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#2「宇宙人ワナワナ」アパッチ

名曲の裏に迷曲あり。
あまり世間には知られていないが、一部では愛好されている、もしくは隠れすぎていてまったく愛好者がいないような一風変わった珍曲が好きです。
唐突にはじまったこのコラムですが、ありがたいことにあたたかいお声をいただいたので、第2回も張り切って書きました!
今回も笑いあり、涙ありのはなちゃんオススメの珍曲をお楽しみください。


「宇宙人ワナワナ」
作詞:ちあき哲也 作曲・編曲:矢野誠
歌:アパッチ

第1回の「ソウル若三杉」がなかなかアクの強い楽曲だったので、第2回もそれに負けないくらいのインパクトの曲を持ってこねばと考えた結果、今回はB級アイドルソングを持ってきました。

今回紹介するのは、1967年に結成されたアイドルユニット、アパッチの6thシングル「宇宙人ワナワナ」です。
アパッチは、ヒット曲13曲をメドレーにしディスコアレンジした「ソウルこれっきりですか」という曲をテレビ番組で歌うために結成された3人組のアイドルユニットです(「ソウルこれっきりですか」のレコード版のボーカルはなぜか伊集加代子)。
ファーストシングルは水島新司原作の漫画「野球狂の詩」の実写映画版の主題歌を歌い正統派アイドル路線でデビューしましたが、イマイチぱっとしない存在だったためか、5thシングルは「怪盗アリババ」というタイトルからしてイロモノ感漂うシングルを出し路線変更、6thシングルではさらに迷走したのかこの珍曲「宇宙人ワナワナ」をリリースしました。

「宇宙人ワナワナ」が発売された1979年当時は、ちょうどYMOが巻き起こしたテクノ旋風が吹き荒れていた時代でした。あっちを見てもこっちを見ても第二のYMOを狙うピコピコサウンドが巷に溢れている中、この曲もそんなおこぼれを狙い作られた曲だったのでしょう。しかしこの曲、世に溢れていたピコピコ曲とはどうも様子が違うのです。

ピポパポピポパポという軽快な電子音からスタートするこの曲。ここで、ああ、いかにも70年代らしいテクノポップなのだなと気を許してしまえば大間違い、次の瞬間には唐突にガンッガンッといかにもテクノらしくないものものしい効果音。そして「ピーポパパッピッポー」とモジュレーションで怪奇ビブラートをかけた女性の声が響き渡ります。
開幕一発目から先制パンチを食らわされたようなインパクト。掴みはばっちりです。
そして曲中にはやたら効果音が鳴り響くのですが、これは恐らく1978年にリリースされ人気となったインベーダーゲームがモチーフになっているのでしょう。きっとインベーダーゲーム人気にあやかりたかったんだろうなという魂胆がひしひしと感じられます。何故か2番からは効果音がぷっつり消えるのですが、どういう意図なのかはよく分かりません。
生のストリングスや生のブラスが入っており、テクノにもなりきれていない感じがまた独特な世界観を産み出していますね。「テレパシーロマン」の部分のアレンジは普通にカッコいいですけどねえ。

珍曲といえばやはり歌詞のおかしさにも注目したいところ。
イントロの「ピーポパパッピッポー」からかなりキてるのですが、歌詞全体をみてもなかなか意味不明。そもそもタイトルにもなっているワナワナがなにを指してるのかよく分かりません。
そういえば比企理恵というアイドル歌手が1980年出したシングルにも「恋のワナ・ワナ」という曲があったのですが、当時のB級アイドル界ではワナワナという言葉が流行っていたのでしょうか。
まあ本筋は宇宙を跨ぐワルに惚れた女の歌なんだと思うのですが、多分歌詞のことはあんまり深く考えちゃいけない類の曲なんだと思います。
しかしそうは分かっていながらも最後だけは気になって仕方ない「こちらマナマナ!」
いやそこはワナワナちゃうんかい!と誰もが思わずツッコんじゃいますよこんなの。マナマナもワナワナも意味が分からなさすぎてこっちがワナワナ震えてきます。なんて、お後がよろしいようで。

あとジャケットのおかしさも注目しておきたいですね。アイドルとは……。


そんな「宇宙人ワナワナ」、ちゃんとCD化されているのでぜひゲットしてみてください。



サポートをしていただきましたら、はなちゃんの曲作りのスピードがあがったり、DTMの音が少しよくなるかも…!