2017未來賞・落選したやつ!

轢死した猫を拾いにいく子らのあとを迷子の足取りで追う

真二つに頭の割れた猫を抱き女子バレー部を見送っている

とろいわね貸してと言われ明け渡すシャベルに体育館のひかりが

もう少し土を分厚くかけたいと言う子の口にひと束の髪

幾つもの猫の遺体を抱えこみ吸いこまれそうなくらいポプラは

他人から苦手なひとの悪口を聞く 芍薬がひとつ剥がれる

蜘蛛ひとつ手元をくぐりわたしにも優しい人が休職したと

出産のひとに明るくお祝いを言いながら見る雨のかぼそさ

生きているだけで恥ずかしいコピー機に詰まった紙を探してもらう

溜め込んだ書類の海にいちまいのメモを探せば吹きすさぶ風
                ファン
挨拶を聴きとられずに去る部屋の扇風機のガードの歯が欠けている

冷房のなかに巣食った蜂の巣に周囲のひとは気づかず笑う

育休の同僚の子に握られた指がにわかに汗ばんでいる

スキップで蹴り出す足が着地する頃には消えるような羨望

硬質のものが壊れる音がして振り向く先になにもなかった

一帯をうっすら浸す雨のなか過呼吸の子をかくまっている

窓際でうずくまる子の肩に降る雨粒の影を払おうとして

長びいた雨にかがやく空蝉を壊さないようふんわりずらす

絶命の蜻蛉を拾いそろそろと窓からほうる子を縁取る陽

県道によりそう山を夜空から区切る発電所のあかりたち


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道券はな

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