開腹か、腹腔鏡か

子宮頸部円錐切除術が終わって、最初の診察でのこと。
病理検査の結果が出る。

「初期のガンが出ましたと」静かに伝えられる。
ガンですと言われる日が訪れることを、今までは他人事のように感じていたことを再認識。
やっぱり!も、そんなはずはない!もなく、あなたの家に、シロアリがいましたよ!と言われたような感覚だ。
居ないで欲しかったが、居たのか。巣食っていたのか。これまでの検査で、その可能性がゼロでないことはわかっていたから、前のめりになった。

「前回の手術で、取りきれたとは思いますが、通常、病理検査でガンが出ると、次は子宮全摘出に進みます。」とのこと。

覚悟しなくっちゃ。面倒くさいことになった。仕事休まなきゃ。と一瞬頭の中を駆け巡ったが、まずは、「わかりました」と言ったと思う。
「それは、おそらくガンは転移していないが、予防のためにとったほうがいいってことなんですよね」先生の鈴みたいな声が響く「そうです」

「開腹手術をします」と先生。「腹腔鏡手術もありますよね」
腹腔鏡手術があることは、何となく知っていた。
「ここでは腹腔鏡手術はできませんが、できる病院に紹介状を書くこともできますよ」と。
「先生なら、どっちがいいとかありますか」言いながら、先生の困った顔を見た。「途切れ途切れに、「そうですね。。」とはっきりしない。ああ、はっきり聞いたらいけないことを聞いてしまったと思いつつ、聞かないといられない性格である。慎重に、いいとも悪いとも言わない、言葉を選ぶ先生の様子に、ちょっと考えたいので持ち帰ることにした。知っていても言わないだけかもしれない。いえるほどわからないのかもしれない。自分で調べるか。
はっきり言わないドクターのことをいろいろ言う人もいるが、私は、わからないことをわかったふうに言わない先生の方が好きだ。わからないとはっきり言ってくれる方が、私はいい。そのほうが正直だと思う。

家に帰って調べたこと。

  • 円錐切除術後の子宮全摘について、必要か。(怖いから、しなくていいのならしたくない。)

  • 開腹手術のメリット、デメリット

  • 腹腔鏡手術のメリット、デメリット

子宮全摘について、参考になったのは、京都大学病院から出ている資料。
これを読んで、なるほどねと納得。子宮全摘の覚悟を決める。

開腹か、腹腔鏡か。

これは、もう自分都合で決める。
開腹で。

まず、転院が面倒。これが一番の理由。仕事が一番過酷になるこの時期に、転院している余裕は精神的にない。
腹腔鏡手術は、簡単に世間では行われているようではあるけれども、難しい技術ではあるということ、そして費用も、おそらく若干高い。信頼している先生は、今から思うと、日々忙しすぎて、腹腔鏡手術を勉強する時間はないのかもしれない。そこそこ大きな病院で、年間の手術数も多いのに、ないってことはだ。予後がいいのも魅力的だが。。。

ここはサクっと、切って取ってもらおう。

「先生、開腹で手術受けます。」
それから、先生は、最後の診察まで、念押しのように、「腹腔鏡ではなく開腹ですがよろしいですか?」と聞いてくることになる。私が最初に迷ったからだな。

膠原病の先生に、後日、診察してもらった時、「子宮全摘することになりました。腹腔鏡か迷ったんですけど、開腹にしました」「癒着してると大変だしね〜」と軽く言われたので、やっぱり開腹でいいやと思った。


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