4 seasons ― lost village 第8章
Hanna's diary 10月
10月2日 土曜日 晴れ
ここ数週間は秋晴れが続いている。
夕方からクラークさんのカフェへ。
村民でイラストレーターのイザベルさんに会う。
彼女のエッセイ集の出版記念パーティーだ。
わたしはアフターパーティーに呼んでもらった。
初めて彼女と対面することができた。
とてもおおらかで優しい女性。うれしい。
10月11日 月曜日 晴れ
クラークさんのカフェへ。気分転換。
イザベルさんと老齢の男性が談笑していた。
彼女の粋な計らいで同席させてもらった。
老齢の男性は作家のイツキ先生。
ここ20年はスランプが続いているとのこと。
何を書いても納得がいかないと語っていた。
イツキ先生は10年以上星降る村に住んでいる。
最近の観光地化した村の現状を嘆いていた。
10月20日 水曜日 雨
今日ポストに可憐な花があしらわれた封筒が入っていた。
高校時代の友人からの結婚式の招待状だった。
もちろん出席に〇をつけて返信した。
もうそんな年頃なのだと痛感する。
わたしにとって結婚はまだ先の未来のように思えた。
10月31日 日曜日 晴れ
ハロウィンの仮装パーティが開催された。
アニメや映画のキャラに変装した観光客で溢れている。
イジュとモモはモンスター姿で現れた。天使。
クラークさんのカフェへ。
イツキ先生とグレーのスーツ姿の男性が座っている。
神妙な面持ちで話し合っているように見えた。
ひとりになり珈琲を飲むイツキ先生に尋ねてみる。
5年前にドラマ化された老人シェアハウスの小説。
かなり話題になったので覚えている。
続編を懇願されているそうだ。
でもイツキ先生は気持ちが乗らないらしい。
初めまして。見て読んで下さって、本当にありがとうございます。これからも楽しみにしていて下さい♡