花鈴
「先輩の所に行ってきな。」

花鈴がそう耳打ちしてくれた。

私は笑顔で頷き、先輩を探しに向かった。


「おめでとう。羽菜。」

隣から姫先輩の声がした。


「星南 羽菜を生徒会、庶務に任命する。」


え、やった!生徒会?

しかも、役職まで!

羽菜
「ありがとうございます!」


「生徒会室に来て。色々やることがあるから。」

羽菜
「はいっ!」

ー生徒会室ー


「はい、生徒会バッチ。これネクタイにつけて。」

わぁ、すごい、学園で5人しかつけてない生徒会バッチだ。

薔薇のマークにノートを開いた形のバッチはとても綺麗。

私がこれを受け取ると4人は拍手をしてくれた。

羽菜
「ありがとうございます!」

私が急いでバッチを付けている間に陽太先輩が話し出した。

陽太
「前置きして言っておくけど、生徒会に入ったからには後輩だからって容赦しないからね。ちゃんと仕事はこなすように。」

低めに脅され、私は引きしまった顔で頷いた。

蒼生
「あ。そうだ。星葉、終業式の挨拶、考えた?」

蒼生先輩が思い出したように言った。

姫先輩はギクっと背中を震わせた。


「ん?終業式の挨拶…か、考えてないよ…?」

姫先輩、仕事ちゃんとしてないじゃん!

すると陽太先輩が言った。

陽太
「まあまあ、姫は他の仕事があったんだよ、しかも、終業式は3日後だろ?まだ間に合うよ。」

私は驚愕した。

さっき自分で仕事はちゃんとこなすようにって言ってたのに!

なんて理不尽な!

羽菜
「なんで!?羽菜にはしっかりと仕事をこなせって言ったのに姫先輩には優しいの!?」

私は思わずそう言った。

陽太
「姫は他の仕事もきちんとこなしているからね。」

やっぱりおかしいよーっ!

羽菜
「だからって決められた仕事をこなさないなんて、生徒会失格ですよ!姫先輩!」

私はビシッと人差し指を姫先輩に突き出した。

姫先輩はちょっと怒った顔をして言った。


「ああそう!なら羽菜はちゃんと仕事をこなせるんだね!そう言うことだよね!?」

私はむっとして言い返した。

羽菜
「私を誰だと思ってるんですか!?こなせる訳ないじゃないですか!?」

言ってしまった。

こなせる訳ないって。

私は正直に言うと、生徒会室の空気がしんとなった。

姫先輩は笑いだした。


「wwww正直に言ったwww」

蒼生先輩と黒先輩も笑いを堪えている。

陽太
「じゃあ羽菜も言えないなwwww」

私は顔を赤くした。

私は諦めて言った。

羽菜
「じゃあ…姫先輩…一緒に原稿考えましょうよw」


「え、やだ。」

姫先輩は即答した。

え。なんで!?

私が頬を膨らませると、黒先輩が言った。


「じゃあ明日までに終わらせないと夏休みは陽太に会ったらダメってことにするよ?」

姫先輩はびっくりして言った。


「それは駄目!」

そして私の腕を掴むと


「羽菜!手伝って!」

と椅子に誘導される。

それを他の先輩3人が笑っていた。


「じゃあ、仕事始めよっか。」

そして各々の仕事を始めた。

下校時刻に近くと不意に思った。

先輩と夏休み、遊びたいなって。

たとえば、遊園地とか…


「羽菜、これはどっちがいいと思う?」

姫先輩が原稿の内容で相談してきた。

私はそれを無視して言った。

羽菜
「ねえ!先輩!夏休み、遊園地行きません!?」

先輩は唐突すぎてびっくりしていた。

蒼生
「え?遊園地?」

羽菜
「はい!遊園地です!先輩達と行ったら楽しそうだなって!」

先輩は困惑していた。

姫先輩はうれしそうにしていた。


「遊園地…!楽しそう!ね!行こう!後期生徒会も頑張ろう会で!」

さすが姫先輩!

羽菜
「行きましょ!行きましょ!」

蒼生先輩は笑っていった。

蒼生
「いいかもな。生徒会メンバーで遊んだこともあんまりないし。」

うんうん!


「遊園地かあ。絶対楽しいよ。陽太。行こうよ。」

陽太先輩は迷っていた。

陽太
「宿題はどうするんだよ。勉強時間も今と比べて増さないといけないのに。」

私はどうしても遊園地に行きたかったので、こんなことを言った。

羽菜
「宿題ぐらい、すぐに終わりますよ!」

その回答に陽太先輩はすぐに答えた。

陽太
「お前が1番心配なんだ。宿題やらないで学校来るとか、生徒会のキャラクターが崩れるだろ。」

う、たしかに。

陽太先輩ってキャラクターとか結構気にしてる感じなのかな。

羽菜
「絶対に終わらせます!なので、遊園地に一緒に行ってください!お願いします!」

私は土下座をして陽太先輩にお願いした。

陽太
「土下座!?そこまでしなくてもいいけど!分かった!行くから!宿題を絶対に終わらせること!じゃないと生徒会をやめてもらうからな!」

せ、生徒会をやめる…!

重っ…!

私は顔を上げてビビりながら頷いた。

蒼生
「じゃあ今週の日曜日に、遊園地に集合な。」


「いいよー。」


「うん。」

羽菜
「は、はい…」

陽太
「分かった。」

私の夏休み、どうなるんだろう…

第十九話

ー日曜日ー
私は電車で遊園地に向かった。

遊園地の門の前で私は先輩を待っていた。

楽しみだな~楽しみだな~

あ、姫先輩と陽太先輩だ!

さすがカップル!一緒に行くんだね!

羽菜
「姫先輩~陽太先輩~!こんにちは!」

陽太
「あ、羽菜。やっほー」


「蒼生と黒は?まだ来てないね」

姫先輩と陽太先輩の私服…

姫先輩は白のパーカーにゆったりとした、
シルエットの黒いボアブルゾン。

ミニスカートをプラスした、かっこいい感じのコーデ。

陽太先輩はジャージ素材パンツやコーチジャケットを着こなした、

陽太先輩らしいコーデ。

素敵ーっ!

蒼生先輩達、どんな服着てくるんだろうー!

陽太
「お、蒼生達来たぞ。」

全身を覆うような大きさのパーカーに小さなロボットのネックレスをつけている。

かっこいい~!

黒先輩は黒のパーカーにジャケットを着こなした
私も着たいコーデ。

素敵ーっ!

私、場違い…?

黒 
「みんなおしゃれだねーw」

羽菜
「え!本当ですか!?」


「羽菜らしいよw」

褒められたのか…な?

蒼生
「じゃあ、行こうか。」

よーし!

思いっきり楽しむぞー!


「遊園地!久しぶりにきたよ!」

羽菜
「まず、何 乗りますか?」

私は先輩に聞いた。

蒼生
「絶叫系乗りたいなあ。」


「え。絶叫系?乗りたい!行こうよ!」

姫先輩は乗り気だ。

陽太
「俺は別にいいけど、羽菜、その顔は絶叫系ダメだよな?」

え、顔に出てた!?

羽菜
「い、いやそんなことないですよ!あー絶叫系、羽菜大好きなんだよなぁ」

陽太
「本当か?まあいいか、じゃあ絶叫系行くぞ。」

陽太先輩はジェットコースターの方へ歩いた。

私、高いところ、苦手なんだよな…

私は重い足取りで先輩達についていった。

ジェットコースターの乗り場は高いところにあった。

なので、乗り場に来た時から震えが止まらない。


「羽菜、どうしたの?」

さすがに姫先輩に心配された。

羽菜
「ああ…だ、だ、大丈夫…です…」

私は高いところが苦手なのを隠そうと必死になった。

蒼生
「…羽菜、高所恐怖症なの?」

ドキッ!

蒼生先輩にすぐにバレた。

羽菜
「ちがう…ちがぅ…」

私は両手で目を隠しながら必死に否定する。


「無理して乗らなくてもいいんだよ?戻る?」

それだけは嫌だ。

羽菜
「先輩達…ジェットコースター乗るなら私も乗らないと…」


「嫌いなことを無理してやっても楽しくないでしょ?」

姫先輩はしゃがんで、私の目線に合わせた。

そ、そうだけど…

羽菜
「私、乗る。ジェットコースター、頑張る。」

私は顔を上げていった。

先輩達は笑って


「じゃあ、一緒に乗ろう。」

姫先輩は手を差し出した。

私はそれを掴んで、ジェットコースターへ向かった。

いざ、ジェットコースターのトロッコを見るとかなりキツイかも…

私は黒先輩に助けられながら、トロッコに乗った。

私の隣は黒先輩。前には姫先輩がいる。

遊園地の人
「安全バーを下ろします。」

ジェットコースターが動き出した。

羽菜
「う…わ…」

トロッコがどんどん上に上がっていく。


「羽菜、そういえば、乗りたい乗り物とかある?」

黒先輩に唐突に聞かれた。

羽菜
「の、乗りたいアトラクションですか!?え、えっと…」

私はアトラクションを思い浮かべる。

観覧車、コーヒーカップ、空中ブランコ、ジェットコースター。

ほとんど全部高いやつじゃん…

羽菜
「ひゃあああ!無理っ!怖いっ!」


「う、気を紛らす作戦は失敗か…」

黒先輩、もしかして、気を紛らせてくれようとしてたの…?

羽菜
「黒先輩、もしかして…」

そう言った途端、いきなりガタンと音が鳴った。

あ、いやな予感がする…

その予想は当たり、トロッコは下に急降下し始めた。

羽菜
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

怖すぎて叫ぶことしかできなかった。

目をぎゅっとつぶって、安全バーをしっかり持っていた。

私は落ちるときのフワってする感覚が嫌いなんだ。

落ちるって思っちゃうんだもん。

こわいこわいこわい!こわい!

そのあともしばらく、ぐわんぐわんして気づいたらもうアトラクションは終わっていた。

生た心地がしなかった…

私は黒先輩につかまりながら階段を降りた。

蒼生
「羽菜、大丈夫だった?」

羽菜
「え、あ、大丈夫じゃない…です…」

私は必死に答えた。


「羽菜の声がうるさいすぎて…鼓膜破る気か…」

姫先輩は耳を押さえながら言う。

ごめんなさい…


蒼生
「羽菜、休む?キツそうだよ?」

蒼生先輩にそう呼ばれて私は即答した。

羽菜
「やだ!」

先輩は不安そうな顔をしたけど、本当に大丈夫だもん。

陽太先輩が少し笑いながら言った。

陽太
「じゃあ次はお化け屋敷だな。この遊園地、でるらしいぞ。」

ええ…ガチで出るの…

姫先輩の顔が引きつった。

なるほど。顔に出てるとはこう言うことなのか。

姫先輩…もしかして、お化け屋敷苦手?

羽菜
「姫先輩、お化け屋敷苦手ですか?」

姫先輩は否定することなく頷いた。

あ、これは本当に苦手なんだな。

羽菜
「じゃあ、一緒にいきましょ?羽菜もお化け屋敷、苦手なので。」

姫先輩は陽太先輩の方向へ走った。


「行くなら陽太とがいい…」

ガーーーーーーーーーーン

ショック…

蒼生
「え、羽菜も苦手なの?大丈夫?」

蒼生先輩が声をかけてきた。

羽菜
「それは本物は怖いですよ!」

結局2チームに分かれることになった。

姫先輩と陽太先輩チーム、羽菜と蒼生先輩、黒先輩チームだ。

うん。知ってた、知ってた。

どうせ姫先輩は羽菜とはいたくないんでしょ。

陽太先輩の方がいいんでしょ。

ふーん。

蒼生
「…菜」

羽菜
「へっ?」

急に蒼生先輩に呼ばれた。


「結構お化け出たね〜。」

え、何何?

気づいたらもうお化け屋敷の外だった。

えーーーっ!

考え事してたら終わったんだけど!www

蒼生
「羽菜、本当にお化け屋敷苦手なの?全く反応してなかったけど。」

そりゃそうだ。

見てないんだもんwww

羽菜
「あ…えと…考え事してたら終わってました…」

黒&蒼生
「は!?」

私は先輩に事情を説明した。

蒼生
「wwww羽菜の集中力 ヤバw」

いや、単純にボーッとしてただけだもんwww


「じゃあ、もう一回行ってくる?」

黒先輩に提案されたが、断っておいた。

すると姫先輩が泣き目で戻ってきた。

羽菜
「あ、姫先輩。お帰りなさい。どうでした?」

陽太先輩が耳を押さえて言った。

陽太
「鼓膜破壊兵器だったw」

姫先輩は陽太先輩に近寄って言う。


「だって!!怖いものは怖いんだよ!」

姫先輩は生まれたての鹿の赤ちゃんみたいな足をしていた。

うん。それはわかるけど…。

私が周りを見渡すと、ゴーカートのアトラクションがあった。

羽菜
「先輩!私、あれ乗りたいです!」

私はゴーカートを指差した。

蒼生
「ゴーカートか…いいよ。羽菜、まだ乗りたいの乗ってないでしょ?」

うんうん。


「ゴーカートなら怖くない!」

私達はゴーカートの方へ向かった。

受付の時に、私にだけ声をかけられた。

受付の人
「あの、このアトラクションは140cm以上の人でしか、乗れないのですが、身長を測らせてもらってもよろしいですか?」

羽菜
「え。」

私、中1なんだけど…

140cm以下に見られてたの!?

でも、でもね。否定はできないよ!?

私、昔からチビだし、先輩の身長と比べたら差がありすぎなんだけど、

中1の平均身長は150cm超えてるよ?

でもさ、でもさ、140cm以下はないよ!

140cm以下は無いよね!

受付の人に身長を測ってもらうとかなりギリギリのラインだった。

この前の身体測定では141cmだったけど。


「ww」

先輩達は爆笑していた。

羽菜
「もーっ!!笑わないでっっ!!」

生徒会の先輩が結構大きいんだよww

黒先輩なんて170cmだし。

羽菜はやっぱ低身長なのか…

先輩達と並んでも違和感しかないし…

しょぼ〜ん…

私はテンション低めにゴーカートに乗った。

1人1台。


「よし!ゴーカートで勝負しよ!最下位のひとは優勝の人の言うことをなんでも聞くこと!」

え!?ま、まって急には無理だよ!?

みんな一斉に走り出した。

羽菜も行かないと!

私はアクセルを踏んだ。

意外とスピードがでる。

今の1位は陽太先輩。2位は蒼生先輩。3位は私。4位が黒先輩。

1位と2位はかなりの差がある。

う、最下位にはなりたくない。

一方姫先輩は…?

スタート地点でクラッシュしてる。

あ、いや、逆走してる…の?www


「なにこれーーっ!?バックしてるんだけど?!」

私は吹き出してしまった。

そしてゴール直前の陽太先輩のカートにクラッシュ。

陽太先輩のカートはくるくる回って、エンジンが切れた。

よそ見をしていると、蒼生先輩のカートに激突した。

羽菜
「わぁぁぁー!?」

蒼生
「うわっ!!なんだなんだ!?」

2人のカートはぐるぐる回りながら進んだ。

私はそのままゴールイン。

蒼生先輩は私の後にゴールイン。

黒先輩はそのあとにゴール。

結果は私が1位。2位は蒼生先輩。3位が黒先輩、4位は陽太先輩で、姫先輩が最下位。

やったーーーっ!

1位だ!

羽菜
「やった!1位!はじめて1位になった!」

私は飛び跳ねて喜んだ。

えーとじゃあどうしようかな…?

姫先輩にやってほしいこと…

羽菜
「姫先輩!一緒に…」

私がそう言いかけた時、姫先輩の体が傾いた。

羽菜
「え…先輩!」

姫先輩っ!!

第二十話

姫先輩の体が傾いた。

陽太先輩がすぐに姫先輩を支える。

陽太
「姫。大丈夫か!?」


「う、うん。大丈夫。」

そう言いながら立とうとするも、姫先輩はまた倒れそうになった。

蒼生先輩はあたりを見回して言った。

蒼生
「医務室に連れて行こう。」

私達は頷いた。


「陽太。姫のこと、お願い。僕と羽菜で先に医務室に行ってる。」

黒先輩に呼ばれ、私は黒先輩と一緒に医務室へ向かった。

姫先輩、急にどうしたの…?

も、もしかして、体調が悪いのに無理して遊んでいた?

もし、そうなら私のせいだ…

姫先輩…

私達は医務室に着いて、医務室の人に状況を説明した。

羽菜
「えっと、一緒に遊んでいた人が倒れたんです!今一緒に来ていた先輩が連れてきます!」

医務室の人は用意をしてくれた。

やがて陽太先輩が姫先輩を抱えてやって来た。

蒼生先輩もやってきた。

陽太
「お願いします。」

陽太先輩は姫先輩を用意してあったベットにゆっくりと寝かせた。

医務室の人は姫先輩の体調を確認した。

しばらくして医務室の人は言った。

医務室の人
「熱中症ね。少し休めば良くなるわ。」

内心ほっとして私は思わず座り込んでしまった。

蒼生
「羽菜?どうした?」

体調が悪いと勘違いされた。

羽菜
「姫先輩が無事で良かったんです。」

陽太先輩は近くにあった椅子に座っていた。

そのあと医務室の人は保冷剤と水を持ってきた。

医務室の人
「状態が良くなるまでしばらくかかると思う。だからここで待っててもらっても良い?」

私達は頷いた。

医務室の人が居なくなって、私は立ち上がった。

羽菜
「トイレに行ってきても良いですか?」

私がそう聞くと黒先輩が言った。


「僕もついでに飲み物買ってくれけど、なんか買う?」

蒼生先輩はコーヒー、陽太先輩はお茶を頼んだ。

医務室の外に出ると、黒先輩はあたりを見回して自動販売機を探していた。

羽菜
「自動販売機なら姫先輩がさっき倒れた所にありましたよ?トイレも近くにあったはずです。」

私は来た方向を指差して言った。

黒先輩は走って自動販売機のところまで行ってしまった。

私は姫先輩が倒れたところ付近になにか落ちているのに気がついた。

私は近寄ってそれを拾うと、それは小さなキャラクターのマスコットキーホルダーだった。

有名なアニメのキャラクターではなく、誰かが考えたオリジナルキャラクターなんじゃないかと私は思った。

てるてる坊主のようなかわいいキャラクターが星を持っている。

かわいいキャラクターだなぁ…

でも、どこか懐かしい。

私はこのキャラクターを知っている…?

とりあえず、このキーホルダーは、後で届けよう。

私はそのキーホルダーを拾って、トイレに向かった。

私がトイレから戻ると蒼生先輩や陽太先輩は買ってもらった飲み物を飲んでいた。

姫先輩はもう起きていた。

羽菜
「あ!姫先輩っ!よかったっ!」

私は姫先輩に駆け寄った。


「心配かけてごめんね…。もう大丈夫だから…」

と姫先輩は私の頭を撫でる。

羽菜
「姫先輩、無理してまで遊ばなくても良いんですよ?!もう…心配したんですから!」

姫先輩を見上げて言う。


「みんなありがとう。」

陽太先輩は呆れた顔で言った。

陽太
「本当だよ。急に倒れるからびっくりした。」


姫先輩は申し訳なさそうな顔をしていた。

私達は医務室を出た。

外はもう薄暗くなっていた。

時計の針は6:00を過ぎようとしていた。

蒼生
「噴水ショーだって。」

蒼生先輩がポスターを指差して言った。

羽菜
「私、見たい!ね!さっきのゴーカートの優勝特典で、噴水ショーを見に行くに決定!」

私がそう言うと全員がびっくりしてこっちを見た。


「え、うん良いよ!」

蒼生
「拒否権は 無いしww」

私は笑って噴水ショーの会場へ向かった。

羽菜
「わあ…綺麗…」

色のついた水がとても幻想的だ。

先輩達も見惚れている。

私は今日1日を思い出した。

色々トラブルもあったけど、
本当に今日は来て良かった。

先輩達との仲も深まったかな?

私は、先輩達と、
先輩っていう関係じゃなくて、生徒会の仲間として接したい。

友達として接したい。

友達として認めてもらえる日が、
いつか来るのかな…

私は幻想的な噴水ショーを見ながらそんなことを考えていた。


第二十一話

遊園地から帰ったあと、私は拾ったキーホルダーをずっと見ていた。

キーホルダーの見た目からしてお店で売っているものではなく、手作りのもの。

届けるって言っていたけど、このキーホルダーが気になりすぎて持って帰ってしまった。

ちょっと罪悪感はあったけど、自分でこのキーホルダーの持ち主を探せるような気がしたから持って帰ったって言うのもある。

羽菜
「あ!もしかして…!」

私はふと思い出した。

自分の鞄を持ってきてそこについているキーホルダーを見た。

そのキーホルダーは拾ったキーホルダーとよく似ていた。

羽菜
「私のキーホルダーの色違い…?」

でも、私のキーホルダーは…




それから夏休みが過ぎて、新学期が始まった。

よーし!

今日から本格的な生徒会メンバーとして活動するぞー!

私はルンルンで廊下を歩いていると

生徒
「星南さん!」

だれかに声をかけられた。

私が振り向くと、その人は私の選挙のときに私を邪魔してきた先輩だった。

羽菜
「え、えっと…な、なんですか?」

私はちょっと躊躇いながら返事をした。

その先輩は目を輝かせ、言った。

生徒
「あの堂々とした態度、スピーチ、素晴らしかったです!」

え。なんか疑っちゃうけど…
演技じゃないよね?
私はちょっと戸惑いながら答えた。

羽菜
「あ、ありがとうございます!生徒会の仕事も頑張るので応援してくれると嬉しいです!」

私がそう言うと周りのがざわついた。

え、な、なに…?

なんだか嫌な予感がした。

私が困惑しているとチャイムが鳴った。

羽菜
「あ、じゃあ私はここで失礼します!」

私は急いで教室に戻った。


〜1-1ホームルームで〜

先生
「今日は転校生がこのクラスに入ります。初めてで不安かもしれないので、仲良くしてあげてください。」

転校生かぁ…

この学校って転入試験なんてあるんだ…

女の子かなぁ…

私はぼんやりとそう考えていた。

先生
「では、どうぞ〜」

クラス全員がドアに釘付けになった。

するとドアから女の子が入ってきた。

ポニーテールの眼鏡をかけたおとなしい雰囲気の女の子。

少し緊張した様子だった。

由利野 ゆり
「由利野 ゆりです。私は絵を描くのが好きです。転校してきて、不安もありますが、よろしくお願いします。」

絵が得意なのかぁ…

いいなぁ…

私は、ほおづえをついて、ゆりちゃんを見つめていた。

先生
「では、そこの空いている席に座ってください。この学校になれるまでは、生徒会執行部の羽菜さんにいろいろと教えてもらってね。」

先生はそう言った。

由利野ゆり
「は、はい。」

え!?わ、私!?

なんでっ!?

学級委員は!?

由利野さんはこちらに向かってきた。

そういえば、隣の席が空いている。

由利野さんの席ってそこ!?

私は慌てていた。

え、どど、どうしよう!

話しかければいいのかな?

羽菜
「あ、え、えと、先生から紹介された羽菜です…由利野さん…よ、よろしくお願いします!」

私がそう言う。

ゆり
「あ、どうも。え、えっとこの学校のこと、まだわからないので、お世話になります。よろしくお願いします。」

謙虚だなぁ…えらいな。

羽菜
「私のことは好きに呼んでもらって良いよ!私はゆりちゃんって呼んでいい?」

ゆり
「分かりました。羽菜さんよろしくお願いします!」

けけけ、敬語!?

や、やばい!私、がっつりタメ口で話してしまった!

私は手で顔を押さえてしまった。

ゆり
「?羽菜さん、どうしました?」

羽菜
「あ、いや、何でもない…です…よろしくお願いします…」

私は俯いた。

どど、どう接したらいいんだろう…

ゆり
「あ、えっと、もうそろ1限目が始まりますよ。少人数教室…ってどこでしょう?」

私は我に帰った。

生徒会としてしっかりと降り回らないと!

羽菜
「あ、そうですね!行きましょう!」

私はとりあえず、敬語をつかってゆりちゃんと話すことにした。



生徒
「あ、見て見て!生徒会の方々よ!」

その声を聞いて私が振り返ると姫先輩達が並んで歩いていた。

移動教室なのだろうか。

その4人はお淑やかという言葉がふさわしいくらい上品な雰囲気だった。

いつものことだけど。

羽菜
「あの人達が生徒会の人。右から陽太先輩、蒼生先輩、姫先輩、黒先輩。この人達は1人につきファンクラブがいくつも存在していて、すごく人気な先輩方なの。」  

私はゆりちゃんに先輩を紹介した。

ゆり
「へ、へぇ。羽菜は?生徒会の人なのでしょう?」

ギクっ。

羽菜
「私は最近生徒会に入ったばかりだから…」

私は苦笑した。

ゆり
「そうなのね…」

私は先輩達をじっと見た。

先輩…生徒会室にいる時とキャラが絶対違う。

今朝のことが頭をよぎった。

今朝、選挙の邪魔をしてきた先輩に私がありがとうって言った時。

私のことを何かを噂されている感じだった…

朝、ざわざわされていた原因はこれかも知れない。

つ、つまり…?

私は気品がないってこと…?!

たっ、たしかに私は蒼生先輩や黒先輩よりは気品がないけど、
姫先輩や陽太先輩よりは大人しいでしょ!!!



謎の声ww) 説明しよう!!

たしかに姫や陽太は少しはキャラをつくっている。

だがしかし、羽菜は羽目を外しすぎて
姫と比べ物にならないくらい気品がないと全校生徒に知れ渡っている!

この学園では生徒会はエリート中のエリートしか入れないという先入観がある。

成績トップ、言動も上品!

これが生徒会のイメージである。

人間関係において第一印象はとても重要。

第一印象が悪いとその後どんなに良いことをしても印象は早々覆らない!

そのことを羽菜はまだ知らなかった…




ゆり
「羽菜?どうしたんですか?授業が始まりますよ?」

羽菜
「あ、ごめ、すみません!行きましょう!」

私も気品を保たねば…!

謎の声)挙句こんな妙なことになる。



ー生徒会室ー

羽菜
失礼いたします。

私は生徒会室に入った。

先輩達は口をあんぐり開けて私を見ていた。


「羽菜…どうかしたの…?!」

陽太先輩も近寄ってきた。

陽太
「頭でも打ったんじゃないか!?」

ちょっと!敬語使ったぐらいで心配されるなんて、!

私を何だと思ってるのよ!

羽菜
「…っ失礼な!私だって私なりに頑張ってるんだから!」

私はむきになって言う。

姫先輩が不思議そうに聞く。


「何を…?」

私はさらに怒った。

羽菜
「あーっ!もうっ!しらないっ!帰る!」

黒先輩が出ていこうとした私の手を掴んだ。


「ちょっと待って。流石にそれはないよ。」

蒼生
「僕たちもエスパーじゃないからね。なんか言ってくれないと分かんないよ。」

羽菜
「むー。」

蒼生先輩に言われて私は渋々話し始めた。



私は生徒会室の椅子に座り、話した。


「え?キャラを作ってる?」

羽菜
「そう!キャラを作ってるでしょ!」

私は目の前に座っていた姫先輩に問い詰めた。

姫先輩は困った顔をして言った。


「いや…つ、作ってないけど?」

羽菜
「嘘だ!!明らかにキャラが違う!」

私は机を思いっきり叩き、演説の時みたいに立った。

先輩はびっくりして、しばらく呆然としていた。

そして机をバンバンたたく。


「うるせえww」

蒼生
「つまり…羽菜は生徒会らしい振る舞いをするために僕達がどうやって振る舞っているか聞きたいの?」

少し離れた場所の椅子に座っていた蒼生先輩が言った。

羽菜
「そう!それ!」

私は蒼生先輩に指をさした。


「あ〜。なるほど…別にいいけど…」

え?


「き、キャラは作ってないからね!」

姫先輩はボソッと呟いた。

姫先輩、キャラを作ってる自覚あったんだ…


結局、姫先輩にレクチャーをしてもらうことにした。


「まずは常に見られてるって思うこと!」

羽菜
「常に見られてる…」

常に見られてるって思うと何が違うのかな?


「試しに見られてるって思いながら歩いてみて。」

姫先輩はゆっくりとした足取りで生徒会室を歩いた。

やってみる!

私は生徒会室を歩いた。

見られてる…見られてる…


「硬い!もっと自然に歩いて!」

姫先輩がバシッと注意した。


「ガチガチだよww」

か、硬い…?ガチガチ…?

蒼生
「ほら、自分の歩き方、見てごらん。」

蒼生先輩が撮っていた動画を見せてもらった。

羽菜
「ガチガチ…」

何これ…ロボット…?

最近のロボットでももう少し滑らかに歩くけど…


「うーん、これだとダメか。」

蒼生
「じゃあ、普通に歩いてみて。」

蒼生先輩がそう言った。

羽菜
「普通…?」

普段どおりに歩いてみる。


「猫背!下向いてる!もっと前向いて!」

色々注意された。

羽菜
「猫背…?」

蒼生先輩がまた動画を見せてくれた。

んー?

どういうこと…?


「もう一回やってみて!」

羽菜
「猫背は駄目、猫背はだめ…」


「全然駄目!これじゃあ気品は全くないよ!」

姫先輩に厳しく怒られる。

もっと優しく教えてよっ!

むー。

羽菜
「あーっ!もう分かんないっ!」

私は生徒会室のドアを思いっきり開けて、生徒会室から出て行った。

バターンっ!

ドアの閉まる音が生徒会室に響いた。


「あっ羽菜…!」




分からない…

私は生徒会室を出て、ひたすらどこかに向かって走っていた。

やっと念願の生徒会に入ったのに…
どうして?

私は立ち止まった。

いや。生徒会に入ったから…かな。

他人からの目を気にして、私はどう思われているのか、急に考えはじめてしまった。

羽菜
「……………あれ…?」

私は知らないうちに迷子になっていた。

羽菜
「ここ、どこ…?」

私が入ったこともないし、みたことすらない部屋だ。

部屋は古びていて、倉庫のように真っ暗だった。

私、どうやってここまできたっけ…
ガシャンという重い音が鳴り、急に静まり返った。
私は無我夢中に走りながら来た道をなんとか思い出した。

そ、そうだ。ここは旧校舎の体育倉庫だ!

思い出した瞬間、寒気がした。

羽菜
「もし、もしかして…」
私は嫌な予感がして手探りをしながら入って来た道を探した。

ようやく引き戸のドアを見つけると、私は思いっきり引っ張って戸を開けようとした。

羽菜
「あ、開かない…..」
私はまた扉を引っ張った。

羽菜
「んんんんっ…」

羽菜
「無理っっっ…」
どうしよう!?

不幸中の幸いか、ライト付きペンは持っていたので、明かりは確保できる。


て、てこの原理で開けられないかなっ!?

木の棒が落ちていたので、扉の小さな溝に木の棒を差し込んで、ぐっと押し込んだ。

羽菜
「ぐぬぬくぬぬぬぬぬ…」

力を入れてもびくともしない。

…どうしよう。

この前誰にも気づかれないのかな…

私が体育倉庫に入ってから1時間経った。

引き戸の隙間から見ると、もう日は落ちかけていた。

あ、暑い。

真夏の中、エヤコンのない場所でずっといたからだろうか。

汗もびっしょりで、頭もくらくらしてきた。

ね、熱中症…?


ゆり
「…なさん、羽菜さん!」

!扉の外から私を呼ぶ声がした。

だれか、外にいるのかもしれない!!


「星南さん!」
知らない人の声もした。

私は必死にドアを叩いて叫んだ。

羽菜
「誰かっ!!助けてっ!!」


「!あっちから声がしたよ!?」

ゆり
「本当ですか!?」

私は外からそんな声が聞こえたので、

もっと強く扉を叩いた。

羽菜
「体育倉庫に閉じ込められたのっ!助けて!」


「あっ!体育倉庫!あそこから声がした!」
だんだんと足音が聞こえて私は扉から離れた。

ゆり
「羽菜さん!聞こえますか!?私です!ゆりです!」

扉からそう聞こえたので、私は大きな声で言った。

羽菜
「ゆりちゃん!!助けに来てくれたの!?」

ゆり
「待っててくださいね!今助けます!」

ゆりちゃんがそう言うと、ドアが少し動いて、がゴンと音がなった。

私はすぐに引き戸を開け、目の前に立っていたゆりちゃんを抱きしめた。

羽菜
「ゆりちゃん!ありがとう…!本当にごめん!ゆりちゃんに迷惑かけちゃって!」

ゆり
「違います!迷惑ではありません!友達が急に行方不明になったら誰だって探すでしょう?」

羽菜
「ゆりちゃん…ありがとうっ!」


「よかったですわね!これで一安心です。」


「うんうん!生徒会の皆さんに知らせに行かないとね!」

と、ゆりの他に、二人、見知らぬ女の子がいた。

羽菜
「2人とも、顔も知らない私を助けてくれて、本当にありがとうございます!」

私は深々と頭を下げた。


「いえいえ。生徒会の羽菜さんがいなくなったって聞いたので…って名乗らないといけませんね。私は1-2の有栖川 愛桜と申します。」

凛歩
「私は、1-2 桃瀬凛歩 !」

羽菜
「愛桜ちゃんに、凛歩ちゃん!ゆりも!あらためて、本当にありがとう!!」

私はこれ以上頭が下がりすぎて、
立位体前屈みたいに床に手がつきそうなくらい全力で頭を下げた。

愛桜
「いいえ。いいのよ。当然のことをしたまでだわ。」

凛歩
「それより、ケガがなくて良かった!」

ゆり
「そうですね。なにより無事でよかった…」

羽菜
「3人とも、女神…あの!助けてくれたお礼と言えばいいのか分からないけど、友達になってくれますか!!??」

私はようやく顔を上げて3人の目を真っ直ぐ見た。

3人は微笑んで言った。

凛歩
「もちろん!大歓迎だよ!ねね!はーちゃんって呼んでいい?羽菜っていう名前にピッタリだと思う!」

愛桜
「はーちゃん!かわいいあだ名ね。私もはーちゃんって呼ばせてもらうわね。」

ゆり
「はーちゃん。ふふ。あだ名ってなんだか特別感がありますね。」

私のあだ名…!?

はーちゃん…!

羽菜
「はーちゃん…!うん!ありがとう!嬉しい!」

私は胸が熱くなったのを感じた。

ゆり
「それじゃあ、生徒会室に戻りましょうか。」

羽菜
「うん!!」




「なんで急にいなくなったの!!!めちゃくちゃ心配したんだからね!!」

生徒会室に帰ってきてそうそう姫先輩にお説教された。

羽菜
「うう、ごめんなさーい…」

私は生徒会室の床に正座して縮こまっていた。

姫先輩怖い…また逃げようかな…

と心のどこかでそう思った。

愛桜
(はーちゃんなんだか微笑ましいわ)

凛歩
(せ、生徒会の人たち怖ぁ…)

2人が私のこと、めちゃんこ見つめてくるし…

うう、視線が痛い…

陽太
「まあまあ、姫もそんなに怒らなくても…無事なだけよかったよ!」

ゆり
「はーちゃん、大丈夫だよ。先輩達ははーちやんのこと心配して怒ってるんだから。」

とゆりちゃんも正座していた私に手を差し伸べる。

羽菜
「ありがとう。」

と、手を取る。

愛桜
「私達はお邪魔ですかね、」

と3人は生徒会室の外へ出てしまった。


「逃げ出した時は本当にびっくりしたよw」

蒼生
「んー。ちょっと思ったんだけど、なんでそんな急に気品とか気にし始めたの?」

蒼生先輩の質問に私は戸惑いながらも答えた。

羽菜
「あ、え、うーん、、生徒会に入ってから、他の人からどう見られてるのかって気になってきちゃって…」

私はそう下を向くと、姫先輩はびっくりしたように声を上げる。


「え!?他人からの目が気になる?!あの羽菜が?」

私はそれにびっくりして顔を上げた。

羽菜
「え?」

陽太
「僕達と羽菜が初めて会った時、沢山の人だかりから迷いも無しに突っ込んでいったでしょ?」

ああ、確かにそうだったかも。

黒先輩が姫先輩の顔を見ながら言う。


「姫はそれで生徒会に入るための面接を受けさせたんだよ。羽菜のことをもっと知るために。」

ん?つまりはどう言うこと?

蒼生
「星葉は羽菜の堂々としているところを尊敬してるんだよ。そしてそれは僕達も。僕達は羽菜を生徒会のメンバーとして認めている。」


「羽菜は羽菜らしく突っ走って突っ込んで!」

羽菜
「…!!」

私は忘れていた。

みんなのことを考えて真っ先に行動してみんなに学校を楽しんでもらう。

それが私の目標だった。

でも生徒会に入ってから人の目を気にしてなにもできてなかった。

羽菜
「…先輩!!私、頑張ります!!突っ走って突っ込んで失敗しても、負けない、諦めない!生徒会のメンバーとして!!!」

先輩達の目を真っ直ぐに見つめて力強く言った。

姫先輩がイタズラっぽく笑う。


「やっぱり羽菜はそうでなくちゃね。」

私も姫先輩に微笑み返した。

愛桜
「そろそろ、最終下校も近いので帰った方が良いと思います…」

愛桜ちゃんが生徒会室のドアをそっと開けてそう言った。

みんなは一斉に時計を見る。

羽菜
「愛桜ちゃん、ありがとう。それじゃあ私は帰りますね!」

とリュックを背負う。

蒼生
「生徒会室の後始末は僕達でやっておくよ。友達、待たせたら迷惑でしょ?」

蒼生先輩が長いホウキを持つ。

羽菜
「蒼生先輩、ありがとうございます!!」

私はぺこっと蒼生先輩に一礼し、先輩達に大きな声で言った。

羽菜
「先輩、今日は本当にありがとうございました!」


「うん、また明日ね。」

と黒先輩は小さく手を振る。

私はそれを大きく手を振って返した。

凛歩
「はーちゃんー!帰ろー!」

外に出ると、暇そうにしていた凛歩ちゃんがいた。

羽菜
「わざわざ待っててくれて、ありがとう!」

凛歩
「私、もうお腹ぺこぺこだよー」

とお腹を押さえる。

すると、私のお腹からもぎゅるるる、と鈍い音が響く。

あ、そうだ!

羽菜
「じゃあさ!今からみんなでご飯食べに行かない?」

ゆり
「ご飯、いいですね!賛成です!」

凛歩
「私もサンセー!」

愛桜
「ええ、とっても楽しそうね♪」

凛歩
「よし!じゃあファミレスにレッツゴー!」

羽菜
「おー!」



「まさか羽菜が勘違いしてたとはねー。」

と机掃除をしていた黒が切り出した。

蒼生
「羽菜は鈍すぎて気付いてないみたいだけど、生徒から見られてるのは新しく羽菜ファンクラブが設立されたからなんだってこと。」

と目にかかった前髪を払う。

陽太
「ファンクラブの人も、きっと自然体の羽菜が好きなんだよね。」

ファイル整理をしながらふっと笑う。


「…むかつくけど、なんか憎めないんだよねw」

姫も陽太のとなりでファイルの整理をしていた。

陽太
「あのさ、僕達が羽菜に面接したじゃん?(2話)あれ、他の人には絶対しないと思うけど、なんで姫は羽菜に面接しようって言ったの?」


「…ああ、そういえば言ってなかったね」

とファイル整理をしていた手を止めた。


「あの子には、私の夢を託せると思ったからだよ」

第二十二話

羽菜
「体育祭だー!!」

とドアをバタンと開けて生徒会室に入っていった。

今年も体育祭が開催されるぞ~~~っ!!

姫先輩は耳を塞いでつぶやいた。


「うるさ…」

羽菜
「体育祭♪体育祭♪」

学校の大イベント!!

すっごく楽しみ!

とぴょんぴょん跳ねながら歌う。


「だからうるさいんだって!!」

羽菜
「♪〜」


「これは聞こえてないね…」

2人は苦笑する。

すると、生徒会室のドアが開いた。

陽太
「遅れた〜。ちょっと体育委員会のこと見に行ってたから」

陽太先輩だ。

羽菜
「陽太先輩!!遅刻は行けません!!」

私はびしっと陽太先輩に注意した。

陽太
「ごめんごめん!」

絶対に反省してない奴!!

陽太先輩の後ろから蒼生先輩がやってきた。

蒼生
「お、揃ってる。」

羽菜
「蒼生先輩!!遅刻は厳禁です!!」

蒼生先輩にも注意した。

蒼生
「あ、ごめん。」

蒼生
(なんか今日は羽菜厳しいな…)

羽菜
「姫先輩!全員集まりましたよっ!!」

キラキラした目で姫先輩を見つめる。


「えーとそれじゃあ、生徒会のミーティングを始めるけど、なにか連絡ある人いる?」

羽菜
「特に無いです!!」

と言うと、全員がそれぞれの椅子に座った。

姫先輩はホワイトボードに運動会と書いて言った。


「おけ。じゃあ運動会の方に移るんだけど、まず、運動会実行委員を明日のホームルームで決める予定。」

羽菜
「運動会だーーーっ!!」

と1人立ち上がって盛り上がる。

先輩はそれを全部無視して進行する。

むー。もっと楽しもうよ〜。


「それの説明資料とかは僕が全部作ってるから、実行委員が決まったら資料を渡すように指示してある。」

と黒先輩はパソコンを開いて言った。

おお。黒先輩仕事が早い。


「実行委員が決まったら実行委員の人にアンケートに答えてもらってそれをもとに、名簿を作成する。」

うんうん。

蒼生
「その後に実行委員全体で集まって委員長とか副委員長を決めるミーティングを開く。」

やる事いっぱいだ…

と、机に突っ伏す。

テストも課題もこの時期は多いから大変かも…


「んだからー。結構みんなスケジュールやばいでしょうから、分担しよう。」

先輩達は今年が受験だし、勉強も頑張ってほしいんだよな…


「僕がアンケート作るね」

陽太
「じゃあ、名簿作っとくわ。」

と考えてる間もどんどん役が決まる。

え、えっと…!

羽菜
「じゃあ私と姫先輩と蒼生先輩はミーティングの司会進行でいいかな?」

蒼生
「あ、実行委員用のチャットルームも作らなきゃね。そこに名簿とアンケートのリンクを貼れば良いし。」

羽菜
「チャットルームは簡単に作れるから、蒼生先輩も一応ミーティング参加でいいですか?」

蒼生
「うん。いいよ。」

とミーティングまでの分担が決まった。


「んで、今度はうちらの話になるんだけど…
実行委員は5つのグループに分かれるけど、広報、運営、スケジュール管理、装飾、本部の5個。本部は全員入るんだけど、生徒会の中の運動会担当って感じになるね。どうする?」

私が本部になれば先輩も楽になるかも…っ!

羽菜
「私、暇だし、本部に回るね!!」
パッと手を挙げた。

蒼生
「装飾でいい?」

陽太
「スケジュール希望。」
と小さく手を挙げる。


「広報かな…じゃあ、」

次々に役職が決まる。


「私は運営かな。了解。」


「羽菜は大丈夫?本部は1番仕事量多いけど。」
と心配そうに聞いてくる。

羽菜
「大、丈、夫です!もらった仕事は絶対やり切ります!」

と張り切った様子で言った。


そして迎えたミーティングの日。

私が司会を務めることになり、私は少し緊張していた。

生徒の前で話すのって勇気いるよね…

でも頑張らないと!!

羽菜
「それでは、皆さん揃ったようなので、運動会実行委員ミーティングを初めて行きたいと思います。司会の星南羽菜です。よろしくお願いします!」

蒼生
「副司会の八雲です。」

羽菜、蒼生
「よろしくお願いします!」

せーと
「きゃーーっ!蒼生様ーっ!」

せーと
「きゃーっ羽菜ちゃーん!!」

蒼生先輩流石だな…ってん?
なんで私まで
きゃーきゃー言われてるの?←自覚なし

羽菜
「気を取り直して、生徒会執行部からはこの星南羽菜が本部として活動します!これから決まる実行委員長と協力しながら頑張っていくのでよろしくお願いします!」

蒼生
「これから、本部を決めていきます。実行委員長、副委員長、書記、会計。」

羽菜
「それでは早速決めましょう!まずは実行委員長に立候補する人ー!」

5.6人手が挙がる。

多いな…


ミーティングが終わり、生徒会メンバーは生徒会室に集まったら。

羽菜
「今後やるべき事を確認しまーす!」

とホワイトボードマーカーを持って言った。

羽菜
「1、チーム分け!」

とホワイトボードに記入する。


「2.応援団結成とミーティングの準備」

陽太
「3.スローガンの作成」

蒼生
「4.物品許可証の提出」


「5.日程の調整」


「それから生徒会主催競技の企画書作成、物品許可証の提出…あとは…」

羽菜
「待って待ってストーップ!!多すぎるって!」

ホワイトボードを書く手が追いつかないよっ〜!

急いでホワイトボードに記入して言った。

羽菜
「やっと書き終わった…!で、役割り分担しましょ!」

蒼生
「僕はじゃあ応援団結成とミーティングの準備するよ。」

羽菜
「え!?蒼生先輩、仕事量多くないですか!?学業に支障が出ますよ!」

それに蒼生先輩は学年トップの学力を持ってるから勉強に支障が出たら大変だっ!

羽菜
「蒼生先輩!応援団結成は私の方で引き受けます!蒼生先輩はミーティングの準備だけよろしくお願いします!」

陽太
「じゃあ蒼生は俺と2人で物品許可証の方やる?」

蒼生
「お、いいね」

羽菜
「それじゃあ結局仕事量は同じじゃないですかーっ!!」

蒼生先輩、どれだけ働きたいんだ…!


「いや、別にそう心配しなくてもいいんじゃないかな。僕達も勉強時間はしっかりと取ってるし作業量も自分で管理できると思うよ。」

確かに…。

陽太
「俺は物品許可証と予算の管理をするから他のことは任せた!」


「僕は日程調整でかなり時間かかりそうだから姫、手伝える?」


「うん、私はスローガンの方は割とすぐ終わりそうだから黒の手伝いに回るよ。ミーティングの打ち合わせには行くからね!」

蒼生
「了解」

羽菜
「私は生徒会主催競技のあれこれ、応援団の結成をやりますね!」


(いや、羽菜が1番作業量多いじゃん…
他人の心配より自分の心配しなよ…w)

蒼生
「よし、じゃあ僕はもう帰るよ。作業しとく。」


「私は少しここで残ってスローガンの要項作成しとくね。」


「僕は職員室まで行って競技内容を全部聞いてくる。」

陽太
「黒。それしたら俺もついてく。競技内容が分からないと物品許可証も作れないしな。」

羽菜
「私は実行委員長のところに行ってきます!」

こうして、生徒会内での会議は解散となった。

羽菜
「霞先輩っ〜!」

私は早速、実行委員長の霞先輩のところに向かった。


「あ、羽菜ちゃん、こんにちは!どうしたの?」

羽菜
「私達の分担が決まりました!応援団の結成と生徒会主催競技の企画書と物品許可証と日程調整です!」


「え!?もう決まったの!?しかも多くない?」

霞先輩はすごく驚いている。

羽菜
「はい、すごく量が多いので、霞先輩は応援団募集要項を作成してほしいんです!」


「なるほど!了解!」

羽菜
「一緒に頑張りましょう!」



霞先輩と分かれてから、私は学校から出た。

よし!私も準備に取り掛からないと!

近所の図書館へパソコン片手に駆け込んだ。

図書館の自習スペースはコンセントがついてるからすごく使いやすいんだよね!!


生徒会主催の競技は借り物競走。

お題を考えるのも必要だし、物品も借りなきゃ行けないから大変!

でも絶対楽しい競技になる!!

出場者はアンケートで決めて、お題は私が考えるでしょ?

とりあえずお題候補をあげていこう!

紅組のシンボル

〇〇先生の好きなこと

2組37番のはちまき(蒼生先輩のはちまき)

先生の私物

異性の友達

羽菜
「こんなもんかなぁ…」

あとは先輩達にアイデアをもらお〜っと。

ということを全てレポートにまとめた。

羽菜
「やったー!完成したー!」

と思わず立ち上がる。

これには思わずガッツポーズ。

しかし、周りの人の視線が集まる。

あ。ここ図書館だった…

すみませんっと心の中で呟きながら座る。

明日先生に承認してもらおう!

蒼生
「あ、やっぱり羽菜だ。」

と蒼生先輩が図書館スペースの方からやってきた。

なんで居るんだ…

羽菜
「あ、蒼生先輩。なんでここに?」

蒼生
「図書館の方が作業しやすいしね。」

羽菜
「ふーん。」

と蒼生先輩は私の隣に座った。

蒼生
「良かったら、次のミーティングの打ち合わせでもしない?」

と資料を開く。

私は快く了承した。

羽菜
「そうですね!!」

打ち合わせが終わり、私は帰宅。

家でも作業を続けた。

生徒会って忙しいな…

でも今日までにここは終わらせないとっ!

と、思ったけど…

なんだか急に眠気がした。

羽菜
「今何時…?」

と時計を確認すると、夜の2時だった。

羽菜
「って…っもう2時!?やばいっ!寝ないと!」

とその日の作業は諦め、慌てて布団に入った。


もちろん、睡眠時間が取れるわけなく、
次の日登校したのは遅刻寸前だった。

羽菜
「やばばばばばばばっ!」

もうチャイムが鳴ってるっ!!??

廊下を全力疾走して先生に怒られた。

校舎に入った時にはもうチャイムが鳴り始めていて、
チャイムが鳴り終わる瞬間に席に着いたので遅刻にはならなかった。

羽菜
「せーーーーっふ!!」


昼休み、私達の教室の廊下に
運動会のチーム分けがされた
模造紙が貼ってあった。

NS学園の運動会では赤組と白組の二色のチームが縦割りで分けられる。

先輩のチームもあとで確認しよ!

大きな模造紙から自分の学年を探す。

赤組の模造紙の方に、私の名前を見つけた。

私は白組だ!

羽菜
「白組だ!!」

愛桜
「あら、はーちゃんも白組?」

と愛桜ちゃん。

羽菜
「愛桜ちゃん!もしかして愛桜ちゃんも白組?」

愛桜
「白組よ。」

羽菜
「一緒だ〜!」

愛桜ちゃんと同じチームだ!


花鈴
「羽菜!?ねえ!なに組だった!?」

今日に入ると花鈴が駆け寄ってきた。

羽菜
「花鈴!えっと、白組だよ〜!」

と答えると、花鈴はうれしそうに言った。

花鈴
「本当に〜!?よかった!!
みんな赤組で仲間がいなかったの!」

えー。じゃあみんなは赤組なのかな…

和香女
「やっほ〜羽菜!羽菜は花鈴と同じ
白組なのね…チームが違っても頑張りましょ!」

ゆり
「はーちゃんと花鈴ちゃんは白組なんですね!赤組も負けませんよ!」

すると昼休み終了のチャイムが鳴り、
私達は席に座った。

先生
「この時間では運動会の応援団を決めたいと思います。立候補する方はいますか?」

数人手が上がる。

私も応援団やりたいなーぁ…

先生
「まだ人数が足りないので、あと1人追加で立候補してくれませんか?」

と、先生が呼びかける。

羽菜
「はいはいはいっ!先生!実行委員やってる人でも良いですか!?」

とすぐに手を挙げた。

先生
「え、羽菜さん立候補ですか?あなたは生徒会の仕事もあるでしょう?」

羽菜
「はい!!できます!!」

と自信満々に言う。

先生
「でも実行委員会の仕事もありますし…」

羽菜
「できます!絶対やります…!」

とすかさず答える。

先生
「でも…」

羽菜
「できます!!!!!」

先生の言葉を遮ってまで押す。

先生
「じゃ、じゃあ応援団は羽菜さんで良いですか?」

先生が渋々そう言うと拍手が起こった。

よ〜し!!全力で頑張るぞっ!!


実行委員と、応援団の掛け持ちはやっぱりハードだった。

けど着実に運動会に近づいている!

今日も実行委員のミーティングがあった。

そのあとすぐに応援団だったんだけど、霞先輩にも心配かけちゃったな…

私も気をひきしめて頑張らないと!!

それから運動会当日まで、
実行委員や応援団は休む暇なく準備を進めていた。

相変わらず、先輩の作業量はめちゃんこ多い。
これだと、
先輩達の勉強時間が取れないんじゃないかな…

どうにかできないかなぁって
色々対策をとるけど、
先輩はずっと仕事をしている。

羽菜
「先輩っ!私の資料は完成したので黒先輩の作業手伝いますよ!」

とその日も黒先輩に声をかけた。


「ありがとう。じゃあ羽菜はこの資料に先生のサインもらってきて。ついでに添削があれば聞いてきて。僕は次のミーティングの資料を作るから。」

とすぐにパソコンを開いて作業を始めてしまった。

他の先輩達も、一切喋らず、黙々と作業を続けている。

羽菜
「…」

どうして作業量を自分で増やしてるんだろう。

ずっと疑問だった。

でも、最近分かってきた。

先輩達は生徒会の活動が
本気で大好きなんだなって…!

大好きなことは、どれだけ時間がなかろうと
完璧にこなせるし、なによりやっていて楽しい。

私は生徒会活動も楽しいと思える先輩を
正直尊敬する。

でも…

でも…

羽菜
「先輩っ!!少し休憩しましょう!もう我慢できません!」

私が大きな声でそういうと、先輩は少しびっくりした様子で私を見た。

私は姫先輩に近寄ってすこし睨んだ。

羽菜
「姫先輩〜っ???あなたはお人好しすぎます!仕事を請負すぎです!!もう少し自分の時間も大切にしてください!」

と軽くお説教をした。


「…え?あ、あ、うん…ごめん…」

突然のことにびっくりしているようだ。

今度は陽太先輩の方に近寄る。

羽菜
「そして陽太先輩っ!あなたは自分で管理できるって言った癖に全然自分の管理できてません!目のクマが増えたの、バレてますからね!」

と目元を指差して言う。

陽太
「…バレてたのか…」

そして私は黒先輩の方を見た。

羽菜
「黒先輩も!忙しいならもっと私達を頼ってください!信頼されてないって悲しくなります!」


「…うん…ごめんね…」

そして最後に蒼生先輩に近寄って言った。

羽菜
「蒼生先輩も、全部を完璧にしなくたっていいんですよ!自分で解決しようとしなくてもいいんですよ!」

蒼生
「…そうだね…心配かけてごめん…」

と私の説教が一通り終わったところで
姫先輩が静かに立ち上がった。

そしてゆっくりと私の方へ歩いてきて、
急にこう言った。


「羽菜も人のこと言えないでしょ〜っっ!!」


「羽菜も無理して私達の心配してっ!本当は羽菜が1番管理できてないんじゃないの!?」

と私のほっぺを軽くつまむ。

羽菜
「ほえっ!?はんひへきてはふほ!(管理できてますよ!)」


「いーや、できてないね!羽菜が最近図書館でやってること!知ってるからね!」

とほっぺから手を話す。

いてて…


「とにかくっ!無理は絶対しないこと!」

と私も叱られてしまった。

羽菜
「先輩もですよっ!」

私は姫先輩の方をじっと見つめた。


「そうだ!みんな少しお茶にしない?みんな疲れてるだろうし、リラックスもかねて!」

と黒先輩が言った。

蒼生
「いいね!陽太、生徒会室になんか食べれるものある?」

と蒼生先輩はめちゃんこ乗り気。

お菓子好きだもんね…

陽太
「なんかあるかな〜見てくるわ〜」

陽太先輩は生徒会室の物置に入って行った。

そして数秒後、また帰ってきた。

陽太
「紅茶パックしかないわ〜」


「え〜」

羽菜
「じゃあ売店に買いに行きましょうよ!生徒会費ちょっとだけもらって!」

と私はずるい提案をした。

陽太
「いいね!じゃあ会計書類いじっとくわ〜w」

と意外にも会計の陽太先輩が言った。


「それ大丈夫なの…?w」

蒼生
「まあ僕達頑張ってるしそれくらい許されるでしょww」


「まあばれたらしょうがないけどねww」

先輩は時々ブラックだ。

まあ、私が提案したんだけど…w

羽菜
「それじゃあ売店へレッツゴー!」

と生徒会室を出てスキップした。

売店は1階にあるんだけど、意外と遠いんだよね…

結構不便だったりする…

羽菜
「てか、売店でお菓子って売ってるんですかね...?」

蒼生
「この前はグミとか売ってた記憶あるよ。」

ほえ~流石蒼生先輩。

と私は最後の5段くらいから一番下までジャンプして飛び降りた。


「羽菜、危ないから。」

飛び降りたからか黒先輩に注意された。

羽菜
「あ、黒先輩すみません…」

1階に降りる階段でのことだった。


「あっ…!」

私の後ろにいた
姫先輩が階段を踏み外して、前に倒れていった。

羽菜
「姫先輩っ、危ないっ!」

と咄嗟に声をあげて、姫先輩をキャッチした。

私の方が小さかったから危なっかしかったけど。

最悪の事態にならなくて良かった…

羽菜
「いきなり倒れてきてびっくりしました…!姫先輩、大丈夫ですk…」


「…!!痛っっ…」

羽菜
「!?」

私がそう言い終わる前に姫先輩は声をあげ、足を押さえて床に崩れ落ちてしまった。

羽菜
「姫先輩!?大丈夫ですか!?」

それを見た陽太先輩は直ぐに姫先輩を抱えて姫先輩に言った。

陽太
「おいっ姫…!大丈夫か…!!」

私と蒼生先輩と黒先輩が駆け寄る。


「姫!?」

どうしよう!?え?

状況が理解できない!

羽菜
「どどどどど、どうしようっ!」

蒼生
「羽菜、落ち着いて!」

と蒼生先輩はなだめる。

陽太
「とりあえず俺は姫を保健室に連れて行く。みんなは…とりあえず姫に飲み物とか買ってきてあげて!」

羽菜
「は、はい!分かりました!!」

と陽太先輩は姫先輩を抱えて保健室へ走っていく。


「姫、大丈夫かな…?」

黒先輩は心配そうに呟いた。

足を抱えてたから…

なにかあったのかな…

羽菜
「…陽太先輩に任せましょ!きっと大丈夫です!」

と黒先輩を励ました。

そう話しながら3人で売店に入った。

売店には沢山の飲み物が売っていた。

私は自分用にコーヒー牛乳を手にとった。

蒼生
「僕たちに出来ることをしよ。姫の飲み物、なにがいいかな。」

と飲み物エリアの前で立ち止まる。

羽菜
「ん〜確か…姫先輩は…緑茶が好きだったはず…!」

と、私は姫先輩の分をとった。


「よく覚えてるね…」

とお菓子を持った黒先輩がやってきた。

羽菜
「じゃあ急いで会計して姫先輩のこと見に行きましょうか…!」


「そうだね!急ごう!」

第二十三話

_姫視点_

急に足が動かなくなって私は階段から転落してしまった。

久しぶりに足が動かなくなって、私はかなり焦った。

足が動かない理由は知っている。

でも久しぶりにこの症状がおきた。

最近症状が出てなかったから油断してたなぁ…

みんなの前で転落しちゃったから、みんなに迷惑をかけちゃったかな…

そのあと、陽太に連れられて、保健室に向かった。

ベットに安静にするよう指示されて

私はベットで横になっていた。

ふと、昔のことを思い出す。

そういえば、あの子元気かなあ…

と昔の友人を思い浮かべた。


「あの子は運動会、見にきてくれるかな…」

陽太
「あの子って?」


「わっ!?陽太!?聞こえてたの!?」

心の声が聞こえていたみたいだ。

陽太
「普通に聞こえてたけど…考えごとしてたから声かけずらかったんだよ。」

と陽太は寝ている私に近寄る。


「そうなんだ…!ごめんね!」

と私は陽太に謝り、体をベットから起こした。

陽太
「あの子ってなんだよ。」

そう言う陽太の目は少し怖かった。

どうして怒ってるの…?


「え、えっと…」

陽太
「もしかして男子か?俺の知らないところで付き合ってたりしてんのか!?」


「え!?なんでそうなるの!??違うよ!あの子は女の子だし!」

陽太
「そ、そうか…それなら良かった…」

陽太はすこしほっとした様子だった。

陽太は嫉妬してたのか!

安心した様子の陽太がかわいいなって思った。


「あの子って人は、昔の友人。運動会、来てほしいな…って思っただけ。」

陽太
「あの子って姫は言ってるけど…名前はなんて言うんだ?」


「…分からないの。あの子は名前を教えてくれなかった。私も教えてない。」

陽太
「不思議な人なんだな。どう言う関係の友達?小学校の友達?」


「うーん、まあ知り合ったのは小学生の時。丁度私が受験生だった時かな。」

陽太
「え、受験生の時?」

と陽太は少し思いつめた顔をした。

そう、私が受験生のときは色々あって、友達がいなかった。


「うん、私の数少ない友達のなかでも大切な人。」

と動きにくい足でベットから起き上がり、ベットに座った。

隣に陽太が座る。


「少し、私の昔話に付き合ってほしいな…」

陽太
「…ああ」

そして私は自分の足を少し撫でて、ゆっくりと陽太に語った。








私は生まれつき、手足が不自由だった。
今は何度もの手術のお陰でだいぶ良くなっているが、
昔は鉛筆もまともに持てず、歩くのも困難だった。

陽太は、このことは知っているけど、羽菜達にはまだ打ち明けていない。

打ち明けられない。

嫌われたらどうしようというのが頭をよぎる。

私が受験生のときはある程度直ってはいたが、
何時間も勉強をすることはできない。

それでもみんなに少しでも追いつきたかったから必死に勉強して、
工夫した。

そのおかげで普通の中学には入ることができる学力はあったが、

まだまだ足りない。塾の中ではいつも最下位だ。

でも必死にもがいた。

私は、私の限界を知りたい。

今、不自由でもあした、明後日は絶対に良くなると信じて生活をしていた。

手足が良くなった時に、私の出来なかったことを思いっきりできるようにしたい、その一心で頑張っていた。

そのせいだったのか、
ある日突然、勉強のしすぎだったのか、
テスト中に鉛筆が持てなかった。

そのテストは白紙で提出。
塾の先生は私を呼び出して問い詰めた。
塾の先生には事情を説明していたはず。
だけど問い詰めた先生は新人の先生。
私の事情なんて知らなかった。

先生
「君さぁ…言い訳するぐらいならやる気なかったって言いなよ。センスないから受験やめたら?」

私が事情を話すと先生にはそう冷たく言われた。

先生には言い訳だと決めつけられ、全く相手にされなかった。

毎回テストは最下位。
このままだとどこも合格しない。
そんな私は塾にはいらないのだろう。

塾にも学校にも友達はおらず、
学校ではバイキン扱いをされ、
避けられていた。

私はどこにも居場所がない。
もう全てやめてしまおう。そう思った。

私はあの後、家には帰らず、
公園で1人泣いていた。
悔しくて、見返してやりたくて、公園のブランコに座って、教科書を広げていた。

でもどうしても分からない問題があった。
教科書に書いてある正答率は小学6年生で1%。
何としても、
時間をかけてもこの問題は解きたかった。
何度も解答も見て、もう一度解き直す。
それでも答えは合わない。

もう、やめようかな…
やっぱり私には才能は無いのかな。

するとその時、

あの子
「101.428」


「!?」

あの子が口にしたのはこの問題の答えだった。

びっくりして、思わずテキストを地面に落としてしまった。

そして何よりもびっくりしたことは、

彼女が明らかに私よりも年下だと言うこと。

小学6年生ですら正答率は1%だった。

そんな問題を解答も見ずに暗算で解いた。

…彼女は何者?

彼女は少し大きめのパーカーを着ていた。

ポケットに手を突っ込んでおり、
失礼だけど勉強ができそうには思えない。


「なんで分かったの…?君、私より…」

と私は言うと、彼女は視線を急に逸らす。

あ…

彼女の目線の先には、
私がいつも使っている杖。

また、障害者だって除け者にされるのか…


「お姉さん、どうしたの」

と無表情で聞く。

話しかけてもらえるのは意外だった。


「わ、私?…なんでもないよ。ちょっと勉強でつまずいちゃって落ち込んでただけだから。」

彼女はすこし考えてからこう言った。


「じゃあ教えてあげる」

え?


「ところで他にわからない問題とかある?」


「え?」

私には衝撃的な言葉だった。

今まで障害者だからって除け者にされて、友達も陽太以外にいなくって…

だけど、あの子は除け者にしたりなんてしなかった。


「これ、〇〇塾のテキストだよね」

といつの間にか落としていたテキストを渡してくれた。

私はぺこりと会釈してそれを受け取った。


「え、あ、うん。でもなんで知ってるの…?」

私は彼女にそう尋ねた。


「…その塾、通ってた」


「通ってた?過去形?」

と疑問に思い、思わず質問が飛び出る。


「…色々あって。」

とパーカーの紐を引っ張る。

彼女は少し懐かしそうな、そして悲しそうな目をしていた。

まるで「深掘りしないで」…と言うように。

私はそれを見て、話題を変えないと…と思った。

なので、一番気になっていたことを聞いてみた。


「あ、あの、君、この足、気にならないの?」

私は思わずそう聞いてしまった。


「…え…?なにが?」

とあの子は言った。


「私、障害者だよ?歩けないし、物だって持てないんだよ?」


「…それで?」

興味がなさそうに答える。


「なんで障害者の私なんかに話しかけたの?」

私はそう身を乗り出す。


「私はそういうのに興味ない。
話しかけたいから話した。それだけ」


Г... ! 」

平然とそう言うあの子はどこか悲しそうな目をしていた。


「それよりさ、私の質問に答えて。分からない
問題、まだあるの?」


「あ、うん、一応あるけど・・」


それから、私がいつものように
公園に行くと、
いつもあの子はブランコに座っていた。

私が声をかけると、
無表情ではあるけど、薄らと笑みを浮かべた。


「またきたの…?」


「えっとね…分からない問題かあって…」


あの子は本当に不思議な子だった。

感情も分かりにくかったし、
なによりも天才だった。

話を聞くとあの子は塾でも主席だったらしい。
なのに、塾を辞めたらしい。

私はあの子が羨ましかった。

才能がない私には到底届かない道。

鉛筆ですら持てない私とは大違い。

できるかもしれないと夢を見ても、現実を突きつけられる。

圧倒的な差。

埋まらない。

あの子は私にとっての星だった。

手を伸ばしても足掻いても無理なんだ。

だけど、私はあの子みたいに優しく手を差し伸べられるような人になりたい。

私はあの子を夢見て、
あの子の姿に勇気づけられて、

必死になって勉強をした。

今までも必死だった。

でも、これじゃあ足りない。

あの子を見てそう感じた。



私は本格的に受験勉強をすることを決意した。

もう公園には来ない。

それくらい本気で。

でも、あの子には言えなかった。

私が公園にやってくると無表情のあの子は薄っすら笑みを浮かべるから。

少しでも嬉しそうにするから。

そのことを話す勇気がなかった。

そのまま時間だけが過ぎて、
とうとう私はあの子に話せなかった。

だからせめて別れの挨拶だけはって思って手紙を書いた。

名前の知らない君へ

あの日からは合格するために必死に勉強した。だけどそれだと公園にいく余裕はないからこれからは来れない。
急でごめんね。
でも絶対に合格するから…
聖NS学園で再会しようね

お揃いのキーホルダーを入れてあるからそれを目印に探そうね


NS学園に合格した今、

私はあの子にNS学園に受かったって伝えたい。

だけどあの子は名前を教えてくれなくて、
手がかりがない。

キーホルダーを頼りに私はあの子を探している。

でも私はこの前キーホルダーを
どこかで無くしてしまった。

だから、もうあの子に会うことは難しいかもしれない。

だからせめてあの子と交わした約束だけは守りたい。

NS学園で再会する…

そして、学校を楽しい所にする…!!

私は運動会であの子再会できるのを願って…


「って話。」

陽太
「…そうか…そんな話があったのか…」

と陽太は私を抱きしめた。


「…!?」

陽太
「あの時、姫がそんな辛い思いしてたの知らなくてごめん…」


「いいや…べつにいいよ…私はNS学園に合格できたし…話さなかった私も悪いし…」

そう言うと、陽太はベットから立ち上がり、
言った。

陽太
「…じゃあ、せめて姫の探してるあの子を体育祭で探すの、手伝うよ、あの子は中1なんだろ?探せば見つかるって…!」

…でも…あの子がNS学園にいるって確証はない…
そして私のことを覚えているかすらも分からない…


「きっと見つからないよ…見つかる可能性は…」

陽太
「じゃあ羽菜達にも協力してもらえば…特に羽菜ならあの子と知り合いかも知れないだろ…?」

…!それはっ…


「…羽菜達には話したくない…余計な心配はかけたくない…」

しばらく沈黙が続く。

羽菜
「姫先輩っ!」

とその時、羽菜達が保健室へ駆けてきた。

羽菜
「先輩大丈夫ですかっ!?」

すぐに羽菜は私の近くまで寄って、心配してくれた。

この様子だと、話は聞かれてないようだ。


「…うん、大丈夫だよ…ちょっと足を捻っちゃったみたい…」

と私は羽菜に嘘をついた。

やっぱり羽菜達には余計な心配はかけられない…

蒼生
「姫が急に倒れたからすごく心配した。」


「姫、やっぱり疲れてるんじゃない?」

と2人も心配してくれた。

…違う…そうじゃないの…

羽菜
「はい、先輩!先輩が好きだって言ってた緑茶です。」

と羽菜は私に緑茶を渡してくれた。

私、緑茶好きだって羽菜に言ったっけ…?

羽菜はやっぱり記憶力がいいなぁ…


「あ、ありがとう…よく覚えてるね…」

羽菜
「とーぜんですよっ!姫先輩のことはなんでも知ってるんですからっ!」

と羽菜は純粋な眼差しを向けた。

私は羽菜に隠してることがあるのに…

私は取り繕うように笑った。


「そうだね…っ」

陽太もなんとも言えないような顔をしていた。

羽菜
「……先輩…?」

羽菜は不思議そうな顔をして私を見つめた。


「姫も、あんまり無理はしちゃだめだよ…?また倒れちゃうかもだから…」

黒が私に話しかける。


「うん…ちゃんと管理するから…」


陽太
「そろそろ最終下校時刻だ。姫、立てる?」

陽太にそう言われて私はベットから立ち上がった。

陽太はすこしホッとした顔をした。

羽菜
「あ、そうだっ!円陣組みません?気合い入れ直すために!」

と羽菜が急に言った。

蒼生
「円陣…っ?急に?まあいいか…w」


「保健室で円陣組むのはどうかと思うけどw」

すこし緊張した雰囲気をすぐ消し飛ばしたのはやっぱり羽菜だった。

私と陽太も円陣に加わった。

羽菜
「体育祭までのこり1週間!無理は絶対せず、必ず成功させましょ!」

蒼生
「そうだね!絶対成功させよう!」


「これからもっと忙しくなるけどラストスパートだよ!頑張ろう!」

陽太
「体調管理も勉強も気をつけて成功させよう!」

各々が言葉をかけていく。

私もこう言った。


「みんな、さっきは心配かけてごめん。でも最後の体育祭、絶対成功させてみせる!だからみんな、あと1週間よろしくね!」

そして羽菜がこう言った。

羽菜
「体育祭、絶対成功させるぞ〜っ!!」

生徒会
「お〜〜〜っ!」

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