未来2019年5月詠草
ざらついた夢を見ていた 友だちを枯野のなかに置き去りにした
照明が灯れば影はやわらかく身ぶるいをしてどこかへ消える
石鹸を泡立てている 朝日からこのてのひらを匿うように
ストーブのなかは廃墟のような闇 介入されることを嫌って
空洞を思う 吐息が去ったあと私のなかにうまれるはずの
逆剥けをめくったときに見る肉はいつもみずみずしく濡れている
剥がされた付箋の糊に付着する諦めのような細かいなにか
たのしいとあなたは言えり横顔の影さすほうをこちらにむけて
夕暮れのペットボトルを開ける