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さくちゃんが死んだ

2022.3.19 8:00 さくちゃん亡くなる

朝6時前。ママから着信。
さくちゃんが痙攣・脱糞していたので1階に降りてきて欲しいとのこと。すぐ下に降りる。
力なくさくちゃんがぐでっと横たわっている。
口からはヨダレが出ている。さくちゃんの横に寝そべり手を握る。苦しそう。

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近くで見るとおでこが肥大化してるのがよく分かる。数日前まではぺたんこだったのに。先生によると腔内の癌が鼻腔を伝って脳の方へ転移してるらしい。可哀想。

だんだん呼吸が落ち着いてきたのでママがペグから注射器で餌を入れる。水でといたペットフード。(ペグは病院でお腹に取り付けてもらったくだ。直接お腹に餌をあげられる)さくちゃんはすぐに吐いた。私たちは焦って拭く。

体をきれいに拭いて横にさせる。毛布もかける。
さくちゃんを横にしてあげた。しかし苦しそう。不安になる。ママはごめんねと言って仕事に行く。

しばらくしたらパパが下に降りてきた。パパも今日は仕事。どうしたの?と後ろから声をかけられるが返事ができない。ずっと泣いてるから。それでも朝痙攣してたことや吐いたことを伝える。「そうか」と言ってパパはさくちゃんの近くにきてさくちゃんの手を握る。小さく頑張れと言った。パパは今日は仕事が18時までだけどなるべく早く帰ると言って家を出た。

さくちゃんはずっと口からはたくさんのヨダレを出している。呼吸は苦しそう。ヨダレが多いので顔の下にひいていたタオルはすぐべちゃべちゃになった。タオルでは追いつかないので猫用のトイレシートを顔の下にひいた。さくちゃんの手を握って私も横になる。涙が止まらない。昨日餌を欲しがったときあげればよかった。ペグからあげたけど、チュールを口からあげればよかった。涙が止まらない。私の頭の下にひいているクッションも涙でべしゃべしゃになる。

さくちゃんの呼吸が荒い。でもまだ病院はあいてない。あと1時間後にあくからさくちゃんを連れていこう。そうだ。ペットケースが冷えてたら可哀想だからそれもホットカーペットの上にのせておこう。そうした。

さくちゃんの呼吸がおかしい。身体に、心臓に手を当てる。さっきより弱い気がする。どんどん弱くなる。呼吸もハアハアと言っていたのに小さくなっていく。涙が止まらない。悲しい。心臓に手を当てる。どこを触っても鼓動が感じない。悲しい。もっと一緒にいたかった。悲しい。

しばらく泣いていた。
時計を見たら8時11分。
たぶん亡くなっている。

ペットシーツが枕だと可哀想だから、綺麗なタオルを持ってきて頭の下にひいた。そして毛布をかける。涙が止まらない。何も考えられない。考えたくない。

パパに電話をした。
心臓に手を当ててもドキドキしない。たぶん亡くなっているけど、分からない。病院に連れて確認してもらった方がいいのかな?と聞いた。「病院に電話してどう対応したらいいか聞いてみなさい。」と言われた。分かったと言った。パパも「そうか…さくちゃん…」と言ったあとぐしゅっと聞こえた。いつも何も話さないのに。運転中なんだから気をつけて。辛かったら停まってよとパパに声をかけた。「分かったありがとう」と言って電話を切った。

病院に電話した。
開院の30分前だけど受付の女性が出てくれた。「すみません、あの、猫が動かなくて…あの…」と言うと先生に替わりますねと言われた。男性の医師に替わる。どうしましたと聞かれた。亡くなったかもしれないけどわからない。病院に連れてきた方がいいですか?と聞いた。「病状も病状なのでね…歳も歳ですし。」さくちゃんは13歳だ。「いくつか確認したいことがあります。瞬きをしますか」「たぶん…してません。」「呼吸はしてますか?」ティッシュを1枚取ってきてさくちゃんの顔にあてる。ティッシュは動かない。「たぶんしてません。」「…おそらく今から病院に連れてきてもこれ以上処置できることはありません。今はゆっくりご自宅で休ませてあげてください」「休ませる…やっぱり亡くなってるということでしょうか」「はい」口の味がしなかった。「ワカリマシタアリガトウゴザイマス」電話を切った。何も感じられない。何も感じたくない。味も匂いもしないのに、涙が止まらなかった。

そのあと母に電話をする。意外と落ち着いていた。「今日仕事代わってくれる人がいないの。ごめんねひとりにして。」と言われた。全然いいよ。大丈夫だよと答える。「…全然大丈夫じゃないよね。ごめん」と言われた。うんと言って電話を切る。対応は任せると言われた。任せるというか、何とかしてくれだと思う。私はスマホでペットの火葬業者を調べ電話した。1社目に電話をしたら、労いの言葉が何も無かった。さらに希望の日は空いてなかったので「家族と相談します」と方便をついて電話を切る。2社目に電話すると「それは…急なことでご冥福をお祈りいたします」と丁寧に言われた。ここにお願いした。明日の朝に家まで火葬のお迎え+納骨(手渡しで骨壷をもらう)プランだ。25000円。カードで支払えるらしい。トントントンと段取りしてくれて助かる。私は悲しくてなにもしたくない。明日はデートだったけどもちろんキャンセルだ。悲しくて寝たいけど眠たくない。何も考えたくないのに寝られない。だから日記を書いている。気づいたら涙は止まっていた。

家の外で笑い声が聞こえる。私は何も面白くない。

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